理想郷……。
「セナ来たよ♪」
セナは笑顔で、城へと、駆け込んで行く。
センカ達も、笑顔で、
「セナちゃんだ!」
「皆で、一緒に遊ぼう!」
子供達は、これ位、元気な方が良い。
ヨルムとフィールも、後から、笑顔で、セナを、出迎える。
セナは、ヨルムに抱き上げられ、
「セナよ!また、大きく成ったか?」
「うん♪」
暖かな光景……。
俺は、ルビア達と、優しく見守る。
セナは、無邪気に笑い、遊んでくれている。
これで良い……。
セナの笑顔を、取り戻す事が出来た。
俺は、ヨルブン達の方を向く。
そして、真剣な顔で、
「さて……。スターリーの復興が、暗礁に乗り上げてしまいましたか?人、物、金……。スターリーは、多くを、失い過ぎた。今が一番、苦しい時でしょう」
俺の見解に、ローバとヨルブンは、深く、息を吐く。
ヨルブンは、ため息交じりに、
「ジャショウ殿の、推察通りだ。今回の大戦で、スターリー内の者達が、互いに、憎しみあった……。多くの愚臣の死で、一応は、決着がついたが。民は、スターリーを見限り、他国に流れている。もう、歯止めがきかぬのだ。貴族の威信は、失墜し。民は、一部の貴族以外は、決して、敬わない。恥ずかしい話だが、僅か、五つの、セナの威光で、どうにか、スターリーは、存続している。ジャショウ王、スターリーは、どうするべきかな?」
「はぁ……。それを、私に聞きますか?我が国にも、スターリーの民が、競う様に、集まっている。私も、不安に覚えていました。しかし、残念ですが、どうする事も出来ません。エネス国は、大きくなり過ぎた。スターリーに、帰順する事も出来ぬ。そもそも、民達が許さぬだろう。出来る事と言えば、今まで以上に、スターリーとエネスは、親密な外交をし。生活水準を、近づける事から、始めるしか無いでしょう。今まで、私腹を肥やしていた貴族は、その身を削り。民達の為の政を、精力的に行う。民達の信頼を、少しずつ、取り戻すしかありません」
「はぁ……。やはり、近道など無いか。しかし、ヨセフの計略で、愚臣は消えたが。ジャショウ王の様に、その身を削り、民達に寄り添える貴族が、今のスターリーに、何人居るか……?今までの、スターリーの善政では、とてもじゃ無いが、エネス国の水準に、追いつく事が出来ない。それでも、ジャショウ王は、エネスの国は、止まってくれぬのでしょう?スターリーは、最早、かつての栄光を、取り戻す事は出来ぬか……」
ヨルブンとローバは、深く、息を吐く。
残念だが、エネス国は、スターリーを、待つ事が出来ぬ。
人々の熱狂が、エネス国を、天へと、押し上げているのだ。
俺に、それを、止める事は出来ぬ。
残念だ……。
スターリーの民は、エネスを、知り過ぎているのだ。
ギリセアを始めとする、他国と違い、スターリーに、エネスが在った。
故に、スターリーの民は、エネス国を、理想郷と謡い。逃げ場としている。
しかし、それでも、それを留めているのは、セナと言う存在か……。
大人達の、なんと、不甲斐ない事よ。
最早、今までの、当たり前は、通用せぬ。
このままでは、スターリーの、貴族社会は、崩壊するだろうな……。




