11話
あれからも毎日イノシシのモンスターの現れるダンジョンでレベル上げをして過ごしていた。
このダンジョンは森の中だからイノシシのモンスターを探すのも、歩き辛い森の中だと言うのもあって、イノシシのモンスターを発見も合わせて倒すのにも時間がそこそこ掛かってしまう。
そこである方法を俺は発見した。
その方法と言うのが桃に似た果実を使った方法だ。
どうもイノシシのモンスターは桃の果汁の匂いに反応して集まってくるのだと言う話を果実を売った時に受付の人に聞いた。
ここのダンジョンに通っているベテランの討伐者なら誰でも知っていることだったらしい。
そして俺が狙う方法とは。
まずは果実(香り桃)を探して森の中を移動するのだが、その時に木よりも高い位置に結界を使って上がると、上空まで結界で上がってから上から探すと香り桃は簡単に見つけられる。
そうして見つけた果実の香り桃を全て回収してから一つだけ香り桃を食べてスタートだ。
あとは集まって来るイノシシのモンスターをただ倒し続けて行くだけでいいのだが、ある程度イノシシのモンスターを倒し続けると周囲からイノシシのモンスターが居なくなって集まらなくなるから、そうなったらイノシシのモンスターのドロップアイテムを回収して別の場所に移動する必要がある。
また別の場所に移ってからも香り桃を食べて集まって来るイノシシのモンスターを倒したていく。
それを繰り返し行なっていくだけでかなりのイノシシのモンスターを倒せるし、イノシシのモンスターのドロップアイテムもかなり集まる。
ドロップアイテムがかなり集まったら、その日はもう変えるのだが、だいたいは午前と午後の2回に分けてダンジョンを探索することになっていた。
月日は経ってあと数日で8月に入る頃。
「それにしてもやっぱりこの方法は効率がいいよな。もう27レベルまで上がってるし。」
イノシシのモンスターをより多く倒せる様になったからこそ、まだこのダンジョンに来てからそこまで時間が経っていないのにもうこのレベルだ。
初級Dのダンジョンでレベルを上げるのなら30レベルくらいが限界と言われているのに、もう俺のレベルは27レベルまで上がっているのは効率的な方法を見つけたからだ。
あの効率的な方法がなければまだレベルもそこまで上がっていなかったはずである。
ここから更にレベルを上げるのは難しくなって来るとは思うが、まだあの方法を使うのならそれもそこまでレベルが上がらないと言うことはないだろう。
とりあえずは8月になるまでにどこまで俺のレベルが上げられるかだな。それ次第で8月前半にはこのイノシシのモンスターのダンジョンを出て別のダンジョンに向かいたい。
まあでも8月は面倒くさい行事があるからどちらにしても、このイノシシのモンスターのダンジョンを一時的にでも離れないといけない。
お盆とか本当に面倒くさいが、それでも今世の家族の墓参りくらいはいかないと、今の保護者の叔父さんの俺への印象が悪くなってしまうから面倒くさくても行かないといけない。
お盆の前日までには家に帰らないといけないから、それまではこのダンジョンでレベル上げは出来るだろう。
ああ、それと香り桃を多めに確保して御中元として叔父さんに渡さないといけないか。
それくらいなら今日中にでも出来るし、香り桃を今回は売らずに御中元として叔父さんに送ろう。
確か討伐者協会からでも宅急便として送れるはずだから、それで叔父さんに送ればいいか。
とりあえず今回の香り桃を集めに移動を開始することにした俺は結界で足場を作って上空に移動する。
「どこにあるのかな〜っと………………あ、あそこにあった。」
一面緑の中で1本の木だけ、葉っぱの緑と木の幹の茶色以外の色をした物が幾つもある木を発見した俺はその方向に向かって移動する。
落下した時の為にそこまで高い位置での移動はせずに結界を跳ぶようにして結界を足場にして俺は進んで行く。
これまでのレベルアップで上がった身体能力を活かして結界の上を移動して、しばらくしてから香り桃の木の元までたどり着いた。
あとはここから香り桃の採取を行なっていくのだが、この時に香り桃を傷付けないように丁寧に香り桃を扱って採取していく。
「これで最後っと。」
最後の香り桃の採取を終えた俺は結界を椅子の代わりにして座ると、先ほど採取したばかりの香り桃をそのままガブリと一口食べる。
周囲に香り桃の甘い匂いが広がっていくのを感じながらも、俺は口を休めずに次々に口の中に香り桃を入れて咀嚼する。
種の周りまで綺麗に食べ終わってから錫杖に魔力を集めていつでも結界を作れる準備を行なっていく。
「よしよし、来たな。」
イノシシのモンスターが集まって来る音が俺の元まで聞こえて来る。
地面を踏み付けて、茂みを吹き飛ばしながら駆け寄って来るイノシシのモンスターの群れ。
俺は結界を作り出せる範囲までイノシシのモンスターたちを誘き寄せてから。
「入った!」
イノシシのモンスターの1匹が結界を作れる範囲に入ってきた瞬間に、イノシシのモンスターの正面に強度の高い結界を俺は作り出した。
「相変わらずすごい衝突音だ。」
結界とイノシシのモンスターが衝突する音がここまで聞こえてきた。
またこの音を聞いたイノシシのモンスターがここまで来る様になるかと思うが、そんな音よりも香り桃の匂いの方がイノシシのモンスターを集めることになるから、衝突音が大きくてもそこまで関係ないだろう。
それからも衝突音が何度も森の中に響いていくが、最終的に今回のイノシシのモンスターを誘き寄せる作戦で倒したイノシシのモンスターは16匹になった。
その倒したイノシシのモンスターたちからのドロップアイテムで肉と毛皮も確保することが出来た。
「香り桃もいいけど、この肉も叔父さんに送った方がいいかな?」
1人で2キロのイノシシのモンスターの肉は多いとも思うけど、モンスターからのドロップアイテムの食肉は普通に売られている動物の肉よりも賞味期限が長いから叔父さんでも食べられるだろう。
香り桃と一緒にイノシシのモンスターの肉も叔父さんに贈ることを決めて、俺は次の誘き寄せて作戦の為にこの場から移動して別の離れた場所に向かって行く。




