24
翌日、昼休み。三人はいつもようにベンチに並んで座っていた。
大分打ち解けてきた三人は込み入った話もするようになっていた。
「和さんって、他のクラスにもよく行ってるみたいだけど、友達多いんだね」
と汐織が和に聞いた。
「多いのかわからないけど…いろんな人とお喋りしはてるね。みんな面白い話しをしてくれるから、色々と絵にも活かせるかなぁって」
「へぇ、熱心なんだね、和さんは」と春明が関心する。
「そんなことないよぉ」と和は照れる。
和は真面目な顔つきになり続けて言う。
「でもね、やっぱり自然に触れ合っている時が一番、アイディアが浮かぶかなぁ」
と空を見上げながら言った。
「自然ねぇ」と汐織もつられて空を見上げる。
汐織はふと何かを思い出したように話し始める。
「本で読んだことなんだけどね、自然と芸術について…」
と小難しい話しを始めた。
和は普段のふわふわした様子と打って変わって、熱心に話し始める。
「それはね…だからね…」
二人は春明などいないかのように熱心話し始める。
――和さん、本当に絵が好きなんなだなぁ。
と二人の様子を見て春明は思った。
話しに入っていけない春明は空を見上げる。
遠く山の向うに曇り空が見えた。
夜、汐織は深刻な顔つきで机に向かっていた。
開け放した窓からは湿っぽい風が入ってくる。
―もう梅雨ね。
春明に渡す予定のノートを開いてはいるが、ペンは止まったままだ。
机の上には交通安全ポスター用の案を書いた紙も散らばっている。
汐織は昼の出来事を思い返す。
春明はもう和さんと友達になった。
予想以上に早く、第一の目的を達してしまった。
それはいいのだがこれからどうするか…。
最終目的は、春明が恋人をつくる事だ。
もっと友達の輪を広げなくては…。
そう、当面の目標は女子の友達を多くつくること。
そうすれば恋人ができる機会も増えるだろう。
それにしても…。
何故だろうか、胸にもやもやとしたものがある。
和さんに隠し事しているからか、ぼんやりと罪悪感が胸の内ににわだかまってるのだろう。
やはり伝えた方がいいのだろうか。
和さんとはこれからも友達でいたい。
もう一度あいつに相談しよう。
汐織はそう決めると、再びペンを走らせる。
ぽつぽつと雨が屋根を打ち始めた。




