第13話『交差する復讐心』
【この物語は、かつて世界を滅ぼした少年が、もう一度だけ救いを選ぼうとする旅の記録である。】
王都から北へ数里。
忘れ去られた廃村に、異様な気配が漂っていた。
リュシオンと共に、俺はそこへ向かっていた。
「……ここに、復讐者たちが?」
俺の問いに、リュシオンは小さく頷く。
「間違いない。情報屋から確かな筋を辿った。
ただ……覚悟はしておけ。」
覚悟。
そんなもの、とうに決めている。
たとえ誰に恨まれていようと。
たとえこの身が朽ちようとも。
俺は、もう、逃げない。
朽ちた門をくぐると、
そこには数人の影が待っていた。
纏う空気が、あまりにも禍々しい。
「やっと来たな……“創造神”の生き残りが」
低く、憎しみに満ちた声。
その中のひとりが、顔を上げた。
驚愕した。
そこにいたのは、かつて俺と共に世界を旅した仲間──
フェルスだった。
黄金の剣を振るい、
人々を守ろうと誓った男。
今、その瞳には、怒りと憎悪しかなかった。
「……フェルス」
俺は、呆然と呟く。
「裏切ったのは、お前だろう、レオン!!」
フェルスの怒声が夜に響く。
「俺たちは……最後まで、お前を信じていた。
それなのに……お前は、この世界を……!」
──あの日。
──あの時。
俺は、確かに、彼らを、裏切ったのかもしれない。
自分でも、思い出せない記憶。
それでも、フェルスたちの憎しみは本物だった。
リュシオンが、すっと剣を構える。
「レオン、下がれ。
こいつらは……今のお前を、許す気などない。」
わかってる。
わかっている。
それでも──
「……戦わないと、いけないのか?」
俺の問いに、フェルスは冷たく笑った。
「違うさ。
お前が死ねば、それで全部終わるだけだ。」
戦いの幕は、
もう、否応なく上がっていた。
憎しみと、後悔と、救いたかった想いと。
すべてが、
この夜に、交差する。
「赦されなくてもいい。
それでも、俺は、守りたかった。」




