第14話『すべてを取り戻すために』
【この物語は、かつて世界を滅ぼした少年が、もう一度だけ救いを選ぼうとする旅の記録である。】
剣がぶつかり合う音が、夜を裂いた。
リュシオンとフェルスが交戦し、
俺はその場に立ちすくんでいた。
「戦え、レオン!」
リュシオンの叫び。
だが、体が動かなかった。
──俺は、何をしてきたんだ?
フェルスの剣が、怒りと絶望を帯びて、
俺に突き立てられる。
それを、ギリギリでかわしながら、
断片的に蘇る記憶に、俺は翻弄されていた。
燃え上がる街。
叫ぶ子どもたち。
滅びゆく王国。
──そして、俺自身の手。
「世界を救うためだ」と、誰かが言った。
違う。
「壊したかったんだ」と、誰かが囁いた。
違う!
記憶の奔流に押し流されながら、
俺は、必死に掴み取ろうとした。
──本当は、何を願った?
──本当は、何を選びたかった?
目の前に、かつての自分がいた。
絶望と狂気に満ちた顔で、
すべてを壊そうとしている”俺”がいた。
俺は、叫んだ。
「そんなもの、俺じゃない!!!」
記憶の中で、
俺は、“過去の俺”に手を伸ばした。
壊すためじゃない。
救うために。
痛みが走った。
頭が割れるように痛い。
それでも、掴んだ。
──俺は。
──かつて、世界を救いたかった。
それでも、
それさえも壊してしまった。
──赦されない。
──贖えない。
それでも。
俺は、今、もう一度、
未来を選びたい。
完全に記憶が戻ったとき、
俺の中に、一本の芯が通った。
目の前のフェルスに向き直る。
もう、迷わない。
「フェルス──すまない」
俺は叫んだ。
「それでも俺は、未来を救いたい!!」
剣を抜く。
守るために。
創るために。
たとえ、すべてを失ったとしても──
「赦されるためじゃない。
自分で、自分を赦すために、俺は戦う。」




