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異世界平定奇譚   作者: 新樹 百佑
第四章 船出
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魔族? 海賊?

『良かった、エイミーは元気そうだ。後はベティだな』


 エイミーを見送りながら一矢はそう思った。


『ベティとも話してみるか。……部屋に居るのかな?』


 一矢がベティーナを探しに行こうとした時、突然甲板が慌ただしくなった。


 副隊長と一緒にベティーナも甲板へ出てくる。


「隊長! 海賊船です!」


「海賊船だと? 魔族のか?」


「……いえっ! 人間が乗っています!」


「クソッ、間が悪い時に。迎撃体制をとれ!」


 ベティーナは隊員達に指示を飛ばす。


 装備を整えた隊員達が続々とやってくる。隊員達と一緒にエイミーとクレアもやって来た。


「何? 海賊ッ? 魔族じゃなくて?」


「イヤ、人間らしい」


 驚くエイミーに一矢が答える。


 徐々に海賊船との距離が縮まってくると、ハッキリ船の輪郭も見えてきた。


『……海賊船と言うよりも幽霊船だな』


 ボロボロのその船を見て、一矢はそう思った。


 隊員達が弓を持って整列すると、ベティーナは一矢達の所にやって来る。


「先ずは弓矢の一斉射撃を行います。その後、クレア殿に魔法の援護をお願いしたい!」


「ヤッターーッ! もう魔法を使いたくて使いたくて。良いッスよね? 海賊ならやッちゃって良いんスよね?」


 クレアは表情を輝かせ、杖を持った腕をまくる。


 そんなクレアにベティーナは真剣な眼差しで頷いた。


「存分に。その後、白兵戦になるかと思います。その時は船内へと避難して下さい。一矢殿達はクレア殿の護衛をお願いします」


「なんだ、俺もカッコ良いとこ見せたかったのに」


 不満そうな一矢にベティーナは微笑む。


「人間相手なら我々だけで十分です。一矢殿は魔族と戦う時にご助力お願いします」


「分かった。それじゃあ中から愛の熱視線、送ってるぜ!」


「あぁ……はい。有難うございます」


「チョッ! キモイですって一矢さん! ヤバイッス。わたし今ので萎えてきたッス」


 ベティーナは一矢に苦笑いを見せ、クレアは杖にもたれ掛かる。


 ベティーナは隊員達に振り返る時には真剣な顔に戻っていた。


「良し、全員準備は良いか!」


「ハッ!」


 ベティーナは海賊船との距離を見定める。


「構え!」


 ベティーナは右手を挙げ、隊員達は弓を構える。甲板に緊張感が走った。


「あぁ、早く。早くブッ飛ばしたいッス」


 その中でクレアはウズウズしている。


「放て!」


 ベティーナの右手が振り落とされると、矢は放たれた。沢山の矢が海賊船に向かって飛んでいく。


 海賊船までまだ遠く、どうなったか一矢には分からない。


「隊長! 矢が弾かれました! 防御魔法です!」


 見張り台から隊員が声をあげる。


「防御魔法……フフフッ。腕がなるッスね」


 クレアが前に進み出ようとした時、再度見張りが叫んだ。


「矢が来ます!」


「防御姿勢!」


 ベティーナがクレアを庇うように盾を構えた。


 一矢とエイミーも、近くの隊員が盾で庇ってくれた。


 一矢達が戸惑っていると盾に金属がぶつかり合う音が聞こえ、甲板に何本もの矢が刺さった。


『そうか。こちらの弓矢が届くと言うことは、向こうの弓矢も届くと言う事か』


 接近戦しか知らない一矢は完全に油断していた。


「次の矢が来るまで少し時間があります。その間にクレア殿、お願いします!」


「お任せッス!」


 クレアは杖を放り投げて両手をかざす。


「杖は? 杖は使わないの?」


「杖なんて飾りなんス!」


 そうエイミーに言うとクレアは両手を海賊船に向ける。


「ブッ飛べーーーッ!」


 クレアの両手から閃光が走る。


 閃光は海賊船に向かって飛んでいく。


 少しズレはしたが海賊船近くで爆発した。

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