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異世界平定奇譚   作者: 新樹 百佑
第六章 最終決戦
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防衛隊と魔族連合軍

 ロバートは改めて指示を飛ばし始める。


「騎馬兵、歩兵部隊は門の前に整列! 門が開き次第、全軍突撃! 弓兵、魔法団は援護せよ!」


 ベティーナも名乗りをあげる。


「部隊長殿! 私も出ます」


「ではベティーナ殿は歩兵に参加して下さい」


 城壁から降りようとするベティーナを一矢は追いかける。


「ベティ、俺も行くよ」


「一矢殿。向こうにはケンタウルスも居ます。騎馬相手に素手では厳しいかと……。無理せずここは我等にお任せ下さい」


 一矢はそっとベティーナに近付く。


「少しでも力を見せておきたいんだ。無理はしないから安心してくれ」


「……分かりました。私からあまり離れない様にして下さい」


「任せろ! ずっと側に居るぞ!」


 親指を立てて一矢はベティーナに顔を近付ける。


「あっ、……はぁ。お願いします」


「キャー! ラブラブッスね!」


「ラブッ? 何を仰いますか! 私は一矢殿の身を案じているだけです!」


 赤くなるベティーナ。そして、前髪をかき上げて格好をつける一矢。


「ふっ、俺も自分一人の体じゃないって事だな」


「意味わかんないッス」


「あの……開門しても宜しいか?」


 ロバートは戸惑いながら問いかける。


「そ、そうですね。一矢殿。参りましょう!」


「よっしゃー! やったるぜ!」


 ベティーナは走って階段を駆け下り、一矢も後を追う。


「……皆さん、気負う事は無いんでしょうか」


 ロバートが二人の背中を見ながら呟いた。


「無いッスね~。特に一矢さんは絶対無いッスね。変態スから」


「へっ、変態ですか?」


 戸惑うロバートに兵達は指示を求める。


「部隊長殿。皆、準備完了しました。御指示を」


「……そうだったな。良し、開門と同時に防衛魔法を解け! 弓兵は一斉射! その後、魔法団が続け」


 ロバートは一矢達が門の前へと集まるのを確認する。


「開門!」


 魔法壁が消えると炎の渦が砦を襲う。


 その中を矢が放たれると、矢を追うように炎の渦は向きを変えた。


 矢が空中で燃え尽きると、続いて魔法団員が魔法を放った。


 ケンタウルス達は攻撃魔法から防衛魔法に切り替え、魔法を防ぐ。


 魔法は空中で花火の様に爆発した。


 だが、もう砦の周りの炎の渦はない。


「今だッ! 全軍突撃ッ!」


 騎馬隊と歩兵部隊が砦から飛び出した。


 最初に騎兵部隊が敵陣に突撃した。


 騎馬兵に遅れて一矢達の歩兵部隊も飛び出す。


 騎馬隊が向かってくるのを見て、ケンタウロス達も突撃を始めた。


 騎馬隊とケンタウロスが激突する。


 先の戦いより武装を整えたケンタウルス達は手強かった。


 だが人間達も訓練された騎兵達。


 決して遅れはとらない。


 そこに一矢達の歩兵部隊とサテュロス達が加わる。


 一矢はケンタウロスの剣をかわし、相手の盾ごとケンタウロスを殴り飛ばした。


 ベティーナはケンタウロスの剣の範囲外から巧みに武装の隙をつく。


 サテュロスは棍棒を振り回す。


 一矢がかわすと、今度はサテュロスの角が襲ってくる。


「デヤァーー!」


 一矢はサテュロスの眉間を殴った。


 殴られたサテュロスは他の魔族を巻き込んで吹き飛んでいく。


 ベティーナに向かってサテュロスは炎を吐いた。


 だがそこにベティーナの姿は無かった。


「ハァッ!」


 上空からベティーナの鋭い突きがサテュロスを貫く。


 その場に居る人間達は、自分達が優勢だと信じて疑わなかった。


 だから誰も気付かなかった。


 あの華麗な引き際を見せた魔族達が、今回に限って粘り続けている事に。

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