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2/12

おかしな婚約者候補の少女に出会い、人生が変わりそうです

退屈だ。

何もかも、予測できる日々。

心躍ることがない世界。

ただ毎日を過ごし、愛想を振りまき、作った笑顔で相手を自分の思った通りに動かす。

そんな日々に、もう飽き飽きとしていた。


そんなある日、私、レオニス・グランディアは、公爵令嬢リリアーナ・アルディスというわがままで気位が高いと噂される婚約者候補に、本日初対面のはずだった。

まさか当日に高熱を出すとはな…

飛んだご令嬢だ。

ただ、身分は高いのは確かだ。

次々に来る縁談を断る防波堤代わりの婚約者としては、ちょうどいい駒だろう。

そんなふうに思っていたのに。

「その、私には、前世の記憶があるのですっ!」

「は?」

間抜けな声が出てしまった。

…ん?ぜんせのきおく?

どういうことだ?

こいつ、わがままで気位が高いんじゃなかったのか?

ただのアホ令嬢?

「ここは、前世に存在していた乙女ゲームの世界なのです。

信じてもらえないと思うのですが、そこで私は悪役令嬢で、殿下の恋を邪魔し、最終的にはバッドエンドを迎える運命なのですわ!

身勝手ですが、そんなのはごめんなのです。

その一番の原因が殿下との婚約にあります。

どうかこのお話、白紙に戻していただけませんか?

大変失礼なことだとは承知の上です。

どうか…どうか…!」

一気に話されて理解が追いつかない。

こんなこと初めてだ。

こんな予測不可能な令嬢が、この世に存在したなんて。


私は幼い頃から王太子として育てられた。

学問も、社交界も、難なくこなしてしまった。

故に何もかもつまらない人生を送ってきたのだ。

周囲にいるのは、私に取り入ろうとする者ばかり。

「素晴らしい殿下です」

「婚約できれば光栄です」

そんな言葉は聞き飽きた。


けれど、この少女だけは違う。

会って十分もしないうちに、

「婚約を解消してください」

と本気で頼み込んできた。

しかも理由が、

「乙女ゲームで悪役令嬢だから」

……意味がわからない。

なのに、不思議と嘘をついているようには見えなかった。

これは、私の人生を退屈とは無縁にしてくれる者にようやく出会えたみたいだ。

逃す訳には行かないな。

「…では、私との婚約解消すればあなたに幸せが訪れると。」

「は、はい!その通りですわ!」

「…いやですね!」

「は、はい?」

「私は今、ここであなたを逃してはならないと悟りました。

絶対に婚約させていただきます。

安心してください。

あなたのことは、私が守りますから。」

ここまで圧をかければ大丈夫だろう。

何せ、第一王子にして王太子の私に逆らえる者など、この国に存在しないのだから。

せいぜい、私を楽しませてくれよ、リリアーナ・グランディア。


こうして、予測不可能なご令嬢との婚約解消の危機を難なくクリアした私は、これから先の人生、彼女に灰色だった世界が色鮮やかに変えてくれることを、まだ知らなかった。

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