第8話トレーニング始まりました。
次回は今日の5時から6時までの間に第9話掲載予定です。
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あたりが一瞬で静寂に包まれる。
その後、眠そうな目をした男子生徒が口を開いた。
彼の名前は木嶋洋。学校の授業どころか休み時間や昼食の時間まで寝ていて赤点連発の問題児の1人だ。I.Qテストで214という脅威的な数値を出しているから勉強もやれば出来ると思うんだけどな。
因みに俺はI.Qテスト110程度だ。これでも一応平均よりは上なんですよ。
「リーダーって言っても皆のステータスが分からなかったら決められないんじゃない〜?」
確かに俺もそう思った。
クラスの何人かもうんうんと頷いている。
「確かにそうです。しかし、皆さんはステータスを明かしたりしたくはないでしょう。だから、取り敢えずみんなを引っ張っていけそうな人がなるべきだと思います」
小坂さんが木嶋に返答する。
しかし、一癖も二癖もあるうちのクラスの人間を引っ張っていける奴なんているだろうか?
俺が知る中でそんなことが出来るのは小坂くらいだ。
「それならクラス委員長でいいんじゃないの?」
「そうねぇ、私もそう思うわ」
「異論はない」
「小坂さんでいいと思います」
皆が小坂さんを推薦する。
皆も俺と同じで彼女が1番の適任者だと思っているようだ。
「えっ!? 本当に私でいいんですか?」
「いいんじゃない?皆がそういっているんだから」
「私は無理だよー、莉子」
小坂さんは自分がリーダーになるのに否定的なようだ。
まあ、誰だってそういう反応するわな。責任感凄いだろうし。
⋯⋯いや、そうでもないか?
そう言えば1人いたな。究極のナルシストが。
「僕がなろう。この山根圭吾が!」
「あんたには無理!」
「委員長、今のは無視でお願いしまーす」
「お前がリーダーになったら土に埋める」
「「「異議なし!」」」
「⋯⋯⋯⋯」
山根圭吾という男子生徒は完全に黙り込んでしまった。
山根圭吾は顔面偏差値50、成績は中の中という普通の男子生徒であるが⋯⋯残念なことに究極のナルシストである。
因みに、心底どうでもいい情報であるが彼は写真を撮るときに体を斜め向きに向けて撮るそうだ。
「なら小坂さんで決まりかな」
木嶋が目をこすりながら呟く。相変わらず眠たそうだ。
そして他の皆も頷く。満場一致のようだ。
小坂さんはその空気に負けたのか、溜息をついて前に出る。
「⋯⋯分かりました。これからも皆さんよろしくお願いします」
そういって深々と頭を下げたのだった。
予想通りの結果で何の面白みもなかったな。無難では有るが。
まあ、だからと言って俺はリーダーになる気はサラサラなかったが⋯⋯。
それから俺たちは夜の歓迎会に参加してぐっすり眠った。
歓迎会は凄く豪勢で俺も最初は興奮していたが、沢山の貴族がいて、挨拶の対応に苦労したせいかあまり楽しめなかった。
そして朝9時を迎えるのだった。
***
明るい光が俺の部屋に差し込んでくる。
俺はその光で目を覚ました。
昨日の歓迎会ではあまり楽しむ時間がなく、美味しい料理を腹一杯食べることが出来なかったから、お腹がすいている。
よし、昨日歓迎会の終わりに説明があった通りホールで朝食をとろう。
眠気は耐えれるが、空腹には耐えられそうにない。
確か、朝の8時くらいまで大丈夫だったはずだ。
そうして俺は何時か確認するため時計を見た。
時刻は8時52分であった。
「ヤバいー! 起きろ、フィン!」
俺はそう叫んび、フィンを一瞬で叩き起こした。
焦りで眠気と空腹は一気に吹っ飛んで、俺とフィンはパジャマのまま昨日言われた場所に走るのだった。
俺はその時すごく焦っていて忘れていたのだ。
いつも上はパジャマを着て寝ているが、下はパンイチで寝ていることを。
***
あの後、集合時間にかろうじて間に合ったが、代わりに俺は色々なものを失ってしまった。
明日から俺はパンイチ野郎なんて呼ばれるかもしれない。
穴があったら入りたい。
因みに更衣室で急いで着替えた後、王城の隣にある訓練所で自分に合った装備を貰って、今は騎士の人達と訓練をしていた。
「キ、キツイ」
「もう無理⋯⋯」
何人かが地面にへたり込んでいた。
俺も正直行って辛い。
フィンは全然平気そうだ。まあ、ステータスがアレではな。
騎士の人達全員合わせてもフィンの体力には勝てないだろう。
「コラッ! そこサボるな! しっかり走れ!」
「ちょっと休ませて」
「もう無理」
「そんなんではすぐ魔物に食われてしまうぞ」
騎士団長兼俺たちの指導役のグラン・カイネさんの声が響き渡る。当然、地面にへたり込んでいるクラスメイト達に対してだ。
騎士の人達は全然平気そうだからな。いつもこんな訓練をしているんだろうか?
グランさんは茶髪の毛深いゴリマッチョだ。身長も2メートル近くあり、巨大な大剣を腰に下げている。威圧感がすごい。
王女様曰く、これからのスケジュールはトレーニングと軽い魔物狩りだそうだ。
魔物はとても強いため、勇者だからと言って安全ではないのだろう。
スケジュール説明の時の王女様の表情でそれを察した。
今は朝の11時。昼からは魔物狩りだ。
それから1時間訓練した後、昼食休憩になった。朝食を食べ損ねて空腹状態の俺とフィンは支給された食べ物にかぶりつくのだった。
***
ガラフ草原にて
俺たちはスライム討伐をしていた。
ガラフ王国は邪神が住む土地からかなり離れたところに位置しているため、比較的弱い魔物しか生息していない。
ガラフ草原はガラフ王国王都の南にある草原で、首都の周辺では1番安全な場所であるとグランさんが言っていた。
だからかスライム系の魔物の中で最弱のスライムが沢山いるのだ。スライムのような弱い魔物は普通そんなにいないそうだ。
まあ、いたとしても他の魔物にやられて経験値になってそうだ。
因みに、魔物は大きく2種類に分かれている。
1つ目は邪神が作った魔物もしくはその子孫だ。これは邪神の力がはたらいているからか強力な者が多く、どれもこれも災害級の強さだそうだ。
2つ目は何処からか急に現れる魔物だ。魔物は倒されると別の場所にリポップするようだ。ゲームのような感じだな。何故このような現象が起きるのかは未だにわかっていない。
「スライムと戦う時には核を狙え! スライムは物理攻撃には強いが、核を攻撃すれば一瞬で倒せる!」
グランさんが後ろから俺たちに指示を出す。
皆、最初は苦戦している様子だったが、徐々に慣れてきているようだ。
俺はフィンが全部倒しているから1回も戦ってないんだけどね。
ドドドドドドドドッ!
フィンのスライムを破壊する音が周辺に鳴り響く。その音はまるでマシンガンのようだ。
加減しろって言ったのになぁ。まあ、あのステータスだったらこれでも加減している方なのだろうか?
〈レベルアップしました〉
さっきから俺のレベルがドンドン上がり続けている。
本当は皆と離れた場所でレベル上げしていきたかったが、それは危険だとグランさんに止められてしまっていたのだ。
周りのクラスメイトの探るような視線が痛い。
「おい、フィン。もうちょい手加減してくれ」
「分かりました。これでも結構手加減しているのですが⋯⋯」
「出来る限り頼む」
「任せてください」
俺とフィンは小声で話す。
そこにグランさんが歩いてきたのだった。
次回は今日の5時から6時までの間に第9話掲載予定です。
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