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異世界平定奇譚   作者: 新樹 百佑
第四章 船出
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海へ出ちゃいました

 次の日、一矢達は港へ集まった。


「あれ? 水着の人居ないッスね?」


 フリル付きの黒いビキニ姿でクレアが辺りを見回す。


「だから言ったじゃない! 海は海でも違うって!」


「えぇ~、でも一矢さんも水着で良いって言いましたよ?」


 二人は一矢の方を見る。


 一矢はクレアの水着姿を見て鼻の下を伸ばしている。


 そんな一矢にエイミーは呆れた。


「そりゃ変態だからね」


 そこへ警備隊が到着した。


 ベティーナが一矢達の元へとやって来る。


「皆さん、ご協力ありがとうございます。……ところで、クレア殿は何故水着なのでしょうか?」


「母に海では水着で過ごすと聞いていたんスけど」


「そう……だったんですね。海は初めてですか?」


「そうなんです! 一矢さんも『間違ってない、むしろアリだ』って言ってたのに」


 一矢はエイミーとベティーナから非難の視線を浴びる。


「イヤ、良いものは良い! なぁ?」


 一矢はベティーナの後ろに控えている警備隊員に同意を求める。


 ベティーナが振り返ると隊員達は一斉に視線をそらした。


「クソッ、お前等は漢じゃないのか!」


「変態はあんただけで十分よ。クレアもいい加減に何か羽織りなさい」


「……ハ~イ」


 一矢達はベティーナに連れられ船へと乗り込んだ。


 船は帆船の二本マストトップスル・スクーナー。


 一矢に一部屋、エイミーとクレアに一部屋割り与えられた。


 ここから王都に一番近い港町まで約一週間。


 初日、二日目と一矢達の船旅は順調に進み、同行している警備隊員達とも一矢達は仲良くなった。


 だがエイミーとベティーナが話している所は未だに誰も見ていない。


 エイミーに対するベティーナと隊員達の温度差を見ると、ベティーナはエイミーが魔族である事を秘密にしてくれているようだった。


 そんなベティーナの気遣いは嬉しいが、出来ればベティーナとエイミーにも仲直りして欲しかった。


『このままでは、ハーレムが内部分裂してしまう……』


 一矢が甲板でどうしたものかと思案していると、エイミーが声をかけてきた。


「ねぇ。今チョット良い?」


「勿論良いぞ! 俺は女性の誘いは断らないからな」


「誘ってるわけじゃないわよ。 ……まぁ、良いわ。それより本当に争いを止められると思うの?」


 一矢は肩をすくめて見せる。


「さぁ? 俺も戦争止めるのは初めてだから。出たとこ勝負かな?」


「はぁ。やっぱりついて来たのは失敗だったかしら」


 エイミーは一矢の隣で溜め息をつく。


「もう乗り込んだ船だろ? それに誰かがやらないと」


「でも何であんたなの? 世のため人のためってタイプじゃないでしょ?」


 一矢はニヤリと笑うと、前髪を掻き上げる。


「そりゃあ、人間と魔族の確執? そう言うのを目の当たりにしたら黙ってられないだろ」


「わたしとベティーナの事? 別に珍しくもないと思うけど」


「そうなのか?」


「やっぱりあんたって他の人と違うわね」


「まぁ、元々違う世界に居たからかな?」


「それも何か本当っぽくなってきたわね」


「なんだよ、信じてなかったのか?」


 不貞腐れる一矢をエイミーは笑う。


「あははっ、そう簡単に信じるわけ無いじゃん」


「確かに、俺も最初は驚いたよ。でも来たからには俺のやりたいようにやるさ」


「それで争いを止めてやるってわけ?」


「それはついでさ。目的はハーレムを作る事! 人間も魔族も関係無い、俺のハーレムを作る!」


 一矢は拳を力強く握り、遠くを見ながら言う。


「あんたが変態だって忘れるところだったわ」


 蔑むような口調ではあったが、エイミーは思わず吹き出した。


「まったく、あんたの頭ん中を一度見てみたいわね」


「頭だけじゃなく、何でも見せてやるぞ! 二人っきりの時にな」


「結構。変な物見せられる前にもう行くわね」


 エイミーは微笑みながら一矢の側を離れる。


「後で見たいって言っても知らんからな〜」


 一矢の言葉に吹き出しながら、エイミーは船内へと戻って行った。

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