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貴族次男は書類偽装で戦場へ行く〜家族の為に頑張るぞ〜  作者: 糸魚樋


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20/22

20.悪さしにくい


 門番長さんが様子見に行ってくれている間、俺は辺境伯様とお話。ダンディで話上手で聞き上手だ。俺、辺境伯様好き。


「ニーエベルグはあまり社交に強くないのが残念でね」

「そうですね。母も父も社交はあまり好きじゃないと行ってました」

「ふふ、あの2人はけっこう失敗しているからね……聞きたいかな?」


 聴きたいと無言で頷く俺に、辺境伯様が笑って口を開いたところで部屋にノックが響いた。


「おや、これは中断かな……なんだ」

「ハプセン子爵子息2名、到着しました」

「そうか。そのまま通していい、茶はいらん」


 あ、ハプセン子爵子息たち、辺境伯様に客として見做されなくなっちゃった……。

 いや、これは試験でもあるのかな。方や茶も出されない状態で、お菓子とお茶を出された自分たちの弟くらいの子供を見て無心でいられるのか? ってところを見ようとしてるんだろうな。

 さり気なく俺がどう対応するかも見たいのかなー?

 辺境伯様とパチリと目が合って、ワザとらしくにっこりと笑って返される。


「私は賢い子は好きだよ」

「……ご期待に応えられれば良いですが」


 やっぱり俺に対する試験でもあったか……。お互いににっこりと笑いあっているところで外に人の気配を感じる。

 入ってきた面子をなるべく平静に見る。

 とても質の良さそうな服を来た子爵家子息2名は一瞬こちらを見て顔を歪めて見ないふりをされる。生け贄の教育係さんと強い騎士さんも連れてきてるなあ。

 強い騎士さんがこちらの面子を見て、眉を顰めた後に少しだけ上を向いて静かに目を閉じた。

 お、お気づきになりましたか。ほぼ詰んでいることに。


「ハプセン子爵家嫡子、エドワード・ハプセンが参りました。辺境伯閣下にはこの度お呼び頂き光栄の至りにございます」

「ハプセン子爵家二男、ファーガス・ハプセンと申します。辺境伯閣下にお目通り叶い、身に余る光栄でございます」

「座りなさい」


 俺に対応してくださってた時と雰囲気全然違う。

 やっぱり今までは子ども向けに穏和に対応してくださってたんだなあ。子どもでよかった。


「さて、昨日の君たちの動きを報告して貰おう」

「昨日の私たちですか?」

「それよりも目の前の平民の子どもはいったい」

「私からご報告させていただきます」


 ヤバ。想像よりヤバいよこの人たち。

 黒髪の教育係さんがフォロー入れたけど、ちょっと遅かったなー。

 あと平民じゃないやい。まあ服が山登り用だから仕方ないか。

 教育係さんの昨日の話が終わる。うん、山に行ったことは話しているけど、山火事の原因なことは話さない、と。

 爆発音たてるような魔法があったことも言わないのは教育係さんは応用利くタイプではなさそう。

 いや、騎士と連携取れてなくて情報足りてないのか。駄目だなー。


「報告ありがとう」

「この報告に何か?」

「山火事の件についてだ。彼らも昨日山にいて、山火事を我が領に一番に報告してくれたが、君たちも山にいたと聞いて君たちからも報告を聞きたくてね」


 教育係さんは表情は平静を保っているけど顔色がちょっと悪くなってきてるね。


『後ろの騎士が風属性魔法を使いました。恐らく私たちの情報が共有されているかと』


 共有おっそい。騎士は戦闘は出来るけど知識がないか。魔法が使えるだけの人間を無理矢理に囲いこんで騎士の型にハメただけってところか。


「ソイツらが一番に報告したなら、ソイツらが山火事の原因だ!」


 二男の方がこちらに指を指してくる。浅はかお兄さんだなあ。


「なぜ原因がいると断定を? 山火事は自然発生することも多い危険な現象ですが、人の手による物だと確証される根拠があるんですか?」

「そ、れは、火属性魔法を使っただろ!爆発はお前らがやったことだ!」


 凄い!馬鹿!教育係と騎士の顔色が可哀想なことになってるなあ。


「先程の報告では爆発があったなど仰っていませんでしたよね?」

「私に虚偽の報告をしたということかな?」


 辺境伯様がつまらなそうな顔で2人を眺めてる。


「そもそも平民などに意見をさせるなど!」

「この子は男爵代理だ。山火事の報告の後から着替えもせずに山火事の件で騎士を動かし、門塔で身柄を預けてくれていた」


 着替えなかったのがここまで活きるとはなあ。狙い通りすぎて怖いよ。

 教育係さんはもう諦めたな。顔を伏せた。

 ぎゃあぎゃあと喚きだした2人に後ろがピリつきだしてら。


「辺境伯様、もう拘束した方が早いんじゃありません?」

「メアリ嬢、ハプセン子爵家は今回金貨500枚を出していてね」


 あ~資本主義の音〜。くそ、いいなあ。こちとら50枚を必死にかき集めてたっていうのに。

 拘束したいけど、献金額的にそうもいかず、それでも子息2名には釘を刺したいと思っての今回だったと。

 辺境伯様の気遣いを無碍にするレベルの馬鹿だったけど。悲しいね。

 いっそ俺に手を出してくれたら拘束は出来る。


『坊っちゃん、煽らないように』


 ただ、マルクスとエディが俺の思考に気付いて俺を守ると見せかけて俺に圧掛けてるんだよなあ。

 察しのいい大人はこれだから困る。


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