ヒヒイロカネの性能
黒く輝く、アダマンタイトの炉に、イフリートの炎が宿る。
凄まじい熱量!
建物全体にも、符呪を行い、熱を緩和する様にしたのだが……。
それでも、やはり、熱いな……。
ドーラは、珠の様な汗をかき、無心で、ヒヒイロカネを、力強く打つ!
しかし……。
これは、剣を創っていない?
一応は、叩いて、感触を確かめ。その後は、ヒヒイロカネを溶解させ、アダマンタイトの型に流し込み、丸みを帯びた物体に……!
「昨日、お前が帰った後、ノブナガに、催促されてのう」
「信長の奴、やってくれる。俺を、出し抜きやがったか!」
噂をすれば、なんとやら。後ろを振り向けば、満面の笑顔の、信長の姿が。
「ドーラよ!昨日の型で、例の物を、創ってくれたか?」
「ふん!後は、冷やせば、出来上がる筈じゃ!」
やれやれ……。
道楽が過ぎる。
ヒヒイロカネで、茶釜を創ったのか。
確かに、ヒヒイロカネの、熱伝導率を考えれば、葉っぱ数枚で、湯を沸かせるが。
まあ、いきなり剣を創るより、ヒヒイロカネの性能を試すには、丁度良いか。
しかし、ある意味、手の込んだものを、信長の奴は、ドーラに作らせたな。
型は、木彫りに、粘土の代わりに、アダマンタイトを使って、創らせるとは。
しかも、この型は、一回きりの物。
贅沢が過ぎよう。
信長は、ウキウキしながら、
「邪聖よ!お主の力で、この茶釜の時間を加速させ、完成させてくれ!」
「はぁ……。滅茶苦茶だな……」
俺は苦笑し、時間を加速する。
あっという間に、ヒヒイロカネは、型の中で、凝固した。
これで完成……?
ドーラが、細心の注意を払い、アダマンタイトの型をはがす。
目を輝かす、信長。
「ヒヒイロカネは、錆びぬのであろう?錆止めはいらぬな!早速、湯を沸かせ、飲んでみるとしよう!」
信長はそう言い、木の葉を数枚取り出す。
茶釜に水を淹れ、その木の葉で熱すれば、伝承通り、本当に、水が沸騰したよ。
これには、俺も、驚いた!
信長達も、大興奮だ。
そして、面白い事に、中の湯は、熱いまま。しかし、触れば、茶釜は、熱くない!伝承通り、これまた、冷たいのだ。
信長は、興奮したまま、
「この性能に、この奇抜で、美しい形!誠に気に入ったぞ!邪聖よ!ドーラに、褒美を渡すのだ!」
「俺が、渡すのかよ……」
この設備を、タダで造って、ヒヒイロカネを、渡しているのだぞ?
もう、十分だろう?
それでも、仕方が無い……。
「ドーラのおっちゃん。少ないが、白金貨、三枚。それと、この設備で、勘弁してくれ」
ドーラは、ムフッと、鼻を鳴らし、
「金は要らん!お前の言う通り、この設備で、十分じゃ!それから、早く、ヒヒイロカネを、大量に、持って来てくれ!各国の王達に、剣や刀を、献上するのだろう?儂は、納得した物以外は、世に出す気は無い!早く、研究させてくれ!!」
「はぁ……。グラード。ヒヒイロカネは、量産出来ているか?」
『問題ありません!通常の剣、百本ほどの、在庫があります!』
「そうか……」
横では、目を輝かす、ドーラ……。
はぁ……。
グラードの力も、反則級だよなぁ……。




