宴に参加しちゃいました
街道を進み、獣道を通り森へ入って行く。
森の中を進むと、急に開けた場所に出る。
そこに沢山のテントが並んでいるのが見えた。
馬車が止まると、リザードマン達は略奪品を降ろし始めた。
親分も馬車を降りる。
「さぁ、野郎共! 今回も上々だった! 積み荷を降ろしたら宴の準備だ!」
親分の一言で皆、喜びの雄叫びを上げた。
宴が進むと場は盛り上がってくる。
一矢も例外ではなかった。
「……だから言ってやったんですよ。その時になれば働くから、自分の息子を信じろって。母さんじゃなくて俺を! ってね」
この世界の強いラム酒が一矢を饒舌にさせていた。
「人間も魔族も一緒よ。何だかんだで息子が心配だなんだ。だから口煩くなっちまうんだよ」
親分は一矢に酒を注ぎながらしみじみと語る。
「俺に任せろ! お前を一人前にしてやる。しがない盗賊団だがな、それでもその辺の人間共よりはマシだ!」
「あざ~す! 一生ついていきます!」
「ガハハハッ。しかし俺もウカウカしているとお前に越えられちまうかもなぁ。だがな、そう簡単には越えさせねえぞ。覚悟しとけよ!」
「良いですよー。もし越えた時は、自分が親分になりますからね。覚悟しといて下さいよ!」
一矢は軽く親分の肩を叩いた……つもりだった。
近くにいたリザードマン共々、親分を吹っ飛ばした。
一瞬唖然としていたリザードマン達だったが、すぐに立ち上がる。
「テメェ! 何しやがる!」
「貴様! これはどういう事だ!」
「人間め! やっぱり裏切るつもりか!」
リザードマン達の怒号が飛び交う。
一矢の酔いは覚め、声にならない悲鳴をあげていた。
赤く腫れ上がった肩を押さえ、親分は体を起こした。
一矢を見るその目には、明らかに怒りが込められている。
「……こいつは、どういう了見だ?」
『もうダメだ。助からん。……こうなりゃやけくそだっ!』
一矢は腹をくくった。
「うぉぉぉぉぉ!!」
一矢は親分に飛び掛かり、全体重を拳にのせた。
ガードした両腕ごと、拳が顎を捉える。
骨が砕ける感触が拳に伝わる。
リザードマン達は驚きを隠せず、誰も動けなかった。
静まり返った中、一矢は大声を張り上げた。
「騙されたな魔族共! このチャンスを待っていたのだぁ! 全員ブッ飛ばすから覚悟しろッ!」
「うわーーッ!」
一矢が拳を振り上げると、蜘蛛の子を散らす様に魔族達は逃げ出した。
一矢の膝が笑っている事に気付くことなく、誰もいなくなった。
魔族達が見えなくなると一矢はその場にヘタリ込んだ。




