未来(さき)の光を探して
秘密通路の奥へと落ちていく中で、アリシアの瞳に焼き付いたのは――崩れゆく王国と、血に染まる姉たちの姿だった。
「お姉様ぁぁあああ!!」
喉が裂けるほどの叫び。
だが、その声は届かない。
視界の向こうで――
魔王は、血に濡れた剣を肩に担ぎ、静かにこちらを見ていた。
その瞳には、怒りも、憎しみもない。
ただ――終わらせる者の目。
「……っ……!」
全身が凍りつく。
息が詰まる。
それでも――
次の瞬間、アリシアは駆け出していた。
――走る。
ただひたすらに、前へ。
「はぁっ……はぁっ……!」
荒い呼吸。涙で滲む視界。
足は何度ももつれそうになる。
それでも止まらない。
止まったら、終わる。
脳裏に浮かぶのはさっきまでの“当たり前”。
賑わう街の人々優しく微笑む母。厳しくも誇り高い父。
そして、大好きな姉たちの笑顔。
「どうして……どうしてこんな事に……!」
声が震える。
「お父様……お母様……お姉様……みんな……っ」
涙が止まらない。
現実を、受け入れたくないのに。
そのとき――
背後から、低い咆哮が響いた。
「っ……!」
ビクリと肩が跳ねる。
振り返らなくても分かる。
――来ている。
魔物たちが。
そして。
ドン……ドン……
重く、ゆっくりとした足音。
すべてを圧する存在。
「……いや……」
喉から漏れる、か細い声。
あれからは、逃げられない。
それでも――
「来ないで……!」
叫びながら、アリシアは必死に走り続ける。
やがて、視界の先に光が見えた。




