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16/22

婚約者の顔を見られません!

これでは面白くないと思ったので、(展開が早すぎて)12話の内容を、大幅に変更しました。

そちらを読んでからこちらをお読みください。

変更が多くてすみません。

殿下とアイリスを応援すると決めてからというもの、わたくしは大変困っていた。

「リリアーナ様?」

「ひゃあっ!?」

突然声をかけられ、思わず飛び上がる。

サラが目をぱちぱちさせた。

「どうなさいました?」

「な、なんでもありませんわ!」

あります。

大ありです。

だって、最近、レオニス殿下のお顔が見られないのですもの。

「重症ですわ……」

思わず机に突っ伏した。

この気持ち、恐ろしいものだわ。

苦しいし恥ずかしいし落ち着かないし。

全然平和じゃありませんわ!

すると。

コンコン。

扉が叩かれた。

「お嬢様。」

「何かしら?」

「王太子殿下がお見えです。」

「え?」

固まった。

「……今、何と?」

「王太子殿下がお見えです。」

終わりましたわ。

わたくしの人生。

 

数分後。

応接室。

レオニス殿下は優雅に紅茶を飲んでいた。

今日もお美しい。

いえ違う。

見てはいけない。

ヒロインのお相手を直視してはいけませんわ。

心臓に悪いのです。

「ごきげんよう、殿下。」

わたくしは視線を逸らしたまま挨拶した。

「ごきげんよう、リリアーナ。」

どきん。

「……?」

殿下が少し首を傾げる。

「顔色が悪いですね。」

「元気ですわ。」

「目も合わせていただけません。」

「気のせいですわ。」

「そうでしょうか。」

「そうですわ。」

完璧です。

公爵令嬢らしい受け答えですわ。

そう思った瞬間。

「では。」

殿下が立ち上がった。

「失礼します。」

「え?」

思わず顔を上げる。

帰るの?

もう?

なぜか胸がきゅっとなった。

すると。

レオニス殿下が小さく笑った。

「ようやくこちらを見てくださいました。」

「…………。」

しまった。

罠でしたわ。

 

庭園。

気付けば殿下に連れ出されていた。

春の花が咲いている。

風が心地良い。

けれど、わたくしは全然落ち着かなかった。

隣に好きな人がいるからです。

「リリアーナ。」

「は、はい。」

「最近、私を避けていますね。」

「避けておりませんわ。」

「本当に?」

「本当ですわ。」

「では。」

殿下が少しだけ身を屈める。

距離が近い。

近いですわ!

「今、なぜ後ろへ下がったのですか?」

「気のせいですわ!」

「三歩も。」

「気のせいですわ!」

「なるほど。」

全然納得していないお顔だった。

 

しばらく歩いていると。

突然。

石畳の段差に足を取られた。

「あっ――」

転ぶ。

そう思った瞬間。

ぐい。

腕を引かれた。

気付けば。

レオニス殿下の胸に収まっていた。

「…………。」

「…………。」

近い。

近すぎる。

心臓が止まりますわ。

「お怪我はありませんか?」

耳元で優しい声が響く。

「だ、大丈夫ですわ……」

「それは良かった。」

そう言うのに。

なかなか離してくださらない。


最近のリリアーナはおかしい。

私、レオニスは、そのことに申告に悩まされていた。

私の頭を悩ませてくれるものなど、彼女しかいないので、退屈しないからいいのだけど。

目が合うと逃げる。

話しかけると赤くなる。

私が近づくと固まる。

最初は嫌われたのかと思った。

だが違う。

今もそうだ。

腕の中の彼女は真っ赤だった。

耳まで。

首筋まで。

まるで熟れた林檎のように。

「……可愛い。」

思わず漏れた。

「え?」

リリアーナが固まる。

しまった。

声に出ていたらしい。

だが。

もう遅い。

彼女の顔はさらに赤くなった。

「~~~~っ!!」

次の瞬間。

リリアーナは脱兎の如く走り去った。

「リリアーナ!?」

「ご、ごきげんようですわああああ!!」

遠ざかる背中。

私は思わず笑ってしまった。

「本当に。」

「退屈しませんね。」

 

その日の夜。

リリアーナは枕に顔を埋めていた。

「可愛いって言われましたわあああ!!」

ばたばた。

ばたばた。

この気持ちに、気づきたくないのに。

心臓は、驚くほど素直だった。

 

一方その頃。

レオニスは今日の出来事を思い出しながら、珍しく機嫌よく紅茶を飲んでいた。

セドリックは思う。

(殿下。)

(あと少しでございます。)

(その天然婚約者様は、そろそろ気持ちに気づくと思います。)

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