スターリーの王
「行こう、ヨシカ……。ヨルムの親父達には悪いが、こいつは、最早、救いようが無い。後は、ヨーレス達の仕事だ……。最早、今生で、会う事は無いだろう……」
俺は、ヨシカと共に、ヨセフに背を向ける。
ヨセフの憎しみが、俺の背中に、突き刺さる。
憎悪と共に、
「待ちたまえ!スターリー国王、ヨセフが、君に、罪を言い渡したのだぞ!君は、その罪と、向き合わなくては為らない!スターリーを、元に戻せ!今直ぐ戻すんだ!!」
何と、空虚で、重みの無い言葉だ。
これが、スターリーの王の言葉か?
ああ、確かに、セナを、俺に預けて、正解だったよ。
今の、お前の姿を、セナには、見させられないな。
何とちっぽけで、愚かな存在か……?
スターリー国王、ヨセフ……。
もう、俺の心には、貴様の言葉は、響かないよ……。
俺とヨシカは、エネス王城、執務室で、二人俯き、儚く笑う。
「壊れてしまいましたね……」
「ああ、壊れていたな……」
言葉が見つからない。
あのヨセフを見て、何が言えよう?
沈黙の中で、ヨシカは、静かに、涙を流す。
儚い、幻影であった……。
一時は、俺達全員、スターリーこそが、世界を牽引する、大国と成ると信じていた。
その為に、多くの苦難を、必死に耐えた。
それが……。
「あの男には、人を束ねる力は、無かったと言う事か……」
ヨシカは嘆き、空を仰ぐ。
あの男の、全てが、まやかしであったか。
我等は、騙され続けていたのか?
壊し、壊し!自らも壊し!奴は、玉座で、項垂れていた。
全ての、しがらみの囚われ。結局最後は、全てを壊してしまったか……。
哀れな男だ……。
あいつは、自分が壊れる程に、俺を憎み、求め続けていたか……。
王としては、軟弱で、優しすぎた。
結局、何も捨てきれず、崩れて行ったのだ。
あのヨセフを見たら、最早、俺は、怒りすら、心に沸いてこない。
同情、哀れみ?それとも、憎しみか?
俺の心は、何も感じられない。
薄情だが、最早、ヨセフに、何の価値も、見出せない。
その存在理由も、興味が無い。
スターリーの王?
最早、どうでも良い……。
その白は、白濁であったか……。
さらばだ、ヨセフ。
その、儚い夢と共に、消えゆく定めか……。




