王都へ向かっちゃいます
その頃、一矢の部屋をベティーナが訪ねていた。
「一矢殿、御気分はどうですか?」
「すこぶるオッケーです! イヤ~、さっきは邪魔しちゃってすいませんでした~」
いつも通り明るい一矢でベティーナはホッとした。
ただ少し、わざとらしさも感じる。
「一矢殿が謝る必要はありません。こちらこそ配慮が足りなく、申し訳ありませんでした」
ベティーナは頭を下げる。
「それで今後の事なんですが……このまま王都へ向かおうと思います」
「良いのか? あんなに反対してたのに」
「はい、私達は先程の様に魔族を沢山殺してきました。何の迷いもなく。しかし、一矢殿の言葉で疑問を持ってしまったんです」
一矢は静かにベティーナの話を聞く。
「卑怯かも知れないですが判断は上の者に任せようかと思います。……正直私には何が正しいのか分かりません」
「全然卑怯じゃないさ。多分政治的な話になるんだろうし、俺達が出来る事は話し合いの場を作るまでだよ」
ベティーナは真っ直ぐ一矢の目を見る。
「しかしそれすら叶わぬ時は、魔族を王都に入れた罪を問われるかもしれませんよ?」
「それは覚悟は出来ているよ。多分エイミーもね。ベティーナは良いのか? 警備隊隊長なのに」
ベティーナはハッキリと頷く。
「どんな処罰でも受ける覚悟です。共に行きましょう」
「よし……一緒に添い遂げよう!」
一矢はベティーナに親指を立てて見せる。
「添いッ? 一矢殿! そう言う冗談はやめて下さい!」
「ハハッ、赤くなっちゃって。かっわいい」
「なっ! 何を言ってるんですか! ……それでは王都に向かう件、エイミー殿達にもお伝え下さい」
耳まで真っ赤にしたベティーナは足早に一矢の部屋を後にする。
一矢はそのままベッドに横になった。
『これで良いよ。小難しい事は俺の仕事じゃ無いし、ベティーナの仕事でも無いもんな。……やっぱり出たとこ勝負か』
一矢は静かに眠りについた。
次の日、エイミーが王都に向かっている事を知り、叩き起こされるまでは。




