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下から三番目の恋愛活動  作者: 兵衛 清彦
第一章「霜月沙織と野咲和」
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翌日、空は晴れ渡っていて、風も爽やかに薫っている。

昼休み、二人はいつものベンチに座っていた。

二人は、暗い表情で俯いて、黙ったままでいる。

時計を見ては、そわそわと落ち着きがない。

「和さん、来るかな…」と弱弱しく春明が汐織にたずねる。

「知らないわよ…」と汐織はつんと言い返す。

そう言葉を交わすと、また二人は黙り込んでしまう。

ため息を吐いては時計を見て、そわそわとする。

そんなことを繰り返していると、昼休みももう半分を過ぎていた。

――やっぱり来ないか…。

そう二人は思って、うなだれる。

少し間を置いて、ふと汐織が口を開く。

「ねぇ、あんたの恋人づくりのことなんだけど…」

汐織は続ける。

「今までのように計画を立てて、がっついていくのはなんか、違うと思うの」

春明はうなだれたまま、だるそうに答える。

「ああ、俺もそう思ってた」

「あまり深く考えないで自然に接して、それで仲良くなって、それで友達の輪が広がって…。

それが一番いいと思うの。お互いに気持ちよく付き合えるし」

「そうだな…今更気付いても遅いかもしれないけど」

二人は太いため息を吐いてまた黙り込む。

ふと、うなだれている二人の耳にぱたぱたと足音が響いた。

二人はばっと顔を上げて、足音のする方に目をこらす。

そこには、ふわふわした髪を揺らしてぽてぽてと駆けて来る和がいた。

和は二人の傍にくると、少し恥ずかし気に口を開く。

「春明くん…汐織ちゃん…」

春明と汐織は驚きで固まっている。

「私の話し…聞いてくれるかな?」と和が呟く。

春明と汐織が頷くと、和はベンチに座って話し始める。

「この前はごめんね、あんな態度とっちゃって…」

うつむく和を見て春明は慌てて答える。

「そんなこと無いよ。傷つけたのはこっちなんだから」

和は困ったような笑顔を春明に向ける。

「それでね、二人が正直に話してくれて嬉しかったの」

和は緊張からか、途切れ途切れ話す。

「いっぱい考えてね、和もやっぱり二人とこれからも友達でいたいなって…」

「きっかけなんて、もうどうでもいいかなって」

和は笑顔を見せる。

「だからね、またここに来てもいいかな…?」

春明と汐織は顔を見合わせる。

「も、もちろんだよ」と春明が答える。

「うん、これからもよろしくね、春明くん、汐織ちゃん」

春明と汐織は先ほどの緊張した様子はなく、にこやかに柔らかい表情になっていた。

「それじゃあ、仲直りの握手」と和は小さい手を二人に突き出す。

春明はぽりぽりと照れ臭そうに頬を掻いてから、手を出す。

汐織もおずおずと手を出す。

和はぎゅうっと二人の手を握って、満面の笑みを見せた。

「はい、仲直りだね」

三人は手を握り合ったまま、互いに微笑み合った。

「あ、それとね」

と和は話しを切り出す。

「和のこと、“さん”づけしなくていいよ。和もそっちの方が嬉しいから」

「わかったよ、の、和」春明は照れながら言った。

「え、ええ。それじゃあ、和って呼ばせてもらうわね」と汐織も続いて言った。

「えへへ」と和は嬉しそうに笑った。

汐織は思い出したように時計を確認する。

「もうすぐ、昼休み終わっちゃうわね」

「ほんとだぁ、あっという間だねぇ」

「それじゃあ教室に戻ろうか」

そう言うと、三人はベンチから立ち上がった。

「三人で一緒に教室に戻ろうね」と和が言う。

春明と汐織は頷くと、三人揃って教室へ向かった。



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