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天翔雲流  作者: NOISE
不死鳥の如く
1829/1865

スターリーの王

「行こう、ヨシカ……。ヨルムの親父達には悪いが、こいつは、最早、救いようが無い。後は、ヨーレス達の仕事だ……。最早、今生で、会う事は無いだろう……」

 俺は、ヨシカと共に、ヨセフに背を向ける。

 ヨセフの憎しみが、俺の背中に、突き刺さる。

 憎悪と共に、

「待ちたまえ!スターリー国王、ヨセフが、君に、罪を言い渡したのだぞ!君は、その罪と、向き合わなくては為らない!スターリーを、元に戻せ!今直ぐ戻すんだ!!」

 何と、空虚で、重みの無い言葉だ。

 これが、スターリーの王の言葉か?

 ああ、確かに、セナを、俺に預けて、正解だったよ。

 今の、お前の姿を、セナには、見させられないな。

 何とちっぽけで、愚かな存在か……?

 スターリー国王、ヨセフ……。

 もう、俺の心には、貴様の言葉は、響かないよ……。



 俺とヨシカは、エネス王城、執務室で、二人俯き、儚く笑う。

「壊れてしまいましたね……」

「ああ、壊れていたな……」

 言葉が見つからない。

 あのヨセフを見て、何が言えよう?

 沈黙の中で、ヨシカは、静かに、涙を流す。

 儚い、幻影であった……。

 一時は、俺達全員、スターリーこそが、世界を牽引する、大国と成ると信じていた。

 その為に、多くの苦難を、必死に耐えた。

 それが……。

「あの男には、人を束ねる力は、無かったと言う事か……」

 ヨシカは嘆き、空を仰ぐ。

 あの男の、全てが、まやかしであったか。

 我等は、騙され続けていたのか?

 壊し、壊し!自らも壊し!奴は、玉座で、項垂れていた。

 全ての、しがらみの囚われ。結局最後は、全てを壊してしまったか……。

 哀れな男だ……。

 あいつは、自分が壊れる程に、俺を憎み、求め続けていたか……。

 王としては、軟弱で、優しすぎた。

 結局、何も捨てきれず、崩れて行ったのだ。

 あのヨセフを見たら、最早、俺は、怒りすら、心に沸いてこない。

 同情、哀れみ?それとも、憎しみか?

 俺の心は、何も感じられない。

 薄情だが、最早、ヨセフに、何の価値も、見出せない。

 その存在理由も、興味が無い。

 スターリーの王?

 最早、どうでも良い……。

 その白は、白濁であったか……。

 さらばだ、ヨセフ。

 その、儚い夢と共に、消えゆく定めか……。


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