表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
9/12

お昼ご飯は、みんなで食べれば平和ですわ!

編集しました

「今日は絶対に先に見つけます!」

朝から元気いっぱいの声が学園に響く。

アイリス・リーヴェルである。

その声を聞いたわたくしは、優雅に振り返った。

「アイリス、ごきげんよう。」

「リリアーナ!」

にこにこと駆け寄ってくる姿は、まるで小動物のようで愛らしい。

(ふふふ。)

(ヒロインがこんなに懐いてくださるなんて。)

(破滅フラグはもう半分くらい折れていますわね!)

そう安心していると、後ろから落ち着いた声が聞こえた。

「おはようございます、リリアーナ。」

「殿下、ごきげんよう。」

レオニス殿下は当然のようにわたくしの隣へ立つ。

そして自然な動作で、わたくしの鞄を持ち上げた。

「少し重そうですね。」

「まあ!ありがとうございます。」

その瞬間。

アイリスがぴたりと止まった。

「……。」

「……アイリス?」

「私も持てます!」

「結構ですよ。」

「私の方が得意です!」

「婚約者として当然の役目です。」

「お友達として当然です!」

二人とも笑顔なのに、なぜか少し怖い。

(本当に仲良しですわね。)

(役割分担のお話でしょうか。)

そんなことを考えているうちに昼休みになった。

今日は庭園で昼食をいただく予定である。

わたくしがお弁当を広げようとすると、

左右から同時に声がした。

「こちらへどうぞ。」

「こっちへ来てください!」

「…………。」

左にはレオニス殿下。

右にはアイリス。

「ええと……。」

二人は同時に微笑む。

「リリアーナ。」

「リリアーナ!」

「…………。」

周囲の生徒たちまで足を止めて見守っている。

(困りましたわ。)

(こんなに仲が良いのに、お席で揉めてしまうなんて。)

わたくしは名案を思いついた。

「でしたら!」

ぱん、と両手を合わせる。

「みんなで食べればよろしいではありませんか!」

沈黙。

数秒後。

「……ふふ。」

レオニス殿下が小さく笑う。

「あなたらしい答えですね。」

アイリスも嬉しそうに頷いた。

「はい!」

こうして三人で昼食をいただくことになった。

「リリアーナ、それは何ですか?」

「母が作ってくださった卵焼きですわ。」

「美味しそうです!」

「よろしければどうぞ。」

アイリスが嬉しそうに受け取る。

その様子を見たレオニスが静かに言った。

「私にもいただけますか?」

「もちろんですわ。」

「ありがとうございます。」

二人が同時に卵焼きを口に運ぶ。

「美味しい!」

「……美味しいですね。」

わたくしは満足そうに頷いた。

(やはりヒロインと攻略対象は仲良くあるべきですわ。)

(これで破滅フラグも安心ですわね。)

その時だった。

「リリアーナ様!」

遠くから一人の男子生徒が駆け寄ってきた。

「もしよろしければ、図書館を案内していただけませんか?」

わたくしが返事をするより早く、

レオニス殿下が穏やかに微笑む。

「申し訳ありません。

本日は予定があります。」

するとアイリスも一歩前へ出た。

「今日は私も一緒なんです!」

「……。」

男子生徒は二人を見比べ、

青ざめながら去っていった。

周囲では小さなどよめきが広がる。

「また始まった……。」

「王太子殿下とアイリス様のリリアーナ様争奪戦だ。」

「本人だけ何も気づいていないぞ。」

しかし当のわたくしは、

(まあ。)

(お二人とも親切ですこと。)

(学園生活は、とても平和ですわ。)

と、今日も盛大な勘違いをしたまま、幸せそうに微笑んでいた。


そんなところに、一人の美形な青年がリリアーナの前に現れる。

「リリアーナ様、お話があるのです。

ついて来ていただけますか?」

「ええ、もちろんですわ!」

何が目的なのか全くわからないけれど、疑うことを知らないリリアーナは、喜んでついて行くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ