1話
第二次世界大戦が終戦を終えて数年後に世界中にダンジョンが現れる様になった。その時にこんな声が世界中に聞こえたのだそうだ。
『一定以上の知的生命体の誕生。二度の大きな争いの終了を感知しました。これより世界のバージョンアップを開始します。』
そんな声と共にダンジョンが次々に出現し始めたのだ。
二度の大きな戦争で疲弊していた各国はすぐにダンジョンの征圧が行なえなかった事もあって、ダンジョン内から次々にモンスターが地球に進出するスタンピードが発生した。
そんな中で次々に現れるモンスターの群れと戦う人の中にステータスを持つ者が現れ、ステータスを持つ者たちがモンスターを数多く倒しスタンピードが終結した。
スタンピードを終結させたステータスを持つ者を討伐者と呼び。ダンジョン発生から年が経つ毎に増え続ける討伐者たちにより今もなお現れるダンジョンは攻略され続けている。
「これからダンジョンに入ります。班に分かれて引率の討伐者の人の話をよく聞くように!」
そんな担任の先生の声を聞きながら俺はようやく討伐者になれると楽しみにしていた。
もう誰も居ないけど今世は転生者だった事もあって家族仲は良くなかった。そんな中で前世にはなかったダンジョンに、ダンジョンを攻略する討伐者。本当に楽しみだ。凄いワクワクする。
ようやく中学生になりダンジョンに入れる様になった今、学校の行事として中学生一年生のクラスメイトたちと班を組んでダンジョンの中に入ることになる。
「この班を引率する中村だ。これから入るダンジョンは初級のダンジョンだが、ダンジョンの中は危険が多い。私の注意は効くように。分かったか?」
「「「「はい!」」」」
「よしじゃあ行くぞ。」
引率の討伐者の中村さんの後ろを着いて行きながらダンジョンのことを考える。
ダンジョンは初級、下級、中級、上級、特級と階級が分けられ、更にそこからG、F、E、D、C、B、A、Sと分かれている。
今回のダンジョンは初級Gのダンジョンでよほどの事が起きない限りでは中学生の子供でも問題なくダンジョンに生息しているモンスターを倒せるくらいのダンジョンだ。
ダンジョンのゲートを潜り中に入る。このダンジョンは見渡す限り草原。ちらほらと背の低い木が生えているくらいだ。
「この中はダンジョンの中だ。いつモンスターと遭遇してもおかしくはない。気を付けて進むぞ。」
そう言った中村さんの背中を追う様にして班員のクラスメイトたちと一緒にダンジョンを進むこと数分後にモンスターと遭遇した。
「このダンジョンで最弱のモンスターのスライムだ。だが、最弱と言ってもモンスター。ステータスがない者の攻撃はほとんど効かない。私がスライムを取り押さえる。取り押さえたらこの棒でスライムを一人ずつ叩く様に。分かったな。」
「「「「はい!」」」」
俺たちが返事をしたのを確認した中村さんは真っ直ぐにスライムに歩み寄ると、スライムが中村さんに反応して中村さんに向かって飛び跳ねた。
飛び跳ねたスライムを中村さんは簡単にキャッチするとそのまま地面に押さえ付ける様にしてスライムを捕獲してしまった。
「よーし、捕まえた。それじゃあ順番に攻撃してくれ。」
事前に出席番号順にスライムを叩くことが学校の教室の時に決められていた事もあってスムーズに次々とスライムを叩いていくクラスメイトたちを眺めているとようやく俺の順番がきた。
渡された棒を強く握って取り押さえられたスライムの前に立つとスライムを叩いた。
「最後の奴が終わったな。スライムを倒すから少し距離を取ってくれ。それとステータスが取れるかどうかは一度で分かることだ。ステータスが取れても取れなくてもダンジョンの外に出るからな。」
そう言うと中村さんは取り押さえていたスライムを簡単に潰してしまう。
「きた!」
スライムが潰れたのと同時にステータスが現れた。それは俺だけじゃなくこの場にいる班員のクラスメイトたちからも聞こえた。どうやら全員がステータスを取得できた様だ。
俺たちの年代でもクラスで一人か二人はステータスを取得できない事があるらしかったがこの班では大丈夫だった様だ。
俺も早速自分のステータスを確認する為にステータスを開いてみた。
名前 白霧政宗
レベル1
ジョブ 結界術師レベル1
ステータスを確認したら、俺の名前とレベルにジョブが表示されている。事前の情報通りだ。
俺のジョブは結界術師の様だが、結界系のジョブはなかなかの当たりジョブだと言える。
今も増え続けるダンジョンの入り口をダンジョンの中からモンスターが出た時に一時的な防波堤の役割を結界を張ってするジョブだからだ。
将来的に仕事として生活するのにも役に立っているジョブだから当たりのジョブだけどどれだけ戦闘に役立つのかは未知数だ。家に帰ったら調べてみよう。
それにステータスを得た時にジョブの結界術師としての知識も得られたから早く結界を作ってもみたいところだ。
「ステータスの確認を終えたか?次は自身のジョブにあった霊装を身に纏ってみろ。」
霊装と言うのはジョブにあった装備のことだ。霊装はステータスを獲得した者なら誰でも作れるし、どうすれば纏えるのかだって知識として分かる様になる。
早速、俺も与えられた知識通りに結界術師としての霊装を纏ってみた。
手にいつの間にか錫杖が現れ、衣服も制服から変わって神社の神主が着る様な服装に変わっていた。
「これが俺の霊装なんだ。」
俺自身の霊装の格好を眺め終えてから周りの班員のクラスメイトたちの格好を見ると、ある人は剣士の様な格好や魔法使いの様な格好にまたある人は神父の様な格好をしていた。
みんな自分の霊装の姿に嬉しそうにしている中で中村さんが懐かしそうにこちらを見ていた。
「霊装を纏えたみたいだな。これで終わりだ。ダンジョンの外に戻るぞ。」
ステータスを得て霊装を纏ったから興奮している班員の男子の一人がモンスターと戦ってみたいと我儘を言っていたが中村さんはそれを却下して全員でダンジョンの入り口に戻ることになった。
ダンジョンの外に出ると既にダンジョンから出ているクラスメイトや同級生たちの姿が見えた。
その中にはステータスを得られなかったからか泣いている同級生の姿が数人いたのには驚く。運が悪かった様だ。
ステータスを得られて本当に良かったと思いながら俺は結界術師として与えられた知識を確認しながら同級生全員が戻るのを待った。




