↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴族次男は書類偽装で戦場へ行く〜家族の為に頑張るぞ〜  作者: 糸魚樋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/22

19.これは無理じゃね


 辺境伯と知り合いらしいメアリがふんと鼻を鳴らす音が後ろから聞こえる。


「女性に対して横暴な男を門に置く方が問題ですよ。ウチの領の門番があんなのだったら即、鞭をくれてやってます」

「おや、そんなにひどかったのかい?」

「女性の腕を意味なく掴む。下卑た言葉を言う。殴らない理由はないでしょう?」


 いや、確かにアレだけど、殴るな。

 メアリは見た目は色気溢れるミステリアス美女だから引っ掛かってしまったってところか。人間の中身なんて見えないから仕方ないね。

 俺も初見で引っ掛かってエラい目にあった。

 貞操的な意味で。

 マルクスとリアムが警戒してくれてて本当に助かった。助けられた時はガチ泣きしながらマルクスにしがみついたレベルには怖かった。

 その後は母上様が使える特殊魔法で一線を超えると動けなくなるようにされたらしい。

 ……もしかしてウチの領に押し付けられた原因は母上様の魔法もあったからか?


「デュノイ門番長、対象は?」

「あー、腕っぷしだけで入った平民の一部です」

「ふむ、間口を広げて戦力の増強と考えていたが……。教育が足りなかったか」

「アレらが馬鹿なだけかと」


 あーらら。ウチも兵士は平民だけどそんな馬鹿する奴はいないからね。エディと騎士団が教育してる。

 金は払ってやるから代わりに学べと、簡単なマナー、文字の読み書き、計算、武器の取扱いをみっちりと仕込むのだ。ほぼ学校代わり。

 上の言うこと聞かない奴は兵士として失格と兵士を辞めさせられる。おまけに領内ではこれはかなり恥ずかしいこととして広められる。

 でも、どんな教育しようとも、馬鹿や異常者はどこかしらに紛れ込むもんだからな。

 そういうのは見つけた瞬間に摘むしかない。めんどくさい。


「そうか、アルヴィン君には初めての遠征なのに、ウチの兵士が迷惑をかけてしまって申し訳ないね」


 やっぱりところどころで子供である俺を気にかけてくださってて、とても良い人だな辺境伯。好きだ。見た目も優しそうなダンディだし。


「いえ、学ぶことが多くて、ありがたいことです」

「……アルヴィン君は幾つだったかな?」

「10歳です」


 四捨五入して10歳です。


「ウチの孫7歳で、まだ庭で棒振り回してるんだけど、あと3年で君みたいになるかな?」

「子供の1年は大人が感じるよりも長いですから、きっとすぐに賢くなりますよ」


 兄様は俺が5歳の時には大人に指示して全体指揮みたいなことしてたし。俺はそんなの出来ないけど、この世界の子供、基本的に早熟なんだろうな。

 村の数少ない同年代もやたら小賢しいし。

 あと、棒を振り回すのはわりと良い年した大人でも楽しんでしまう遊びなので仕方ないと思う。


「……なるかなあ」

「グランヴァル辺境伯、あと少ししたらコレと対極な学園生2人が来るので、コレはちょっと特例と思った方が心理的に楽かと」


 門番長さん、コレ呼びはひどくないかね。

 そして対極な学園生2人ね。


「もしかして、ハプセン子爵のご子息2人がいらっしゃるんですか?」

「ああ、……君たちは退出した方が安全かもしれないが」

「いえ、構いません。見定めるのもまた学びの1つだと思いますので」


 いざとなれば俺が口滑らせたていで罠に掛けてもいいかもしれない。

 後ろにいる皆の顔を見る。エディは少し顔を顰めてるけど、それ以外は気にしてないからOK。


「……見定める、ね。1つ良い情報をあげようか」


 辺境伯が指をすいっと動かして、3本の指を立てる。


「ハプセン子爵家には3人の子供がいる。3番目は第二夫人の子で現在8歳だ」


 おや、俺と同い年。


「……この子に領主教育の基礎を教え始めたという噂が私に届いている」


 噂、という名の事実、ってことですね。

 学園に行ってる長男二男いるのに三男に領主教育が始まったってけっこうな醜聞に近いのでは?

 実は立ち位置かなり危ない状態だからこそ王都の学園生の人間がわざわざ辺境まで戦場遠征に来て、少しでも立ち位置確保、または修整しようとしてるってことなのか。

 それでやってることが放火なんだからガチの馬鹿かもしれない。


「いなくてもいいってことね」

「メアリ嬢、言葉が強いよ」

「あら、そんな情報を渡してくるそちらの意図が見えすぎて「メアリ、駄目、めっ!」


 知り合いだからかメアリが当たりキッツいな。

 後ろを向いて、メアリの顔を見て指を立てて注意する。メアリがビクと身体を揺らして口を閉じたのでそれで良しとして視線を前に戻す。


「メアリ嬢をちゃんと制御出来るか心配だったけれど問題なさそうだね」

「……メアリは賢いから大丈夫ですよ」


 腐っても伯爵令嬢だし。

 今回の遠征に伯爵家の人が来てたら挨拶行かないとなあ。

 ニコニコした辺境伯が、お茶のおかわりとお菓子も必要だと言って執事っぽい人へ指示している。

 ボソリとマルクスの風魔法が届く。


『辺境伯に気に入られましたね』


 そうなら嬉しいけど、孫と年近いから気になるだけじゃないかな?

 軽く首を傾げておく。

 その後はお菓子をいただきつつ、辺境伯と辺境伯領のお話をさせてもらう。やっぱり広い農地あるの良いよなあ。

 母上様にこの地の花の種をお土産にしたいと考えていることを言うと、嬉しそうに笑って用意しようと執事っぽい人に指示をしていた。やった。購入代金浮いたぞ。

 門番長さんは一度退席してハプセン子爵家の様子を見に行った。……たぶん予定ではもっと早く来る予定だったのかも。

 そんなところも駄目なのかよ。もう立て直す気無いだろアイツら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。