結構楽しいんだっ
意外と他人の試合観戦って楽しいものだよね、という回ですね。引き続き、畠下が登場します。彼女は一体何を語るのか。
それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!
2人の元へ戻ってくると、2人とも何やら穏やかではない顔をしている。
「お前らどうかしたのか?」
少しの間を開けてから畠下が―――
「もーパイセン遅いっすよ!喉カラカラなんですけどー!」
そう言って俺からコーラを奪ってゴクゴクと飲み始めた。
「ぷはー!やっぱ試合の後のコーラはたまんないっすね!じゃあ、私この後ミーティングなんでもう行きますね!それじゃまたっ!」
風のようではなく、嵐のように去って行った。礼ぐらい言えよ。
畠下がいなくなった後も、川端は暗い顔をしていた。
「畠下からなんか言われたのか?」
「え?そ、そんなことないよ!」
「言われたんだな……」
畠下は俺が永帝にいた時からそうであった。どんな相手に対してもハッキリと物事を言うタイプの人間であった。そしてそれが気に入らない相手となればとことんまで責め立ててしまう癖がある。それ故にトラブルに巻き込まれることも多い。
「言い過ぎるのは前に止めろって言ったんだけどなー。で?なんて言われたんだ?」
「ほ、本当に何も言われてないの!」
「嘘つくなっての。お前とも付き合いは短いが色々あったからな。見ればすぐにわかるよ」
「私、聞いちゃったんだ。藤崎くんがロボットバトルを辞めた理由……」
川端は気まずそうに俯きながら言った。
「そうか。聞いちまったかー。それに関してアイツはなんか言ってたのか?」
「アンタみたいなのとやってるのが気に食わないって」
「なんだそりゃ」
畠下の意味のわからないやっかみに思わず笑いが溢れる。
「お前、柄にもなくそんなことを気に病んでたのかよ。別に気にすることないぞ。俺は今、お前とのロボット同好会が結構楽しいんだっ。ほら、帰るぞ!」
「うん!お腹空いちゃった!」
川端は以前の元気を取り戻してくれたようであった。
「あの女……マジムカつく!!先輩はなんであんな奴と……」
俺たちの後ろ姿を見ながら、畠下は壁を叩き、怒りを露わにしていた。
次の日の放課後、俺は地区大会に向けて、ラブリーワンの最終調整を行っていた。またピンチに陥って暴走してしまわないように、ラブリーワンの性能を少しでも底上げし、全国で通用するような機体調整をしていた。すると、ロボット同好会の地区大会出場を聞きつけた新聞部が取材と称してやってきた。
「ロボット同好会の皆さん、こんにちは!って1人しかいないんですね?まぁいいや!」
「ん?アンタ誰?」
新聞部のいきなりの登場に驚くこともなく、俺は尋ねる。
「おっと紹介が遅れましたね!私は新聞部の部長!と言いたいのですが、副部長の飯尾珠里といいます!以後お見知り置きを!」
「は、はあ………で、うちに何の様です?」
「よくぞ聞いてくれました!賀晴新聞に掲載する記事を取材してまわっている我ら新聞部、今日は発足して間もないロボット同好会が地区大会に出場するという情報を耳にしたので、是非お話をお聞かせ願えないかと思って参上しました!!」
「な、なるほど」
「それでは……」
「帰ってください」
「え?」
「はい?いやだから、どうぞお引き取りください」
「何でなんですかー!お話聞かせてくださいよー!」
「話すことは何もないので、帰ってください」
「えー!そんなご冗談を」
「いや、帰って!」
俺と飯尾がこんなやり取りをしていると、部室に川端がやってきた。
「部員1号!遅くなってごめーん!ってその人誰?」
「私は新聞部の副部長、飯尾珠里です!ロボット同好会の取材をさせてもらうためにここに来たのですが、この人が帰れとうるさくて……」
飯尾は俺の方を指差して言った。
「新聞部!?とうとう私たちロボット同好会も存在が認められつつあるってことね!いいですよ!取材お受けします!」
川端は目を輝かせて言う。すると、飯尾も大はしゃぎし始めた。とても面倒なことになってしまった。
「ではでは、早速、部長さんはどちらですか?」
そこからなのか。ロボット同好会の存在は知られてはいても誰が何をやっているのかなんて、やはり誰も知りはしないのだろう。まぁそれを知ってもらうための取材なのだろうが。
「はいはい!私です!川端真央です!1年生です!」
「ありがとうございます。川端さんはどうしてロボット同好会を発足しようと思ったのですか?」
「子供の頃にお父さんとロボットバトル甲子園っていう大会をテレビ越しではあったんですけど、観たんです。1機のロボットに全ての想いを乗せて戦うそんな姿がとてもかっこ良くて、私も高校生になったらこんな青春を謳歌したいなって思って、賀晴高校に入学したのはいいんですが、ここにはロボット部がなかったので、ないなら自分で作ってやろうと思って作りました」
「そうでしたか。ありがとうございます。ロボットにかける熱意がヒシヒシと伝わってきました。続いて部員の……」
「藤崎綾二です」
「失礼しました。藤崎くんはどうしてロボット部に入部したんですか?」
「部長の川端に無理矢理入れられました」
「おおう、そうでしたか……。でも、最初は無理矢理入れられたのかもしれませんが、それならどうして辞めないのですか?」
「見てみたくなったんです。こいつと……川端と、ロボットバトル甲子園の頂上を」
「それはとても素敵ですね……」
それからもいくつか質問が俺と川端に投げかけられては答えての繰り返しであった。そして取材が終了した。
「以上で取材を終了させていただきます。ご協力ありがとうございました。地区大会頑張ってくださいね!それでは失礼します!」
飯尾が部室から退出した後、川端が不敵な笑みを浮かべていた。なんだか気持ち悪い。
「へぇー部員1号は私と頂上が見たいんだー。初耳ー」
「なんだよ!そんなことどうでもいいだろ!」
川端が取材の内容を掘り出して、俺をからかい始めた。そんなこんなで色々あったが、ラブリーワンの最終調整を無事に終えた。
その後、学校の掲示板に俺たちのロボット同好会の記事が掲載されていた。俺はとりあえず、記事を見てみることにした。
「なんで書いてあるんだ。どれどれ」
見出しには『ロボット同好会、その実態はイチャイチャカップルの巣だった!!!』という大きな文字。そして盛りに盛られたエピソード。最後は適当に『せいぜい地区大会優勝を目指して頑張ってください』と書かれていた。
「あの女……今度会ったら覚えてろ!!」
続く。
実は今作の藤崎綾二は作者の実体験が元になっていたりします。作者も高校の部活で友達に無理矢理入部させられた過去を持っています(笑)最終的には部長にまでなってしまいました(笑)
ちなみに今回の新聞部の2人がイチャイチャするための場所だったというのは私が1年生の時の3年の先輩がまだ1年生だった頃、創部仕立ての部活でマネージャーと2人きりだったところを見られて、イチャイチャカップルだと馬鹿にされたという先輩の実体験を元にしていたりします。
それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!




