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よろしくお願いしますm(*_ _)m

「……」


「……」


一人の男が目の前に立つ女を睨みつける。一方、睨みつけられている女はというと、どうしようと、頭を抱えていた。


ああ、アル様が私を見てる。どうしよう、顔赤くなってない?ないよね?

かっこいい、目の保養になる。ずっと見ていたい、これでビールがあったら最高なのになぁ。


じゃなくて、どうしよう。


やっぱり、本当のこと言った方がいいよね。

でもなぁ…。

あ、そうだ。私の身分だけ明かして、知り合いの貴族から教えて貰ったことにすれば。

本当は情報屋のモルスから聞いた。でも人から教えて貰ったことに変わりはないし。

それにモルスの話だとアル様以上の歳の貴族は知ってるはずだから嘘ってバレる心配も少ないはずだ。


アル様、ごめんなさい。嘘はこれだけにしますから。


心の中で謝罪の言葉を述べて、ティーナは口を開く。


「あ、あの。先程の話なのですが、私、実は貴族なのです…」


「貴族…?なぜ貴族がこんな所にいる」


アル様はさらに睨みを強めながら、私の目を見つめる。


「えっ、えっと…。私、婚約者がいるのですが、その人と一緒になりたくなかったのです」


大丈夫、嘘はついてない。

アレク・シュゲイザーの婚約者になりたくないのは本当だ。

私はアルフォンス・シュゲイザー様の婚約者になりたいのだから。


「逃げてきたのか…」


アル様は少し眉を下げて、そう口にした。


「はい。それで…アルフォンス様のことは知り合いの貴族から聞いたことがありまして…。あなたはその時に見せていただいたアルフォンス様の似顔絵にとても似てらっしゃったので…」


本当は似顔絵ではなく、ゲームのスチルだが。

ごめんなさい、アル様。


「何?俺の事を教えた貴族の名はなんだ?…いや、それはいい」


アル様は私が名を教えるわけがないと思い直したのか、言葉を取り消した。


「あの、アルフォンス様のことはアル様とお呼びしますね。もちろん誰にも口外したりはしません」


「…代わりに何を要求するつもりだ」


アル様が私から距離を取る。


アル様、ごめんなさい。こんなチャンス二度と来ないかもしれないので、利用させてもらいます…!


「でしたら、一つだけ。…これからも私とパーティを組んでください」


「パーティを?何故だ」


さっきの表情から一転、心底不思議そうな表情を浮かべたアル様は私にそう尋ねる。


また一つアル様について知ることが出来た。

アル様にはこんな子どものように純粋な一面もあったんだ。

この言い方だと純粋なのはここだけだと言っているように聞こえてしまう。

もっと生きているアル様のことを知っていかなければ。


「それはその、私、実は虫が苦手でして…。なので私は薬草採取してくれる方とパーティが組みたかったのです。あ、私は薬草採取の間、魔物から守る役目をしますので…」


アル様とパーティを組めるならば、薬草採取の依頼をこれからも受けることが出来る。

アル様に薬草を摘んでもらうのは少し気が引けるが、それはお願いするしかない。


なにより魔王のアル様と行動出来るなら、倒したら駄目な魔物はアル様自身に教えてもらえばいいので冒険者のランクを上げることも容易だ。


そうなれば、私が異世界でやってみたいことの一つのドラゴン退治も出来るだろう。


そしてそんな機会が訪れれば、私の鍛えた魔法や武術を存分に披露出来る。


まさに一石二鳥、いや一石三鳥だろうか。


「わかった、お前とパーティを組もう。…ところで俺が魔物の方を担当した方がいいんじゃないか?」


アル様は腰に付けていた剣に手を触れる。


「本当ですか!嬉しいです。それと、もちろんアル様はお強いのでしょうが、戦いは私にお任せ下さい。もし、ご心配なのでしたら今からお見せしますよ」


ついに…アル様の力になれる。


アル様に会うことが出来ただけでも充分すぎるくらい幸せなのに、そのうえパーティまで組めるなんて…。


私はこんなに幸せでいいのだろうか?


今日が幸せ過ぎて、明日からが怖い。

運を使い果たしただけでなく、もしかしたらマイナスくらいになっているかもしれない。


「いや…戦えるならそれでいい。お前、ティナだったな。ティナは魔法使いなのか?」


アル様が私の名前を…。略称だけど、呼んでくださった。というかむしろ略称を呼んでくださるなんて。

私は今、アル様と知り合えている。

一方的に知っていただけだった私をアル様が知ろうとしてくれている。



本当にこの世界に来れてよかった…!



あなたが私をここまで育ててくれたおかげで今、私は幸せだわ…。リーシャ、ありがとう。どうかあなたも、幸せに生きていて。


私はこの世界に来てからずっと見守ってくれていたリーシャに心の中で感謝を述べる。


いつか、リーシャに手紙を書きたい。生活が落ち着いたら必ず書こう。そしてその手紙を持って、バレないようにリーシャに会いに行くのだ。


私はそう心に決め、アル様に答える。


「…いえ、剣も魔法もどちらも得意です。両方、鍛えてきたので」


あなたに会いたい一心で。そう心の中で呟きながら私は涙が出てきそうになるのを堪えて、アル様を見つめる。


「そうか。ティナの剣はどこにあるんだ?」


剣……。


あ…、アル様に会えた感動が強すぎて冒険者ギルドを出たら武器を買いに行こうと思っていたのをすっかり忘れていた。

読んでくれてありがとうございます。

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