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天翔雲流  作者: NOISE
不死鳥の如く
1831/1865

俺の愛した国は……。

 対談の時……。

 南と北の国境に、両者の兵達が、ずらっと並ぶ。

 ヨセフは、満面の笑みで、ヨーレスを出迎える。

 片や、ヨーレスの方は、眉を顰め、ヨセフを睨んでいる。

 それでも、ヨセフはかまわず、

「やあ、我が弟よ!元気にしていたかい?」

「あ?つまらない口上は良いよ。南の要求は何だ?北は、兵を退く気は、さらさら無いぞ?」

「やれやれ、つれない事を言うなよ?私達三兄弟、助け合って、スターリーを発展させようと、誓い合ったじゃ無いか!私が、国を統べ。ヨシカが、政を行う。そして、ヨーレスが、軍事を統べる!忘れてしまったのかい?」

「あ?何を、白々しい事を、言っているんだ?全てを壊したのは、兄貴だろう?今更、そんな誓い、何の意味もねえよ」

 ヨーレスは、ヨセフの差し伸べた、手を払いのけ、怒りを露わにする。

 ヨセフは、肩をすくめ、

「やれやれ、君も、あの異分子に、惑わされているのかい?壊す事しか出来ない、あの愚か者に!!」

 ヨセフは、豹変し、怒鳴り散らす。

 異分子とは、俺の事だろう。

 ヨーレスは、鼻で笑う。

「それが、兄貴の本性か?壊す事しか出来ねえのは、兄貴の方だろう?兄貴に、何か創れたモノが有ったか?親父達が創った、スターリーから始まり。皆が、必死に創って来たモノを、奪い、壊して行った!愚か者は、あんたの方だろうが!!」

「私では無い!私が、壊したのでは無い!スターリーを!私達の絆を壊したのは、あの愚か者じゃ無いか!何故、それが分からない!!」

「はっ!分からねえよ!あんたは、一生、他人の所為にして、逃げ続けるんだな……。残念だよ。あんたが、そういう人間なら、俺達は、心置きなく、南を潰し、スターリーを、一つに戻す!次会う時は、戦場だ!」

 ヨーレスは、ヨセフに背を向け歩き出す。

 ヨセフは怒り、

「待ちたまえ!スターリーの王は、この私だぞ!あの男でも、お前でも無い!この私だ!今なら、罪を、不問としよう!私の前で、跪け!!」

 やはり、今のヨセフとでは、話に為らないな……。

 ヨーレスは、振り向きもせず、陣営へと戻る。

 冷めた目で、

「あれが、あの男の本性で。あの男の、限界か……。ちっぽけな人間だな……」

 ヨーレスは、儚く笑い、兄と。ヨセフと、完全に決別する。

 やはり、今のヨセフじゃ、話に為らないか……。



 北の猛攻が始まる……。

 今のヨセフに……。

 南スターリーに、それを止める術は無い。

 陥落してゆく、街々。

 スターリーは再び、一つに成ろうとしている。

 かつての王に、それを止める術は無い。

 今のヨセフに、何が出来る?

 北との対談でも、その本性を見せ、ヨーレス達の、最後の希望も、ぶち壊してしまった。

 最早、ヨセフに、味方など、存在しない。

 奴は、俺同様、壊す事しか出来ない。

 救われないな……。

 奴の、行動一つ一つが、多くの敵を作る。

 忠臣を失い、兄弟すらも失った。

 あいつは一人で、今も、玉座の上で、俺を呪う、呪詛を吐く。

 救われないな……。

 あいつも、ヨーレス達も。

 さてと……。

 俺は、エネスの為に、今日も、頑張って働きますか……。



「ジャショウ君。南スターリーから、書状が届いております」

「んあ?今度は何だ……?」

 俺は、手紙を手渡され、難しい顔で、それを読む。

 セナ達とヨルム達の、即時、引き渡しか。

 話に為らないな。

 俺は、手紙を破り捨て、何時もの業務に戻る。

 エローラ達は、不安そうに、

「要求は、何だったのですか?」

「んあ?別に、大した事では無いさ。セナ達や、ヨルムの親父達の、即時引き渡し。こっちは、一切、応じる気は無い!要らぬ心配は、必要無いよ。武力行使で来ると言うなら、俺は、容赦しない!徹底的に、潰すだけだ」

「そうですか……。しかし、今更何故、セナ様達を、要求したのでしょうか?」

「ああ……。簡単な話だ。ヨーレスは、スターリー統一後、セナの成長を待って、王位を譲ると宣言した。前王ヨルムと、次代の王を、南は手に入れ、正当性を保ちたいのだろう。そんな事は、俺が、絶対、許さないがな」

「なるほど……。ヨセフと言う男の浅ましさが、よく分かります。セナ様達の護衛を、少し、増やしましょう。ここまで、来られるとは思えませんが……。あの男は、何をするか、分かりませんからね」

「ああ、頼む、エローラ。マルスさんにも言って、入国審査も、今一度、徹底させよう。最近、スターリーからの難民が、多く、エネスを頼り、入国しているからな。万が一も有る」

「はい。警察組織の方にも、巡回を、強化させます。はぁ……。スターリーを離れても、未だ、スターリーに、振り回されるとは。ヨセフと言う男に、怒りを覚えます」

「ああ、面倒な男だ。だが、俺達が、手を下す訳にもいくまい。俺達が、スターリーを、侵略すれば、本当の意味で、スターリーが、滅びてしまう。それだけは、何としても避けたい」

 ああ、スターリー……。

 あんなに、愛した国だが、今の俺達にとっては、邪魔な存在か……。

 だが、情勢は、定まりつつある。

 スターリーを、滅ぼさずとも、ヨセフを打倒する事で、この争いは、簡単に、決着がつくだろう。

 しかし、それを、俺がやってしまえば……。

 何とも、もどかしい。

 この先を考えると、スターリーの事は、スターリーで、解決してもらわなくてはな。

 済まないが、ヨーレス達よ、頼りにするぞ……。


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