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次の日、晴れ晴れとした天気の中、春明と汐織はいつもの場所にいた。
「今日、和さん来るかしらね」と汐織は春明に聞く。
「さあ、わかんない」と気のなさそうにパンを食べつつ言った。
すると校舎側から和がパンを抱えて駆けてくる。
「やあ、お邪魔してもいいかな」といつもの笑顔で二人に聞いた。
「もちろんだよ」と春明も笑顔で答える。
和は二人の間にちょこんと座る。
「あのね」と和は切り出して、
「実は二人に手伝ってほしいことがあるんだけど…」
「なにかしら…。私たちにできる事なら」と汐織が答える。
「あのね、交通安全のポスターのイラストの事なんだけどね。二人にそのイラストのアイディアを出して欲しいんだ」
「アイディアか…俺なんか絵とか普段描かないからなぁ」と春明は首を傾げる。
「そんなこと関係ないよ。なんでもいいの、適当に描きなぐったものでもいいの」
「わかったわ。私たちも協力するわ」と言うと、春明をじろりと睨んで、
「ね、協力するわよね」と念を押す。
「あ、ああ。じゃあ書いてくるよイラストの案」
「わぁ、ありがとう。楽しみに待ってるね」と喜ぶ和。
その後、三人は昼休みの間中、なんでもない会話を続けた。
放課後、春明はバイトなので汐織は一人で図書館に行った。
「交通安全ねぇ」と唸りながらペンを走らせている。
紙にはデフォルメされた車と、警句が描いてある。
――こんなのでいいのかしら…。
春明もちゃんと考えてくるといいのだけれど。
汐織は次の紙を用意して、また描き始めた。
夜、春明は机に座り、腕を組んで考え込んでいた。
うんうん唸りっては、椅子に寄りかかる。
春明は何かを思いついたようにぽんと手を叩くと、ペンを動かす。
紙には信号のやら自転車の絵が描いてある。
春明は、かりかりとペンを動かし続ける。




