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破滅ヒロインの幼馴染に転生した俺、バッドエンドの巻き添えは嫌なので幸せにしてやろうと思います  作者: 瓜嶋 海
第2章

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第43話 逃げ場のないデート強要

 とりあえず雪海に相談し、安寧を取り戻した俺の精神。

 できる事がないという事が明確になっただけだが、気分は頗る良くなった。

 持つべきは優秀な先輩である。


 それはそれとして、今一度整理する。

 目下のイベントは中間テストだ。

 そしてテストが終われば、今度はすぐに六月に入る。

 『さくちる』のストーリーに照らし合わせると、直に白城桜花のイベントが始まるのだ。

 季沙の件だけに囚われている余裕はない。


 さて。

 梓乃李の暁斗と付き合う気ない宣言を経て、カップリングを完全に諦めたところだが。

 とりあえず原作で起きたイベントの回収は、今後もしていく所存だ。

 前に言った通り、それらのイベントが未回収のままだと梓乃李にも何らかの影響がある可能性もあるし、共通ルートの問題は解決しておいた方が良いだろう。

 それを抜きにしたって、ヒロイン全員とはもう関係値がある現状。

 彼女らを襲う悲劇を知っているのに見過ごすなんて、シンプルに胸糞悪いからな。

 

 暁斗と梓乃李をくっ付ける必要がない以上、もう各ヒロインからの暁斗への好感度に気を配る必要もない。

 あれはあくまで、共通ルートから原作準拠の流れで梓乃李ルートに入ってもらうための準備だったわけで。

 考える事が一つ減った上に自由に動けるなら、もう少し楽に残り二人のイベントは解決できるだろう。


「ねぇ」

「――ん?」

「ね、響太君。昨日の続きなんだけどさ。テスト終わったら予定空けられるって言ってたよね?」

「え? あ、うん」


 自分の世界に浸っていたところ、不意に声が割り込んできた。


 忘れてはいけないが、今は学校である。

 実はテストの前日という時期に差し迫っており、教室内は自習時間になっている。

 ただ、ここは優秀な進学校ではない。

 勉強に集中している人も居るには居るが、大半は仲の良い友達で集まって雑談に興じているだけ。

 そしてそれは俺達も同じで。


「……にしても、何故こうなる」


 俺は現在、梓乃李と二人きりで机を向かい合わせていた。

 暁斗に導かれるまま席に着いたのだが、肝心のアイツは右治谷と共に別の場所へ行ってしまった。

 要するに、ハメられたのである。

 まんまと二人きりの状況を作られたらしい。


 と、そんな状況下で目の前の幼馴染は邪悪な笑みを張り付けていた。


「勿論腕が治ったらで良いけどさ、デートしようよ」

「……」


 もはや隠しもしなくなった好意に、俺は目を逸らす。

 思い出すのは今朝の悪夢だ。

 この手で幸せにしてやるとは誓ったが、俺が付き合うというルートは依然拒否しなければならない。

 というわけで、回避を狙う俺。


「もし俺が断ったら?」

「あはは、何言ってるの? 予定が空いてるってのは知ってるんだけど」

「……予定ってのは、案外唐突に埋まるものだからなぁ」

「私達以外に友達いないのに?」

「うるせえよ」


 案の定逃げ道を潰され、ため息を吐いた。

 昨日、暁斗から聞かれた時に咄嗟に空いてると答えてしまったが、その時点で詰んでいたのかもしれない。

 はなから俺に選択肢なんかないわけだ。


 言っても無駄そうなので、ここは受け入れるしかないのだろう。


「まぁ、遊ぶだけなら」

「はぁ、ほんとに君は濁すのが好きだね」


 断固とした態度に流石に折れたのか、梓乃李はここにきてようやく苦笑した。

 しかし、許して欲しい。

 まだ『豊野響太が羽崎梓乃李と付き合う=飛び降り破滅エンド』という懸念が晴れていない以上、下手に近づきたくない。

 機嫌を取りつつ、適度な距離感で躱し続けなければいけないわけだ。


 とは言え、考えようによっては前よりはマシである。

 やるべき事は多いが、あくまで自分の行動のケアさえしていればいい現状。

 この前まではそれに加えて、暁斗や他ヒロインの好感度調整までしていたのだから、そう考えるとイージーモードだ。


 と、ここで俺はふと思い出してスマホを開く。

 先生も見ていないため、使用禁止を咎められることもない。


 見るのはSNSアプリだ。

 その中の、人気モデル『Ouka』のアカウント。

 言わずもがな、『さくちる』のヒロインの一人である白城桜花の表の名義だ。

 原作シナリオでは、今後彼女がSNSで炎上するという鬱展開が控えているため、そのチェックである。

 なんて、早いうちから手を打とうと思って確認してみたのだが、現状では特に異変はなかった。

 梓乃李や雪海のシナリオが歪んでいた手前、続くシナリオも時期がズレたりしかねないと思っていたのだが、今のところは無事なようである。

 一安心だ……が、しかし。


「ねぇ」

「ん?」

「遊びの予定立ててるそばから、別の女のSNS眺めてるってどういう事?」

「おい、人のスマホを覗き見るのは感心しないな」


 ジト目を向けてくる梓乃李に、俺は頬を引きつらせながら言う。

 コイツは、俺の彼女にでもなった気なのだろうか。

 俺は付き合うとも好きだとも言ってないはずだが、これは一体。


 と、俺の言葉を受けても変わらず、梓乃李は無言の圧を向けてくる。

 ……うーん。


「じょ、冗談ですよ? ただ流行ってる子だから気になっただけで」

「ふーーーーーーん」

「は、はははっ」


 相変わらず、梓乃李の好感度管理は鬼畜難易度だと痛感する俺。

 チラリと視界の端を見ると、そんな俺を見てニヤニヤ笑っている男子生徒二名を発見した。

 本来梓乃李の彼氏になる予定だった須賀暁斗と、その友達の右治谷である。


 アイツらには今度、特大の嫌がらせをしてやろうと、秘かに誓うのであった。

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