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下から三番目の恋愛活動  作者: 兵衛 清彦
第一章「霜月沙織と野咲和」
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バイトを終えた春明はいつものようにシャワーを浴びて、自分の部屋の布団の上で横になっている。

春明は『恋愛活動ノート』を開いて、昨日の続きを読み始める。

《口説く為の詩を、自分でつくること》

春明はがっくりと項垂れた。予想はついていた。

これは友達になったあとの段階での行動だ。しばらくは関係ないだろう。

そう言い聞かせて、春明はぱらぱらとページをめくり読み進める。

《積極的に練習方法を考えて報告すること》

汐織を相手に練習か。なにかいい練習方法はないだろうか。

 春明は、頭の中でシミュレーションしてみる。

 駄目だ、頬を叩かれる以外の自分が思い浮かばない。

 春明は左頬を擦りながら考える。

しばらくは汐織の指示にしたがっていこう。

ある程度したら、ちゃんと自分でも練習方法を考えよう。

春明は卓上ライトを消して目を瞑った。


芸術関係の本が乱雑に置かれた机。ライトに照らさる白いページ。

霜月汐織はかりかりとノートをとっていた。

「これでひと段落ね。あとは…」

汐織はペンを置いて一息つく。

背筋をぐぐっと伸ばし、首をこきこきと鳴らす。

ちらりと本棚を見て、父の著書『恋愛論』を手にとり読み始める。

結婚や恋愛に対する否定的な内容が主だった。

ぺらぺらとページをめくりながら、汐織は考えを巡らす。

恋愛というものは父の考えの通りなのか。

だから、父と母の関係はあんなに冷め切っているのだろうか。

《恋愛》が、どういうものだったら私は満足するのだろうか。

もっと、感情的で浪漫があるものだと望んでいるのだろうか。

ただ一つ確実なことは、私の考えは父とは違うということだ。

吾妻には悪いけど色々試させてもらおう。

 吾妻にも利益はあるはずだ。ちゃんと協力はしているんだ。

 汐織はまた手を動かし始める。

かりかりとペンの走る音が部屋の中に響く。



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