第9話脅かしてやりました。
次回は明日の12時過ぎに第10話掲載予定です。
ブクマ、感想、評価出来ればよろしくお願いします。
グランさんが俺の前に来た。
「「⋯⋯⋯⋯」」
互いに無言であるが、グランさんの威圧感は相変わらず強烈で、少し顔が強張る。
「どうしたんですか?」
俺は首を横に傾ける。
スキルを探りに来たのだろうか?やはりフィンに任せすぎたか⋯⋯。
しかし、俺の予想は見事に外れた。
「ガハハッ! こいつ強いな!」
グランさんはフィンを見て言う。特に何も質問されることなく、単純に褒められたのだ。
「ええ、まあ⋯⋯。フィンを召喚出来たことは幸運でした」
そして俺は無難に返す。
本来召喚魔法で呼び出せる魔物の強さには限度があるから厳しい言い回しである事には変わりない。
「そうだな! お前もその魔物に恥じないように頑張れよ」
しかし、グランさんはその事を知らないのか俺の言葉を信じてくれたようだ。ラッキーである。
その事で安心する俺。
グランさんはそのまま元いた位置に戻って行った。
「おい、チューニ野郎が褒められてたぞ」
「調子のってんじゃねーぞ」
「ドヤ顔マジキモいんですけど」
いつも俺をけなしてくる3人組(高橋、三宅、宮田)が俺に言う。
どうやら俺が褒められた事が気に食わなかったようだ。
「⋯⋯⋯⋯」
俺はそいつらに興味はないのでいつものように軽くスルーする。
3人組は俺のその態度でこめかみに青筋を浮かべていた。
「おい、何とか言ってみろよ」
「もしかしてチビっちゃってる?」
「ウケる〜」
「⋯⋯⋯⋯」
俺は無視し続ける。そして敢えて言うなら3人組の方が腰がひけている。
そんな嫌がらせをしている暇があったらもっと自分たちのためにスライム討伐を進めるべきだ。
俺はこの世界で絶対に生きていたいから。
しかし、それにしてもいつもより絡みがめんどくさいと感じる。
3人組は王城での件で俺に恨みでも持っているのだろうか?
勝手に仲間割れ始めたのはそっちだろうに。
フィンは少し前から3人組に不快感を示しているのか仏頂面だ。
「あいつらも敵ですか?」
「違うぞ。嫌な奴らだけどな」
「ご主人様の事を馬鹿にするとは万死に値します」
そう言って圧倒的な殺気を放つ。
周りの気温が一気に下がったように感じられるほど濃密な殺気だ。
空も徐々に曇り始める。これ程か!?
「排除します」
フィンは3人組の方に1歩ずつ歩き出した。
あっ、これは本格的に危ない奴だ。
「おいおい、止めろ。人殺しは出来るだけしたくない」
「でもあいつらご主人様を馬鹿にしました」
「気にする事はないって。ほら、俺はあいつらに比べて器がデカイから」
「分かりました。今回はご主人様に免じて許してやります」
やっとフィンも気持ちを静めたようだ。
凍えるような殺気から解放される。
3人組の方を見ると石像のように固まっていた。いつもなら嫌味を言うとすぐ食ってかかるくせにただただ口をパクパクさせているだけだ。
壊れたオモチャみたいだ。
そして3人組のフリーズも3秒程度で解けたようだ。
「お、覚えてやがれー!」
「い、いこうぜ、高橋!」
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」
3人ともそう言って走って行った。
捨て台詞を吐いてからの逃走なんて雑魚丸出しだろうに。
まあ、これはトラウマになっただろう。
しかし、殺気なんて生きていて一度も感じた事はなかったけどさっきのはすごかったなぁ。
『恩恵』付与で身体能力が10倍になった分、そういう所にも影響が出ているのかな?
ところで今、俺達はどのくらいレベルアップしたのだろう?
「よし、フィン! 一旦ステータス確認しようか」
「了解です、ご主人様!」
***
名前:ヒロユキ・オオサコ
種族:人間
レベル7
HP:208
MP:175
物理攻撃:188
物理防御:140
魔法攻撃:152
魔法防御:120
素早さ:166
運:測定不能
スキル
【眷属創造】
【神々の寵愛】
【物体会話】
【スキル隠蔽】
装備
鉄の剣
皮の鎧
***
名前:フィン
種族:龍神ディアボロス
レベル9
HP:2701
MP:2524
物理攻撃2601
物理防御:2200
魔法攻撃:2413
魔法防御:2070
素早さ:2404
運:2091
スキル
【人身変化】
【逆鱗】
【超成長】
【火魔法】
【神格】
***
フィンのステータスは相変わらずぶっ飛んでるな。【超成長】の為か能力値の伸び率も俺よりいい気がする。
なんかフィンのステータスを見ていると俺のステータスが物凄く情けなく見える。
他の皆もこんな感じだと思うんだけどな。
「よし、ちゃんと成長してるね。この調子でドンドン行こう」
「はい。けど、スライムの数が少なくなってきましたね」
「そうだね。もしかして今が夕暮れだからかな?」
「そうかもしれません」
スライムは日中に活動する魔物である事はグランさんの事前説明で言われていた。
「なら、急ごう。今日はスライム討伐しかしないらしいし、レベルアップは早めにしたいからね」
「任せてください、ご主人様!」
こうしてスライム討伐を更に急ピッチで進めていく。
ズシャ!
俺は片手剣を上段から振り下ろして核を壊していく。
ズシャバジャジャバジャ!
その間にフィンは目にも映らない速さで移動しながら攻撃していく。どちらの討伐数が多いか目にも明らかだ。
「マジかよ⋯⋯」
俺はその様子を見ながら独りでそう呟くのだった。
次回は明日の12時過ぎに第10話掲載予定です。
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