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貴族次男は書類偽装で戦場へ行く〜家族の為に頑張るぞ〜  作者: 糸魚樋


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13/22

13.門に移動


 俺たちが見た貴族に対して心当たりがあったらしい兵士をなるべく優しい口調で喋るように促してみる。


「そ、その集団は貴族の青年たちがうるさかったので印象に残っているのです」

「何を喋ってた?」

「お互いを罵りあっていたような……あとは汚れたので早く帰りたいと」


 帰るのは今日の宿泊場所かな?


「山火事について言ってる人はいなかった?」

「私は少し遠くで見ていたので、検査対応をした者と鎧を着た方が話しているのは見ましたが内容までは……」


 ううーん。話してたのが山でこっちに気付いた強い人だとヤバいな。

 山に人間がいたからソイツらが犯人だ、と俺たちに山火事の原因を押し付けてくる可能性がうっすらある。さすがに山にいた人間=俺たちとはなってはいないはずだが。


「……仕方ないか。全員、門まで移動しよう」

「「「はい」」」


 全員が野営用に広げた物を片付け始めたのを見ていると、文官さんが声をかけてきた。


「向こうに優位な証言をされないようにですか?」

「少なくともこっちはそれを見てたぞって牽制は必要だよね?」

「……そうですね」


 後は辺境伯がどれくらい公平に証言を聞いてくれるかにかかってるかな。

 今のところの時系列としては先にこっちが山火事の報告、それから向こうが町の中に戻り、入れ違うようにこっちは山火事の対処に辺境伯側に混じって出発。

 うん、まあギリギリかな。

 後は向こうの貴族側がどれくらい証拠を晒してくれるかだ。

 少なくとも門で一番に証言をしたし、そのうえで貴族として対処の為に門塔に留まっていたとなれば印象はだいぶ良いだろう。


「それに、ウチの騎士が暴力働いた人には話聞いた上で謝らなきゃいけないかもだし」

「あ、はい」

「最近見た中で最も鋭い一撃でした」


 貴族を見た兵士さんはウチの騎士の暴行も見てたらしい。ほんと身内の恥がすまない。


「でもアイツら女性に対しての態度が悪いと再三注意されているので自業自得の可能性も高いです」

「それでも一応はこっち側の暴力だからね」


 それに俺にも態度悪かったらそれはそれで良い判断材料になるし。なんなら俺自体が囮かな。引っ掛かるような馬鹿ならやりやすいけど。


「……あまり深く追い込むのは止めていただけると助かります」

「それは相手に言って」


 文官さんは大きくため息を吐いた。

 エディが呼ぶので馬車の方に戻る。


「あの文官にも伝えておきますが、門塔ではなるべくあの文官と行動をしてください。後はコスティを付けます」


 文官は向こう側の中立的立ち位置としての確保だろうから分かるけど、コスティ使うの?


「そっちに騎士いなくなるじゃん」

「なぁに、こちらはどうとでもなりますから。この場合は坊っちゃん優先ですよ」


 男爵代理の側に騎士がいないのは俺が思ってるより問題っぽい。

 うーん深刻な人手不足。エディは頼りになるけど、兵士側にまとめ役になる騎士いないのも本当はよくないのはわかる。

 エディが騎士だったらよかったんだけど、そこら辺はあんまり触れちゃいけないと言われたので口チャックしておく。

 父様が何回もエディに騎士の勧誘してたのは知ってる。そのために騎士枠に空き作ってることも知ってるんだけどね。


「……マルクスたちが早く戻ってきてくれたらいいけど」

「一応テオを山の麓に馬で走らせます」


 そうだね。俺たちが場所移動してるのは伝えなきゃいけないし。


「マルクスたち何も食べてないかもしれないからテオに食料持たせてやって」

「はい、そこは抜かりなく進めております」


 エディと話すのを止めて、兵士に手を貸してもらって馬車に乗る。


「初遠征なのにトラブル続きですねえ」

「ほんとだよ」


 軽く愚痴りつつ、馬車の中で寝る時に使う布に埋もれる。

 しばらくゴトゴト揺られて、門の入り口に到着。

 ここで降りて、俺とコスティは待機。兵士たちは毎年使っている宿に向かってもらう。複数の馬車が置ける宿なんてそれほど無いからな。


「埋まってなきゃいいけど」

「今日の昼に明日には入ると連絡はしていますが、もう夜ですからな」

「馬車だけでも置けそうなら置かせてもらって、泊まりはバラバラとかになるかもね」

「それが手堅いでしょう。決まればお知らせに来ますよ」


 エディたちを見送って、文官さんと兵士さんに案内してもらって詰所に入る。

 文官さんの上司となる人である門番長の元に案内してもらう。この辺境伯の領都を守る門塔で一番偉い人だ。

 合間に会う兵士はきちんと横によけて軽い目礼をしてくれるのでこちらも笑みで返す。きちんと教育されてるな。たまにキザったらしくウィンクしてる奴がいるが。


「さすが辺境伯、良い兵士揃いだね」

「やはり国防を担う辺境伯の顔ともなる場所ですからね。ある程度の品性や礼節はきちんと、「坊っちゃん失礼」


 コスティに耳を覆われて何も聞こえなくなる。

 ドンッと振動だけが伝わって、少し先の扉から人が勢いよく飛び出てきてそのまま倒れる。

 その先に立っている人は拳を固めて何かを叫んでいた。聞こえないけどコスティが聞かせたくないレベルな言葉を言ってるんだろうな。


「……礼節」


 ポツリと俺の口から溢れた言葉と同時に文官さんは顔を両手で覆った。

更新はとりあえず木曜日と日曜日の予定です。

14日に言わなきゃだったの忘れてました。ごめんなさい。

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