村の人々
「多嘉良さーん」「おお、いらっしゃい。美和のお友達…えーっと」
多嘉良が頭を掻いてさえを見る。
「田島さえです。よろしくお願いしまーす」
「うんうん、JKは元気でいいねぇ。おじさん、今はこんなだけど…」
出っ張ったお腹をポンポンしながら「若いころはイケメンでー…」言いかけると
「うん、それ100回くらい聞いた。これお土産ね」と美和は荷物を渡して
「村の中を案内してくるねー」と、来た道をひき返す。
「晩御飯までには帰るんだぞー」
「お母さんみたい。美和のお母さんの幼馴染…だっけ?」とさえが笑う。
「うん。とっても面倒見がいいの。いい人なの。」と美和が笑う。
*
10歳くらいの男の子と女の子が川の中で泳いでいた。
「あ 美和ちーん」少女が声をかける。
「梓ちゃん、早瀬さーん」美和が手を振る。少年は早瀬。少女は梓といった。
「多嘉良さんのトコにお土産置いてあるから、あとで寄ってね」
「ありがとー」嬉しそうにふたりが手を振った。
「ねえ、まだ6月になったばかりだよ。泳ぐには早くない?」
心配そうにさえが言う。
「あの二人、泳ぐのが得意で好きなの。だから大丈夫」
「そ…そうなんだ」美和の説明にイマイチ納得がいかないけれど、
まあ、いいか。と頷くさえだった。
*
坂を上ると大きな屋敷があって、その前に銀色の長い髪をした
着物の男性が立っていた。やや耳が大きい。
「やあ、いらっしゃい」低いけれど爽やかな声が心地いい。
「こんにちは。戸隠さん。今日は友達と来たの。」
「そうか。隣にいらっしゃる人?」
「はい。彼女が田島さえちゃんです」美和が手のひらを上にして、
さえを紹介する。
「よろしくさえさん。ゆっくりしていってください」
「あ はい。ありがとうございます」おじぎをするさえ。
「じゃあまたあとで」美和は手を振って、戸隠と別れる。
「ちょっと素敵な人だね」さえが美和にささやく。
「イケメンでしょー」 「うんうん」
*
「あら美和ちゃん、お友達?」と向かいから歩いてきた老女が声をかけた。
「志乃おばあちゃん、こんにちは」
「こんにちは。美和の友人の田島さえです」
「あら、うふふ。わたしが視えるのねぇ」と老女は消えた。
「はっ?え?えええ?」
「志乃おばあちゃんは、去年亡くなって…まぁ、そういうことで」
美和の説明に「美和も視えたよね?」と確認するさえ。
*
「橘さんが言っていた小学生の時の話は本当で、私にはそういう力があるの。
死人が視えて、話せる」
少し悲しそうに笑う美和だった。
「じゃあ、視えたわたしも同じ?美和と一緒。やだぁ。なんか嬉しい。
びっくりするより、仲間って感じで嬉しいかも」とさえが笑った。
「マジで?そう思う?」美和の問いに「当たり前じゃん。」と
さえはえへへと笑った。
【なくしたくない大切な親友】だと思う美和だった。
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