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天翔雲流  作者: NOISE
降りかかる火の粉
1819/1865

その目は、未だ目覚めぬか……。

「海に、道が出来た!ジャショウ、凄いねえ♪」

 王子セナや、子供達を連れて、このエネス大橋観光と、洒落込む。

 セナ達は、大興奮だ。

 エネスの民も、かなりの数が、観光に来ている。

 まあ、はなから、心配していなかったが。これだけの人が集まっても、橋は、びくともしない。

 強度は、バッチリな様だ。

 出店まで、出している奴がいるな?

 と思ったら、ガッツ達じゃねえか!

 俺は、苦笑し、

「おい、ガッツ!まだ、この橋の強度を、確認している途中だ。出店なんて出すなよ」

「ははは!ヨシカの旦那達が設計し。イヴちゃん達が助けて、お前が創ったんだ!そんな事、心配する必要無いだろう?」

「はぁ……。まあ、否定はしないが……」

「そうだろう、そうだろう♪そんな事より、お前達も、食って行けよ♪ゴミは、その横の、ゴミ箱にな♪ここも、エネス国の、名所に成るぞ♪」

 子供達は、ガッツに、ビックボアの串焼きを手渡され、大いに喜ぶ。

 ついでに、アルテイシア達も……。

 アルテイシアとガッツは、顔を見合わせ、にやりと笑っている。

 アルテイシアは、意地悪く、

「あ~あ!独立して、こっちに来るなら、もっと早くに、来なさいよ!年末で、ギリセアだって、忙しいのに。これじゃあ、帰れないじゃ無いのよ!」

「そうだぜ?強欲勇者!俺達だって、ギリセアとなら、良き隣人として、こうやって、助け合えるんだ!もっと早く、決断して欲しかったぜ!」

「はぁ……。無茶を言うな……」

 本当、ガッツとアルテイシアとライムが揃うと、俺は、悪者にされてしまう。

 これでも、頑張っているのよ?

 不貞腐れる俺の頭を、ガッツは、クシャクシャに撫で、

「まあ、分かっているさ!スターリーの事も考え、お前が、頑張っている事は!これからは、エネスとギリセアの為に、頑張ってくれ♪」

「そうね♪馬鹿犬!アリネの発展に、力を貸しなさい!」

「へいへい……。城壁の拡張ぐらいなら、スターリーの時の様に、やってやるよ……。その代わり、中身は、自分達で作れ?そうしないと、スターリーの二の舞だぞ?」

「そうね。そこら辺は、私達の方で、頑張っていくわ!」

「はぁ……。そうしてくれ……」

 やれやれ……。

 アルテイシアの事だ。

 スターリーの失敗を、よく理解しているのだろう。

 それでもやっぱり……。

 心配に成るよなぁ……。



 ヨセフから、親書が届いた……。

 建国して、七日……。

 異様に早いな……。

 内容によっては、破り捨ててやる!

 兎に角、使者が、船で来たと言う。

 形だけでも、もてなさなくては……。

 俺は、謁見の間へ。

「待たせたな」

 謁見の間では、一組の男女が、首を垂れている。

 やれやれ、そう来たか……。

 その男女は、

「ご無沙汰しております。ジャショウ王。建国おめでとうございます」

「これは……。リリイ殿とアルフォンス殿。お二人が、使者として、参られたか。お二人からの祝辞は、喜んで、受け取らせて頂きます。それで、ヨセフ王からの、親書と言うのは?」

「こ、こちらと成ります……!」

「ははは!アルフォンス殿!そう、緊張しないで下さい。昔は、共に、拳を交えて、語り合った仲ではありませんか」

「は、はっ!し、しかし、この国の壮大さ。ジャショウ様の、その貫禄。緊張するなと言われても、難しい話です……」

「ははは!私に、貫禄などありますか?今は、王など、務めさせてもらっていますが。昔と変わらず、冒険者もやっている、ぼんくらですよ」

 俺は、笑いながら、お道化て見せる。

 アルフォンスは、幾分か、緊張がほぐれ、ぎこちない笑顔で、俺に、ヨセフからの手紙を、手渡す。

 さて、ヨセフの馬鹿は、何を書いて来たか?

 俺は、手紙に目を通し、深々と、ため息をつく。

 内容は、俺に対する、待遇の改善。エネスに対する、干渉の制限。それらを以て、スターリーに、戻って来て欲しいと……。

 今更、何を、ほざいているのだ?

 俺は、顔をしかめ、手紙を、横に居たヨシカに、手渡す。

 鼻で笑うヨシカ……。

 リリイもまた、苦笑している。

 アルフォンスは、どうしたら良いのか分からぬと、困っている様だ。

 俺は、再び、ため息をつき、

「アルフォンス殿。アルブレッド殿は、何と言っておられましたか?」

「は、はっ!父は、今の、ジャショウ王と同じ顔をし、今更、全てが遅いと、嘆いておりました」

「だろうな……。もう、エネス国は、建国している。船からも、その全容を、見たであろう。ヨセフ殿には、今更、泣き言は聞きたくないと、伝えておいてくれ」

「はっ!畏まりました!」

「うむ。話は以上だ!ここからは、親族として、楽にいたせ。ここには、ヨルムの親父達を始め、ヨシカや、他のお姫様達も、暮らしている。急ぎの旅で、疲れたであろう?しばらく留まり、旅の疲れを、癒してくれ」

「はっ!寛大なご厚意、誠に感謝致します!」

「ははは!アルフォンス兄さん!そう、畏まらないでくれよ♪折角だから、今日は、共に、酒を飲み交わそう!ヨシカも、大丈夫だよな?」

「ええ、大丈夫ですよ。しかし、ヨセフと言う男には、困ったものだ。姉上、万が一、あの男が、思い通りに成らなかったと、姉上達を責めたら、我ら一同、ヨセフと言う男の、思慮の浅さに、怒っているのだと、伝えてください。そして、姉上達に、罰を与えようものなら、エネス国は、スターリーを、敵国と見なすと、お伝え下さい」

「ええ……。正直、我が弟ながら、幻滅しておりますよ。この期に及んで、ジャショウ君や、エネスが、スターリーに戻るなどと、最早、誰も、考えておりません。それに、執着しているのは、ヨセフだけですよ。多くの家臣達は、エネスの建国を祝い、祝辞を書くように、忠言していたのですけどねぇ……」

「貴族の言いなりに成ったかと思えば、賢臣達の、忠告も聞かない。我が兄ながら、愚かで、浅ましい男だ……」

 俺達四人は、顔を見合わせ、深々と、ため息をつく。

 荒療治でも、あの男の目を、覚まさせる事は、出来なかったか……。


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