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異世界平定奇譚   作者: 新樹 百佑
第四章 船出
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海賊船の中

 海賊船内へ調査に入るメンバーは一矢、ベティーナ、クレアそしてエイミーだ。


 海賊船の船室は一矢達が乗ってきた船よりも質素で乱雑だった。


 船長室は更に乱雑で、食べかけの料理や空いた皿が沢山並んでいた。


「……あまり海に住む魔族は調理しないらしいから。人間の食事が気に入ったのね」


 エイミーが呟いている中、一矢とクレアは料理をつまむ。


「ん~、まあまあかな?」


「ですね~。これじゃあ、わたしの舌は満足させられないッスね」


 ベティーナは真剣な眼差しで料理を眺める。


「まさか……こんな事の為に人間の船を襲っていたのか?」


「あり得るわね、基本的に海の魔族は自分で狩るか奪うかしかないから。自分で作るという発想はないわ」


「野蛮な者達めッ!」


 エイミーとベティーナは言葉を交わしても、決して目を合わそうとしなかった。


 一矢とクレアは二人の間に流れる微妙な空気を感じ取るが、食べる手は止めない。


「チョット、あんた達! いつまで食べてんのよ。次行くわよ、次!」


 エイミーを先頭に、探索は船底部分へと移る。


 そこには奪った金品と三つの檻が並んでいた。


 その中の一つに一人の少女が入れられていた。


「な、何よあんた達?」


 少女は怯えた目を一矢達に向ける。


「ご安心を、我々は警備隊の者です」


「警備隊! ……よ、良かった。海賊達に捕まってたの。早くここから出して」


 エイミーは少女の反応に違和感を感じた。


「直ぐに出して差し上げます。……鍵は何処だろう」


 ベティーナが鍵を探している間、クレアは檻に近付き少女の顔を覗き込む。


「あれ~? ……あなたマリーじゃないッスか?」


「あっ、あんたッ! クレアじゃない! 何でこんなとこに居るのよ?」


「いや~、成り行きッスかね~」


 何故か照れ臭そうなクレアに一矢が問いかける。


「何々? 知り合いなの?」


「はい、魔法学校小等部からの幼馴染みなんス」


 クレアは腕を組んで昔を思い出す。


「いや~、懐かしいッスね。火の魔法で頭チリチリにさせちゃったり、爆発魔法でパンツ丸出しのまま気絶させちゃったり。楽しかったッスね」


「やめてーーーッ! あんたが絡むとろくな事無いわ! 今日の魔法もあんたでしょ! あんたのせいで私はこんな所に入れられたんだからね!」


 それを聞いてベティーナは手を止める。丁度檻の鍵を見付けたところだった。


「……それはどういう事ですか?」


 マリーはしまったという顔をした。


「そう言えばマリーは防御魔法を専攻してたッスよね。……ああっ! 今日の防御魔法はあんたッスね! あんたさえ居なければこんな船、海のもずくにしてやったのに!」


「藻屑ね」


 エイミーは冷静につっこむ。


「……そうよ、あたしよ! あんたにイジメられて防御魔法を専攻したわよ! それでも結局防ぎきれなかったわよ! 学生時代も今もずっとずっと! この疫病神!」


「海賊行為に荷担したものは罪に問われる。知ってますね?」


 ベティーナが静かに言うとマリーはそれ以上何も言えなかった。


 檻の鍵はそのままに、一矢達は海賊船を後にした。

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