第11話『王都の暗躍者たち』
【この物語は、かつて世界を滅ぼした少年が、もう一度だけ救いを選ぼうとする旅の記録である。】
王都の空は、どこまでも高く、青かった。
だが、俺の心を覆うのは、重く沈んだ雲のような不安だった。
──ミレナが、いない。
その喪失感は思った以上に大きかった。
俺たちは、ギルドの片隅に座っていた。
エリスも、どこか浮かない顔で黙り込んでいる。
「……動きが、ある。」
ぽつりと、エリスが口を開いた。
「王都の裏で、何かが蠢いている。私たちだけじゃない……レオン、お前自身を狙った連中が、だ。」
背筋が冷たくなる。
「具体的には?」
俺が問うと、エリスは低く答えた。
「“復讐者”だ。」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に鈍い痛みが走った。
復讐者──
かつて俺が壊した世界で、
生き残った者たち。
すべてを失った者たち。
彼らは、ただ俺を憎むために生きている。
──当然だ。
俺は、かつて世界を滅ぼした存在だ。
赦される理由など、どこにもない。
それでも。
「復讐者たちは、ただ殺しにくるわけじゃない。」
エリスは続けた。
「お前を、存在ごと消し去ろうとしている。
世界そのものを、守るために。」
存在ごと──
レオンという存在そのものを、世界から抹消するために。
──だから、あの日。
だから、あの少女も──
俺に剣を向けた。
「どうする?」
エリスが問う。
俺は、答えた。
「……戦うよ。」
赦されないとしても。
存在ごと消されようとしても。
それでも。
俺は、生きているこの手で、
未来を救うと決めたんだ。
たとえ、世界中が俺の敵になったとしても。
「俺は──絶対に、諦めない。」
拳を握る。
震える指先に、力を込める。
孤独は、怖くない。
もう一度、
この世界に手を伸ばすために。
「たとえこの命すら許されなくても、俺は、希望を信じる。」




