第5話:逆バズリ
【悲報】フェイク配信ユーチューバー、限界突破www
1:名前:ダンJ民の名無しさん
https://www.youtube.com/wootch?v=ftHBUnLfIyM&t=479s
2:名前:ダンJ民の名無しさん
これはひどい
3:名前:ダンJ民の名無しさん
新人シーカーとか書いてあるけど、設定雑すぎワロタ
4:名前:ダンJ民の名無しさん
どこの世界に初心者でヘルハルマゲドン撃てる奴いるんだよwww
5:名前:ダンJ民の名無しさん
しかも無詠唱で撃ってんじゃん
6:名前:ダンJ民の名無しさん
ゴブリン相手に超位魔法とかオーバーキルにもほどがある
7:名前:ダンJ民の名無しさん
俺、その部分は結構好き。普通にギャグとして面白い
8:名前:ダンJ民の名無しさん
これどうやって作ったんだろうな? CG? AI?
9:名前:ダンJ民の名無しさん
どっちもじゃね? 知らんけど
10:名前:ダンJ民の名無しさん
ただクオリティは高いよな
11:名前:ダンJ民の名無しさん
この才能をどうしてまともな方向に使えなかったのか
12:名前:ダンJ民の名無しさん
その後の展開もやばかったよな
13:名前:ダンJ民の名無しさん
ああ、あれだろ? なんかおもちゃみたいな白の剣出して、雑魚相手に無双し始めたやつ
14:名前:ダンJ民の名無しさん
早すぎて動き見えないとかある?
15:名前:ダンJ民の名無しさん
ないない、普通は。その域に達してるのはS級冒険者だけ
16:名前:ダンJ民の名無しさん
でもAIにしては違和感少なくなかった
17:名前:ダンJ民の名無しさん
だからCGだって
18:名前:ダンJ民の名無しさん
なんにせよ、最近、こういう輩が増えすぎ。そうまでして承認されたいのかねえ?
19:名前:ダンJ民の名無しさん
いや、わからんぞ? 実は本当にS級の冒険者かも
20:名前:ダンJ民の名無しさん
んなわけあるか。現在、日本に登録されてるS級は数えるほどしかいない。しかも全員10代~20代前半
21:名前:ダンJ民の名無しさん
こいつ、どう見てもおっさんだもんな
22:名前:ダンJ民の名無しさん
ハゲてないのは羨ましい
23:名前:ダンJ民の名無しさん
ほんそれ。こいつフサフサやんけ。タヒね!
24:名前:ダンJ民の名無しさん
せやせや! タヒね!
25:名前:ダンJ民の名無しさん
↑毛根嫉妬民湧いて草
26:名前:ダンJ民の名無しさん
結論としてはフェイクってことな?
27:名前:ダンJ民の名無しさん
結論も何も最初から答え出てる
28:名前:ダンJ民の名無しさん
結局、冴えないおっさん無双はネット小説の中だけの話か
29:名前:ダンJ民の名無しさん
ワイおっさん、夢も希望もない未来に涙が止まらない
30:名前:ダンJ民の名無しさん
大丈夫、みんな同じやで。こんな掃きだめに書き込みしてる時点で社会の底辺確定や
31:名前:ダンJ民の名無しさん
悲しいなぁ……
32:名前:ダンJ民の名無しさん
つか、こんな時間に書き込みしてる時点でお前らみんなニートやろ?
33:名前:ダンJ民の名無しさん
ニート→×
自宅警備員→〇
34:名前:ダンJ民の名無しさん
警備員なら仕方ないか
35:名前:ダンJ民の名無しさん
ま、なんにしても、またこういうフェイク動画上がったら積極的に拡散しようぜ
36:名前:ダンJ民の名無しさん
賛成
37:名前:ダンJ民の名無しさん
アルカリ性の逆
38:名前:ダンJ民の名無しさん
悪は絶対滅ぼすべし
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「だぁ~! もうっ、やっぱりこうなったぁ~!」
脱ぎ散らされ枯れた衣服やペットボトルなどで汚れた部屋で、だぼだぼのパーカーを着た眼鏡の少女が頭をガリガリ掻きながら叫んだ。
そんな後ろで冴えないアラサー、藤増誠は、部屋中に転がった空のペットボトルを拾い集めぺりぺりとラベルをはがしている。
「陽菜ちゃん、あのさ、前からずっと思ってたんだけど、部屋はもう少し片付けた方がいいよ。ちょっと片付けよ。なんならおじさん手伝うからさ?」
「今、それどころじゃないんだって!」
「どうしたの?」
「ほら、これ見て!」
そう言って陽菜が差し出したモニターには、再生数が5000を超えた昨日の配信動画がある。
「おっ、伸びてんじゃん。最初にしては上出来じゃないの?」
「そこじゃない! 低評価の方を見て!」
「うわぁ、300超えてる……どうして? 何が起こったの?」
首を傾げる誠に対し、陽菜は「あのね」と説明を始める。
なんでも近年、ダンジョン配信という文化が定着し、一定以上の収益をあげる者が増えると、新たな社会問題が生じたらしい。
それこそが「フェイク配信」だ。
それには様々な手口があり、たとえば1体の魔物を複数人で弱らせてから、編集でその部分をカットしてソロで攻略したように見せるとか。
あるいはCG。
中でも、近年めざましい進歩を遂げている生成AIによる動画制作は、誠のようにまっこうからダンジョンに挑まんとする者に対する大きな枷になっているらしい。
「ねえ、もっと手加減はできないの? たとえばさ、剣だって、あんなに目にも止まらないスピードで振らなくったってゴブリンやスケルトンぐらいなら簡単に倒せると思うんだけど」
「あー、まあ、それは思ってる。ここの魔物たち案外弱いね」
「なら次からは手を抜いて」
「それは無理」
「なんで?」
「だって命に関わるもの」
それを聞き、陽菜は顔を上げた。
そうして後ろにいる叔父を横目に見る。
「あのね、陽菜ちゃん、よく聞いて。死んだ人間を生き返らせるなんて都合のいい魔法は、どの世界にも存在しない。ダンジョン攻略は文字通り命懸けの作業だ。気なんて抜いたら死ぬんだよ」
陽菜はキャスター付きの椅子をぐるりと一回転させた。
そうして誠に向き直る。
「……ごめん、おじさん。そうだよね。安全地帯から見てるだけだったから麻痺してたけど、モンスターと戦うのって怖いよね。わたしの都合を押し付けてごめん。自分のことしか考えてなかった」
陽菜はぺこりと頭を下げた。
あ、いや、そこまでしなくても……と、誠は頭を上げるよう言う。
気まずい沈黙が訪れた。
ぽりぽりと頬を掻いた誠は、部屋をきょろきょろ見渡し、壁に掛けられたままになっているセーラー服の一式を見た。
(ずいぶん使ってなさそうだな)
そもそもである。
昨日も今日も平日であり、それなのに女子高生が昼間から部屋にいるのはおかしな話だ。定時制だとは聞いてないし、特に健康に問題があるようにも見えない。
となると、彼女は、恐らくは……
「わたしがなんで不登校なのか気になる?」
と、視線から思考を読んだのか、陽菜がずばりと聞いてくる。
「あ、いや……」と、口ごもる誠であったが、彼女の真剣な瞳に見つめられ「聞いていいなら」と彼は言った。
「なんでもない、すごくありがちな話。部活でいじめられたんだ。理由とか経緯とかは長くなるから割愛するけど、それで学校に居場所がなくなっちゃったの」
「そっか……しんどいね」
「うん、しんどい。毎日、胸がきゅってなる」
陽菜はパーカー越しに胸を押さえた。
訳ありなのだとは思っていたが、まさかそんな事情があったとは……
「そんな時にね、ある配信者さんの動画を見たの。〝みおみお〟さんって人、知ってる」
「ごめん、知らない。あとで見せて」
「ん、わかった。わたしがダンジョン配信にこだわるのはね、その配信者さんの影響なの。でも、ただの憧れとは違うかもしれない。みおみおさんみたいに動画をバズらせて「本物の配信者」になれたなら、わたしのいじめには意味があった。そうなるための時間だったって自分に言い訳できるでしょ?」
「でも、それは……」
「わかってる。現実逃避。自分でもそれは気付いてるんだ。でも、そう思わないと持たないよ。こうしてモラトリアムしていることに納得のいく理由を見いだせないの」
陽菜は乾いた笑いを浮かべる。
姪っ子からの告白に、誠は少なからずかつての自分を見たような気がした。
彼は思い出す。
別にいじめとかがあったわけではない。
ただ日常に退屈していた。
そんな時、唐突に異世界への召喚イベントが起きた。
向こうの世界に行ってからは、元の世界に帰ろうなんて当時は微塵も思わなかった。ただ勇者という職に明け暮れて本来の青春をないがしろにした。
そこには少なからず現実からの逃避があったんじゃなかろうか?
思った誠はベッドに腰掛け、陽菜の顔をじっと見た。
「あのさ、陽菜ちゃん、1ついい?」
「お説教?」
「説教というか、人生の先輩からのアドバイスみたいなものかな」
誠は静かに語り出した。
それは大まかにいえば、こんな感じのものだ。
別に今の活動を止めるつもりはない。
そのための協力は惜しまないつもりでいる。
ただ、これだけは約束してほしい。
将来の理想の自分のために自分の「今」を否定しないでほしい、と。
「学校に戻れって意味じゃないよ。行きたくないなら行かなきゃいい。でも〝こうでないと駄目〟だとか〝自分はこうあるべき〟だとか、そういうのを原動力にしない方がいい。負のエネルギーって強いけど、あんまり長くは持たないからさ」
「……驚いた」
「何に?」
「おじさんの口から普通にいい言葉が出て来るなんて」
誠は思わず、ずっこけそうになった。
結構、考えてしゃべったのに、なんか茶化された気分である。
「ようは〝楽しくやろうよ〟って意味でいい?」
「あー、うん、それ。それが言いたかった。ああ、あとこれは関係ないけど、もしもこのまま学校辞めるなら高卒認定資格だけは取っておきなよ?」
「その心は」
「中卒アラサー無職はつらい。それを身に染みて実感してる」
誠ががっくりと肩を降ろしながら言うと、陽菜はクスリと笑い、彼の頭をやさしく撫でた。
「よしよし、おじさん。頑張ろうね~」
「うわ、JKに撫でられてる。通報されんじゃないの、これ?」
「なんなら膝枕してあげるよ?」
「ンなことさせたら姉さんに殺されるわ」
陽菜は「そうだね」と微笑んだ。
かくして2人はしばしの間、お互いに心地よい時を過ごしたのだった。




