2話
同級生全員が戻った段階で討伐者協会と言うダンジョンの管理と攻略を請け負っている国際的な組織の事務員の野崎という職員が話し始める。
「ステータスを得られた皆さんはおめでとうございます。ですが、ステータスを得たと言うことは力を得たと言う事です。それは危険な事でもあります。そんなステータスを得た討伐者候補の皆さんには討伐者協会に登録をする必要があります。今から配る書類に記入を行なってください。」
そうして配られた書類は名前や住所などとステータスの内容を書き込んで討伐者として活動するのかどうかの質問が書かれていた。
この書類に書き込んで保護者の同意があれば討伐者になれる様だ。俺の場合は父方の叔父が今の保護者だから同意を貰おう。許可は降りるだろうし。
配られた書類は中学校で回収して討伐者協会に渡されるそうで、ダンジョン入り口から中学校に戻ることになった。
それから中学校に戻ってこの日は帰宅する事になった俺は家に帰ってすぐに書類を記入してから叔父さんに連絡を取った。
メールで討伐者になりたい事と保護者の同意が必要なことなどを知らせるとメールの返信が来るまでの間に宿題を済ませて結界術師としての力をどんな風に使えるのかを確かめてみることにした。
「霊装を纏った方が使いやすいからな。霊装を纏って挑戦してみよ。」
霊装を身に纏って手に錫杖を持ちながら頭の中にある結界術師としての初歩的な技術知識を思い出していく。
結界を作るには魔力などのエネルギーが必要だ。既に結界術師としての知識として魔力の感じ方は理解しているまずは魔力を感じ取ることから始めることにした。
胡座を描いて座る膝の上に錫杖を置いて目を閉じると背筋を伸ばしてゆっくりと呼吸しながら自身の内側に意識を向ける。
鼻から吸って口から吐く。それを10分、20分と繰り返している内に俺自身の体内に何かを感じ始めた。
感じた何かを意識していると段々とはっきりと感じ取れる様になった段階で目を開けた。
「これが魔力みたいだ。」
目を開けた状態でも体内に感じるそれは薄っすらとだが今も感じられる。
「次はこれを動かす。錫杖に集まるのが良さそうだな。」
霊装自体にジョブの力をサポートする力があるからこそ、魔力の操作や制御にも役に立ってくれるはずだ。
再び目を閉じて両手で握った錫杖に向けて魔力が動く様に意識を向けていった。
ジョブの補正効果もあるのだろう。俺が思っていたよりもゆっくりとだが確実に動いていく魔力は錫杖に集まっていく。
「このまま維持するのもちょっとキツい。この魔力を使って、結界、出来るか?」
試してみよう。そう思った俺は錫杖に集めた魔力を使って手のひらサイズの正方形の形をした結界を作ってみることにした。
知識としては得られている結界を張る方法の通りに結界を作っていく。結界の内容としては外から中に入れない様にする簡単な物で
、そうして作ったのが縦横高さ5センチサイズで手のひらサイズの正方形の結界だ。
「ジョブと霊装のお陰かな。思ったよりも簡単だった。」
中空に浮かぶ空間に固定した結界を眺めながら、今も結界の維持に魔力を消費していることに気が付いた。
「作った結界の維持にも魔力がいるのか。」
何で魔力を常に消費する形になったのかを考えながら結界術師の知識を探っていくとその答えが見つかった。
どうやら今の知識の中では2パターン結界を作る方法があり、その内の1つが結界の維持に俺の魔力を常に使うパターンと、もう1つが最初に結界を作る際に消費した魔力を結界の維持に使うパターンだ。
最初のパターンの方が結界を張るのに消費する魔力消費が少ない結界を張ってから持続的に魔力を消費するから、初めての結界を作るのにジョブが自動的にこちらのパターンにしたのではないかと言うのが俺の予想だ。
「もう1つのパターンでも作ってみるか。」
先ほどと同じ様に錫杖に魔力を貯めていくが、今回は先ほどよりもより多くの魔力を錫杖に集めていく。
一度目に作った結界の2倍ほどの魔力を貯めてから結界を同じ大きさで作り出した。
「よし。同じ大きさで作れた。」
2つの結界を並べる。同じ大きさで強度も同じだと思う。あとはどれくらいの時間で結界が消滅するかだろう。
魔力を常時消費して維持している結界は俺が魔力を止めて終えば、結界の残り魔力によって消えるそうだから最初に作った結界の方が先に消えると思われる。
「どっちが先に消えるかな。」
それから結界が消えるまで待ってみた。そしたら俺の予想通りに一番初めに作った結界が消え、その後に2回目に作った結界が消えた。
この結果を見て考えるに結界を作るのに使用している魔力の量によって結界の維持時間が変わるのだろう。
次の実験をしよう。
同じくらいの魔力を込めて作った2つの結界の1つに対して錫杖で叩いてみようと思う。
「結界の耐久力が減って壊れるんじゃないかと思うんだよな。」
早速結界を2つ作り、最後に作った結界の方を錫杖で叩いてみた。
「硬いな、壊れないか。」
両手で握った錫杖を振り下ろしたのだが結界は壊れなかった。思ったよりも結界は硬い様だ。
それから4回叩いて合計で5回叩いた段階で結界を叩くのをやめてどちらが先に結界が消滅するのかを待ってみた。
「叩いた方が最初に消えたか。結界の耐久力は魔力に関係するみたいだな。次は大きさによってどう変わるのかを確かめてみよう。」
同じくらいの魔力で片方は縦横高さ5センチの結界、もう1つは縦横高さ10センチの結界を作ってみた。
先にどちらの結界が消えるのか。ただ眺めているだけじゃ時間が勿体ないと思った俺は結界の魔力を感じられないか気になって結界に意識を向けてみることにした。
「…………薄っすらとしか分からないな…………あ、消えた。」
体内の魔力よりも今の俺の魔力の感知力だと外部の魔力は感じられないのが理解したところで縦横高さ10センチの結界が先に消えた。
「同じくらいの量の魔力だと大きさ次第で消える時間が変わるのか。」
それからも俺は今ある結界術師の知識を基にして色々と実験しながら過ごし、夕食を食べてお風呂に上がった時にスマホを確認したら叔父さんから討伐者になる許可を出してもいいと言うメールが届いているのに気が付くのだった。




