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下から三番目の恋愛活動  作者: 兵衛 清彦
第一章「霜月沙織と野咲和」
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土曜日、昼。天気はこれ以上ないほど晴れ渡っていた。

春明と汐織は待ち合わせ場所のショッピングモールに来ていた。

「遅いわね、和さんと堂島さん」

少し苛立たしげに汐織が言った。

「どうしたんだろうね」

と、春明が言った瞬間、遠くから声が響いてきた。

「春明くぅん、汐織ちゃぁん」

和が手を振りながら駆けてきた。

和の私服はふりふりの女の子らしい可愛らしいワンピースだった。

「ごめんなさい、檸檬ちゃんったら服選ぶのにやたら時間をかけて…」

春明と汐織は和の後ろから歩いてくる檸檬に視線を注いだ。

檸檬の私服は、シンプルなカジュアルだった。細見のジーンズに青いスニーカー、真っ新なTシャツに、レザーのショルダーバック。それらが檸檬のスタイルに相まって、モデルのようだった。

檸檬は二人の視線に気が付くと、顔を赤らめ俯いた。

「…おしゃれだね、堂島さん」

春明が見つめながら漏らした。

「堂島さん、かっこいい」

汐織は頬をほんのり赤らめて言った。

檸檬のとなりにいる和がぷぅっと頬を膨らました。

「もぉ、二人とも檸檬ちゃんのことばっかり。和はどう?」

と、和はひらりと体を回して、二人に感想を求めた。

「あぁ、女の子らしくてすごく可愛いよ」

「えぇ、とても似合ってるわよ」

春明と汐織は微笑みながら言った。

「えへへ、嬉しいな」

和はにっこりと笑いながらぴょんぴょんと跳ねまわった。

「それじゃあね、買い出しに行こうね」

和は春明の手を掴むと引っ張って、スーパーへと駆けていく。

「わっ、慌てないでいいよ、ちゃんと行くから」

春明はよたよたと引っ張られながら苦笑いでいる。

「しょうがないわね」

「しょうがないな…」

と、汐織と檸檬の声が重なった。

汐織は檸檬と顔を見合わせてくすくすと笑い合った。二人は和と春明の後に続いて、スーパーへと向かって行った。


スーパーで買い物を終えた、四人は和のマンションへと向かっていた。

「お、重い…」

春明は両手に、ぱんぱんに膨らんだスーパー袋を持って歩いていた。

春明の少し先を汐織と和は談笑しながら歩いている。

春明がひぃひぃ言いながら歩いていると、すぐ横から声がした。

檸檬が長い腕をすっと伸ばして春明に話しかけた。

「…片方…持とうか」

檸檬は鼻の頭をぽりぽり掻きながら春明に言った。

春明は突然の申し出に、一瞬面食らったが、すぐに返事をした。

「あ、ありがとう。ホントに重くてさ。助かるよ」

春明は檸檬に片方の荷物を渡した。

「…ん、本当に重いな…」

春明と檸檬は顔を見合わせて苦笑いした。

二人はよたよたと並んで歩き始めた。

夕方の農道、二人の間に沈黙が続く。

春明は、自ら話を切り出した。

「堂島さんてさ、いつ頃から和と仲がいいの?」

「…一年生、入学してすぐ」

「へぇ、切っ掛けはなんだったの?」

「登下校の道が一緒だったから、和から話しかけてきて…」

「やっぱり、和ちゃんて活発だったんだね」

檸檬は、表情を崩して話し始めた。

「うん、和は活発でやさしい子。ただ、たまに我儘だったり頑固だったり、こどもっぽいところもあるけど…」と苦笑いした。

「そうだね、でもそこも個性というか憎めないんだよね」

「そう…憎めない」と檸檬は繰り返した。

二人は顔を見合わせて笑った。

少し先を歩いていた和が振り向いて叫んだ。

「おおい、二人とも遅いぞ。はやくはやくぅ」

和の隣を歩いている汐織は困ったように笑っている。

春明と檸檬は少し足を速めた。



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