閑話 本質
イザナミは、静かに、ため息をつく……。
地獄と天国が出来て、既に、十年の月日が過ぎた。
閻魔を筆頭に、ナナシの輪廻転生を、強く求められている。
多くの死人の魂を喰らい、ナナシは既に、神の力を、凌駕している。
しかし、その魂は、誠に歪。
最近では、望まなくとも、力無い亡者の魂は、ナナシに、吸収されてしまう。
故に、その魂を封印し、現世に転生。
現世の中で、その魂を、正常に戻そうと言うのだ。
イザナミは、深いため息をつき、
「誰も、ナナシの事を、分かっておらん。あれこそが、ナナシの、本質なのじゃ。だから、わらわが……」
「イザナミ様♪」
不意に、ナナシが、イザナミを呼ぶ。
顔を上げる、イザナミ。
ナナシは、イザナミの顔を覗き込み、にっこり笑う。
「私は、イザナミ様の側を、決して、離れませんよ?」
その言葉こそが、イザナミの求めた言葉。
イザナミは、目を見開き、そして、慌てた様子で、ナナシの顔から、顔を背ける。
イザナミは、泣いていたのだ。
心から求めた言葉……!
ナナシは、あの男とは、決して違う!
そう、イザナギとは……!
イザナミは、耳まで、真っ赤に染め、慌てた様子で、
「馬鹿者!その様な事は、当たり前の事であろう!そなたは、わらわの側で、永遠に在り続けるのじゃ!」
「はい♪イザナミ様♪」
ナナシもまた、幸せに包まれ、満面の笑顔で頷く。
しかし、刻は、無常に、二人を、引き離そうとする。
イザナミとナナシ……。
刻は、この二人に、どの様な答えを、求めているのだろうか……?




