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異世界平定奇譚   作者: 新樹 百佑
第一章 始まり
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宴に参加しちゃいました

 街道を進み、獣道を通り森へ入って行く。


 森の中を進むと、急に開けた場所に出る。


 そこに沢山のテントが並んでいるのが見えた。


 馬車が止まると、リザードマン達は略奪品を降ろし始めた。


 親分も馬車を降りる。


「さぁ、野郎共! 今回も上々だった! 積み荷を降ろしたら宴の準備だ!」


 親分の一言で皆、喜びの雄叫びを上げた。


 宴が進むと場は盛り上がってくる。


 一矢も例外ではなかった。


「……だから言ってやったんですよ。その時になれば働くから、自分の息子を信じろって。母さんじゃなくて俺を! ってね」


 この世界の強いラム酒が一矢を饒舌にさせていた。


「人間も魔族も一緒よ。何だかんだで息子が心配だなんだ。だから口煩くなっちまうんだよ」


 親分は一矢に酒を注ぎながらしみじみと語る。


「俺に任せろ! お前を一人前にしてやる。しがない盗賊団だがな、それでもその辺の人間共よりはマシだ!」


「あざ~す! 一生ついていきます!」


「ガハハハッ。しかし俺もウカウカしているとお前に越えられちまうかもなぁ。だがな、そう簡単には越えさせねえぞ。覚悟しとけよ!」


「良いですよー。もし越えた時は、自分が親分になりますからね。覚悟しといて下さいよ!」


 一矢は軽く親分の肩を叩いた……つもりだった。


 近くにいたリザードマン共々、親分を吹っ飛ばした。


 一瞬唖然としていたリザードマン達だったが、すぐに立ち上がる。


「テメェ! 何しやがる!」


「貴様! これはどういう事だ!」


「人間め! やっぱり裏切るつもりか!」


 リザードマン達の怒号が飛び交う。


 一矢の酔いは覚め、声にならない悲鳴をあげていた。


 赤く腫れ上がった肩を押さえ、親分は体を起こした。


 一矢を見るその目には、明らかに怒りが込められている。


「……こいつは、どういう了見だ?」


 『もうダメだ。助からん。……こうなりゃやけくそだっ!』


 一矢は腹をくくった。


「うぉぉぉぉぉ!!」


 一矢は親分に飛び掛かり、全体重を拳にのせた。


 ガードした両腕ごと、拳が顎を捉える。


 骨が砕ける感触が拳に伝わる。


 リザードマン達は驚きを隠せず、誰も動けなかった。


 静まり返った中、一矢は大声を張り上げた。


「騙されたな魔族共! このチャンスを待っていたのだぁ! 全員ブッ飛ばすから覚悟しろッ!」


「うわーーッ!」


 一矢が拳を振り上げると、蜘蛛の子を散らす様に魔族達は逃げ出した。


 一矢の膝が笑っている事に気付くことなく、誰もいなくなった。


 魔族達が見えなくなると一矢はその場にヘタリ込んだ。

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