シーン34エンポリオパパとアンナママ。
アンナママは語った。
先の戦いにおいて自分はマジェスト協会ヨーロディア支部で魔族に襲われたこと。
そしてその時に今の魔神麒麟が自らが魔神となる事でアンナは救われたことを語ってくれた。
「そんな事があったんですね。」
そう返したのはオリバー先生だった。
「ええ………私はそれからマジェストの力を得て魔王軍と戦い……そして今があるのです。」
「しかしその麒麟という魔神………古代から存在している天然の魔神という恐るべき力を有していると聞きましたが。」
「そうですね………ですが麒麟ちゃんはあの戦い以降その自我を滅多に現さなくなりました。」
「そうなんですね………でもあの力は。」
「ええ。必要な時に私に力を貸してくれるみたいですね」
そう寂しそうに見えたアンナママ………確かに僕もあの戦いの時に見た魔神麒麟。
僕達くらいの少年の容姿をしていてめちゃくちゃ素直な少年という印象だった。
するとエンポリオパパが口を開く。
「それに関してはさ……確かに以前は魔神となった彼ら精霊たちが自我を全面に出していたけれど………魔王が消えた今………幸せそうな僕達を感じて自我を滅多に出さなくなったのかもしれないのかもね。」
「なるほど………そういったことはあるのかもしれませんね。」
そうこたえたオリバー先生………するとエンポリオパパが口を開く。
「そうかもしれないね……僕の魔神……フェロームはよく話してくれるけどね………でも過去を思うと……あの頃、僕もまだ魔神を有しておらず……そして弱かった………もしも僕が強ければ……アンナも守れたのかもしれないと本当に思っているんだ。」
「そんな事はないわ………貴方がいなければ今の私たちはないもの。」
「エンポリオさん………そうですよ………貴方は一流の科学者だ…………僕だってこの魔神と出会うまでは本当に弱かったものです………ただ………その時はまだ僕はどこにでもいる普通の青年でした。」
「ありがとう…………魔神との関係は色々あるけれど……これからの僕達は世界の『勇者』がいない以上………僕達がその役割を担わなければならない………この力を持ったものとして。」
そう語ったエンポリオパパ。
そして何かを決心したのだろうオリバー先生に問いかけた。
「さあ…………オリバー先生…………やりましょうか…………ですが先生………魔神具のバージョンアップを行なうということは…………これまで以上の力を得られる反面……力を激しく消耗すると予想されますが……覚悟はよろしいでしょうか?」
「はい………もちろんです。」
するとエンポリオパパが僕達に告げる。
「レオン…………ソフィアもアーサー君もヘンリー君も聞いてくれ………本来は君たちの魔神具のバージョンアップも行った方がいいとは考える……でもそれは成長期の君たちの身体と精神にも影響を与えかねない…………それは僕には不本意なんだ…………だからそれはしたくないからね………今はオリバー先生の魔神具のバージョンアップだけを行なう事とする………君たちいいね?」
エンポリオパパの言葉に僕達はうなづいた。
パパは本当に僕達の事を考えてくれているんだ。
「では少々時間をくれ…………………。」
そう語ったエンポリオパパは部屋の奥へと入っていく。
僕達はそんなエンポリオパパの背中を見送った。
◇
◇
◇
そんな僕達は部屋の入口に移動し待つことになった。
部屋の中からはエンポリオパパが作業を始めたのだろう……パパの作業の音が聞こえてくる。
するとオリバー先生が口を開く。
「君たち………僕は必ず強くなってみせる………あの戦いもような不手際は二度と見せないから。」
「オリバー先生…………」
するとそんな先生にこたえたのはアーサー君だった。
「先生……………僕達だってまだまだ強くなるよ………あの時先生が僕達を守ってくれた………でもやっぱり僕も思う存分戦って役に立ちたかったんだ。」
「僕もです!!先生!!僕もマジェストになったばかりだけど…………もっともっと強くなりたい。」
ヘンリー君も先生に自分の思いを伝えた。
そこへソフィアが先生に声をかける。
「先生………私を助けてくれてありがとう………あの時……私何も出来なくて。」
「ソフィア……………いや…………僕こそ怖い思いさせてすまなかった。」
「ううん……私も強くなるから。」
そう話した二人が微笑みあう。
そして僕は口を開く。
「よし!!オリバー先生が強くなるなら僕達も強くなるから………もうあの時のような戦いは……しない!!」
僕達はそう決意したんだ。
◇
◇
◇
お読みいただきありがとうございました。




