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天翔雲流  作者: NOISE
不死鳥の如く
1855/1865

理想郷……。

「セナ来たよ♪」

 セナは笑顔で、城へと、駆け込んで行く。

 センカ達も、笑顔で、

「セナちゃんだ!」

「皆で、一緒に遊ぼう!」

 子供達は、これ位、元気な方が良い。

 ヨルムとフィールも、後から、笑顔で、セナを、出迎える。

 セナは、ヨルムに抱き上げられ、

「セナよ!また、大きく成ったか?」

「うん♪」

 暖かな光景……。

 俺は、ルビア達と、優しく見守る。

 セナは、無邪気に笑い、遊んでくれている。

 これで良い……。

 セナの笑顔を、取り戻す事が出来た。

 俺は、ヨルブン達の方を向く。

 そして、真剣な顔で、

「さて……。スターリーの復興が、暗礁に乗り上げてしまいましたか?人、物、金……。スターリーは、多くを、失い過ぎた。今が一番、苦しい時でしょう」

 俺の見解に、ローバとヨルブンは、深く、息を吐く。

 ヨルブンは、ため息交じりに、

「ジャショウ殿の、推察通りだ。今回の大戦で、スターリー内の者達が、互いに、憎しみあった……。多くの愚臣の死で、一応は、決着がついたが。民は、スターリーを見限り、他国に流れている。もう、歯止めがきかぬのだ。貴族の威信は、失墜し。民は、一部の貴族以外は、決して、敬わない。恥ずかしい話だが、僅か、五つの、セナの威光で、どうにか、スターリーは、存続している。ジャショウ王、スターリーは、どうするべきかな?」

「はぁ……。それを、私に聞きますか?我が国にも、スターリーの民が、競う様に、集まっている。私も、不安に覚えていました。しかし、残念ですが、どうする事も出来ません。エネス国は、大きくなり過ぎた。スターリーに、帰順する事も出来ぬ。そもそも、民達が許さぬだろう。出来る事と言えば、今まで以上に、スターリーとエネスは、親密な外交をし。生活水準を、近づける事から、始めるしか無いでしょう。今まで、私腹を肥やしていた貴族は、その身を削り。民達の為の政を、精力的に行う。民達の信頼を、少しずつ、取り戻すしかありません」

「はぁ……。やはり、近道など無いか。しかし、ヨセフの計略で、愚臣は消えたが。ジャショウ王の様に、その身を削り、民達に寄り添える貴族が、今のスターリーに、何人居るか……?今までの、スターリーの善政では、とてもじゃ無いが、エネス国の水準に、追いつく事が出来ない。それでも、ジャショウ王は、エネスの国は、止まってくれぬのでしょう?スターリーは、最早、かつての栄光を、取り戻す事は出来ぬか……」

 ヨルブンとローバは、深く、息を吐く。

 残念だが、エネス国は、スターリーを、待つ事が出来ぬ。

 人々の熱狂が、エネス国を、天へと、押し上げているのだ。

 俺に、それを、止める事は出来ぬ。

 残念だ……。

 スターリーの民は、エネスを、知り過ぎているのだ。

 ギリセアを始めとする、他国と違い、スターリーに、エネスが在った。

 故に、スターリーの民は、エネス国を、理想郷と謡い。逃げ場としている。

 しかし、それでも、それを留めているのは、セナと言う存在か……。

 大人達の、なんと、不甲斐ない事よ。

 最早、今までの、当たり前は、通用せぬ。

 このままでは、スターリーの、貴族社会は、崩壊するだろうな……。


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