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天翔雲流  作者: NOISE
降りかかる火の粉
1823/1865

閑話 裏切り……!

「ヨーレス殿下!お怪我は、ありませんか!?」

「いつつ……。兄貴の奴、手加減無しかよ。まさか、諫めただけで、牢屋に入れられるとはな……。それより、ローバとアルブレッド。お前達が、俺を助けて、大丈夫なのかよ?」

「心配なされるな。最早、ヨセフ閣下には、付いて行けぬ!今、我が愚息が、リリイ様と共に、一族をまとめ、退路を作っています。ロンベル殿も、ヨルブン大公と共に、兵を挙げました!急ぎ、合流いたしましょう!」

「私の方も、一族を、スターリーの街から、退避させております!軍の一部が、ヨーレス殿下を慕い、暴動を起こしております。これに乗じて、ここから、脱出しましょう」

「ははは……。兄貴の、懐刀である、お前達を、信じろと言うのか?俺を利用し、ロンベルの親父達の懐に潜り込み、兄貴の兵を、招き入れるつもりじゃ無いのか?」

 ヨーレスは、真っ直ぐ、ローバ達を見つめる。

 しかし、そんな、ヨーレスの心配も、ローバが、見せたモノにより、杞憂に終わる。

 一つの、四角い箱……。

 ローバは、おもむろに、その箱を開ける。

「っ!?」

 ヨーレスは、言葉を失った。

 ローバは、涙を流し、震えた声で、

「我が、息子です……。ヨーレス様に対する、ヨセフ閣下の処置に怒り、私の制止を振り切り、御諫めに行きました……。その結果が……!」

「兄貴は、本当に、壊れてしまったのかよ!?」

 そう、箱の中には、ローバの息子の、生首が……。

 その生首は、怒りの形相で、虚空を睨んでいる。

 アルブレッドも、俯き、震えている。

 今まで、ヨセフの暴政に、必死に耐え、仕えて来た、二人に対しての、最大の裏切りだ。

 アルブレッドとローバが、裏切ったのでは無い!

 ヨセフが、裏切ったのだ。

 ヨーレスは、痛む体を庇いながら、その首を、強く、強く!抱きしめる。

「馬鹿野郎!俺なんかの為に、死んじまうなんて!俺なんかの為に……!済まない!本当に済まない!!」

 ヨーレスは、声を殺し、心の底から、涙を流す。

 怒りの形相に変わり、

「この償いは、兄貴の首で、必ず返す……!」

 血を分けた兄弟の、完全な決別。

 スターリーは、嘗てない、混乱の世に、変わる事だろう。

 地獄が、足音を立てて、ゆっくりと、近づく……。


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