表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

13、旅は道連れ

 




「…お前なんか大嫌いだ…」

「はい」

「嫌いだぞ!嫌いなんだからな!!」

「分かりました」

「嫌いなんだぞ!?大嫌いなんだぞ!?イイのかよ!!」

「好きになってくれとも、好きになって欲しいとも思いませんし、頼みもしませんから」

「お……ッお前なんか大嫌いだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!バーカ!!バーカ!!バーーーーーーーーカッ!!」

「まぁまぁ落ち着けって……な?」

「ゔ、ゔゔゔ……っバカぁ…」



 ……このやり取り何度目ですかね?


 ムクくんは元の人型の姿で私の背中でスヤスヤ寝てます。

 ゲキさんはこうやって私の隣を歩きながら、キャンキャンギャーギャー

 それを一歩後ろを歩くグエンさんが呆れ顔をしつつ、時折ゲキさんを宥めたり

 林道を歩きながら、こんなやり取りを繰り返してました。





 数時間前ーーーーーー


 昼食を食べ終わって食後のお茶を飲みながら、グエンさんは獣人兄弟に色々聞いてました。


 ゲキさんは8歳、ムクくんは3歳だそうです。

 ゲキさんは8歳なのに私と同じくらいの身長です。

 ムクくんは私の股下くらい

 二人とも獣化すると逆に小さくなってました。


 獣化って強くなるものかと思ってたのですが、とても強そうには見えない……と伝えると持っている魔力に比例するとの事で、大人の獣人はすごく強く大きくなれるそうです。


 どういう原理なのか、服は脱げたり、破れたりせず、獣化する時は消えてました。

 狼男みたいに身体が獣化してる訳ではなく、魔法で変身してるみたいなもの、なんですかね?

 魔力を使うみたいですからね。


 詳しい事は語りませんでしたが、両親は亡くなっているそうです。

 頼る身寄りも無いそうで、二人で安全に暮らせる場所に行こうとしてる…との事

 ………嫌な予感がしました。



「この先の《精霊の森》って所に…」

「グエンさんお昼も食べ終わりましたし出発しましょう!」

「おい、嬢ちゃ…」

「ではムクくんにゲキさん!お元気で!さようなら!」

「オ、オイ!なんだよ急に!!」

「待てよ嬢ちゃん」


 早口でそう云い、足早に立ち去ろうとしましたが、グエンさんに腕を掴まれました。

 ビクともしません

 ……チッ


「舌打ちすんな、嫌そうな顔すんな」

「……また、お人好し発動ですか」

「お人好し…つーか、行き先も同じようだし、こんな幼い兄弟二人で放って置けねぇだろ」

「では、ここでグエンさんともお別れと云う事で」

「嬢ちゃん……」


 哀しげな眼で見つめられました。

 腕を離す気も無いようです。


「……そこまで、ですからね。それ以上は知りませんから」

「ああ、それでいい」


 やっと腕を離してくれました。

 お人好しレベルを下げる薬って無いものですかね?


 よくよく聞くと、《精霊の森》の近辺の町か村に行くそうです。

 森の中でなくとも、何らかの恩恵でその近辺には魔物が出ないそうな

 そもそも森は精霊に気に入られないと入れないんでしたっけ?


「しっかたねぇなぁ!おっさんだけじゃ頼りねぇだろうから、オレも付いてってやるよ!」

「いえ、頼んでないです。むしろ、邪魔…」

「嬢ちゃん」


 調子付いてるゲキさんに物申そうとした所を止められました。


「おう!ボウズ!よろしく頼むぜ!」

「へへ!任せとけ!」


 上機嫌でしたが、その後、猪型の魔獣が出た時、ビビって腰抜かしてました。

 ので、私とグエンさんで撃退しました。


「どうしたんですか?手も足も出なかったじゃないですか」

「ちっ違う!ちょ、ちょっと調子悪くて…今度はオレが……やる…から…うん、多分…」

「では、次に出た時は宜しくお願いしますね……一人で」

「ゔゔゔ…!」

「あらあら、涙目ですけど…どうしたんですか?」

「嬢ちゃん…イジメてやるなよ」


 あ、ちょっと今度は私が調子付いてしまいました。

 こう……なんか、ゲキさんって追い込みたくなる顔してるんですよね。

 特に涙目が


「お、お、お、お前なんか大っ嫌いだぁーーーーーーーーーーッ!!!」




 そして冒頭に戻ります。


 ゲキさんが私に文句を付けて、返す言葉に傷付いて、涙ぐんでる感じです。

 絡んで来なければ良いと思うのですけど

「バカ」と「嫌い」を繰り返してます。


「……馬鹿って云う方が馬鹿なんですよ」

「な!なんだと!?」

「好きなだけ云ってて下さい。云えば云う程、ゲキさんが馬鹿になるだけなので」

「ゔゔゔ…ッ!!」

「嬢ちゃん…何でそいつに辛辣(しんらつ)なんだよ…」

「けぷっ」


 繰り返されるやり取りをしていると、背負っていたムクくんが突然呻いて私の肩口に吐きました。


「ムクくん!?」

「ムク!!」

「何だ!?どうした!?」


 降ろして前に抱え直すと、ムクくんがまた吐きました。

 慌てて吐瀉物(としゃぶつ)で気道が(ふさ)がらないよう、顔が横になるよう寝かせます。


「ムク!?どうしたんだ!ムク!!」

「……にぃたん…きもちわるいよぉ……けぷ」

「ムク!!!」


 ムクくんは吐き続けてます。


 食中毒?消化不良?それとも毒?

 お昼の肉は皆同じ物を食べて、私達は何とも無いので食中毒や毒は無い筈ですが…

 顔が蒼褪(あおざ)めていきます。


「グエンさん!水を!!ムクくん少し苦しいけど我慢して!」

「うぐぅゔっゔぅえぇっ!げぇっ」

「苦しいでしょうけど、水を飲んで!吐き出しても良いですから!」

「んぐ…ゔぇ…っ」


 ムクくんの喉の奥に指を突っ込んで吐かせます

 吐いたら、水を飲ませ、また吐かせるを何度か繰り返します。

 正しいかは分かりませんが、食べた物が原因なら胃から出して洗浄した方が良い筈です。


 グエンさんが胃から出た物を調べます。

 そしてハッとしたようにゲキさんに聞きました。


「おい、ボウズ!コイツはキノコか何か食べたか!?」

「い、いや…食べてないハズだけど…」

「なんか心当たりはねぇのか!」

「た、たまに道に生えてる草とか、かじって…」


 ゲキさんも違った意味で蒼褪めて、動揺しているようです。

 グエンさんは林に入り、何か草を摘んできて、それを擦った汁を水に入れました。


「毒消しだ。多分何かの植物の毒だと思うから少しは効く筈だ」

「ありがとうございます!」


 ムクくんに飲ませますが、すぐ吐いてしまいます。

 それでも根気良く何度も飲ませていると、次第に吐く回数が少なくなり、顔色も良くなってきました。

 暫くすると落ち着いたのか、規則正しい呼吸で寝始めました。


 グエンさんがムクくんの身体を色々調べて



「もう、大丈夫そうだな」



 そう云ってくれたので、やっと気を抜けました。


あくまでこの世界…以下同文

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ