シーン21ヘンリーくんの勇気。
僕たちの前に本当に先生となって現れたオリバー先生。
でも彼の人気は凄かった。
女子たちはずっと黄色い声を上げている。
「やあやあ皆!!よろしく頼むよ〜!」
「「はあああーーーーーーーい♡」」
そう声を上げたのはオリバー先生を見た女子達の声だった。
「うわあ…………オリバー先生来てそうそう凄い人気だねえ!?レオンくん?」
「まあねえ……………。」
僕がチラリと目を向けていたのはクラスの女子の一人『ルイーズ』ちゃんだった。
すると『ルイーズ』ちゃんの視線の先にもやはりオリバー先生だった。
(えええぇぇぇぇ…………………ちゃん。)
溜息をついた僕…………するとアーサーくんの目もオリバー先生に向けられていた。
「どうしたのアーサーくん?」
「ああいや…………僕もさ…………確かにこないだ………オリバー先生にコテンパンにされたろ?」
「うん……………確かにあのオリバー先生の強さは別格だったよ……………」
僕の言葉にアーサーくんは真剣な表情をしていた。
「お前らはどうか分からないけど…………僕はオリバー先生に全く歯が立たなくてさ…………凄く悔しかったんだ。」
「アーサーくん…………でもさ、僕たちはまだ子供だしいつか大人になったらオリバー先生以上に強くなれるかもしれないよ?」
「ヘンリー…………僕はサッカーだっていつでも真剣なんだ………競技だし勝ち負けは確かにあるけどさ………でもサッカーだって………マジェストとしても…………本当は誰にも負けたくないんだ
………………ヘンリー…………お前にも…………そしてレオン…………お前にもだ。」
「アーサーくん……………でもさ。」
僕の言葉にアーサーくんは身体を震わせる。
するとヘンリーくんが口を開く。
「あのさアーサーくん………でも僕たちもいつの間にかマジェストになってしまって………きっとまだ僕もだけど混乱してる部分もあると思う……だからこそこれから頑張って修行して強くなろうと頑張るんじゃないか!!」
「ヘンリー…………お前はまだわかっちゃいない………魔物との戦いって真剣なんだぞ!?負けたら僕たちも死ぬかもしれないんだぞ!?ゆっくり頑張っていけば強くなれる?」
息を荒らげてそう言ったアーサーくんは続ける。
「それでその途中で負けて死んだら…終わりなんだぞヘンリー!!!!!」
「アーサーくん…………そんな事くらい……………僕だって分かっているさ……きっとレオンくんやソフィアちゃんもそしてオリバー先生だって考えないわけないさ。」
「じゃあなんだっていうんだヘンリー!?」
「僕は守りたい人達を守れるなら………それでいいよ。」
「ヘンリーくん…………君は。」
僕がヘンリーくんに何かを感じたその時。
校庭から誰かの叫び声が聞こえた!!!
「きゃあああーーーーーーーーーーーっ!!」
「魔物だあああーーーーーーーーーーっ!!」
僕達は窓を開け校庭に目を向ける。
そこには魔物から逃げ回る生徒達の姿があったんだ。
魔物は翼を広げたナメクジ型のモンスター………「デビルスラッグ」だった。
三メートルはあると思う巨大なナメクジが這い回り数人の生徒達を追い回していたんだ。
「くっ!!また来たか!!???」
「ああ…………いこうぜ二人とも………………。」
そう告げたアーサーくん……………………。
するとヘンリーくんが窓越しに立ち尽くす。
僕達に背を向けたヘンリーくんはつぶやく。
「走っていったら間に合わないかもしれない。」
「何言ってるんだヘンリー!?ここは三階だぞ!?すぐにでも走っていかねえと。」
「アーサーくん…………僕なら可能なんだよ!?」
「ヘンリー!?お前………………………………。」
「さあ行くよ……………………。」
ヘンリーくんがその手に魔神具であるカイトラビットを構える。
「魔神カイトラビット………………………。」
パーーーーーーーーーーっという光が魔神から放たれた。
ヘンリーくんの魔神具……糸の様な光がヘンリーくんの手からスルスルと出ていきカイトラビットは空中へとグングン舞い上がっていく。
そしてカイトラビットは宙に浮いたままバサッバサッと滞空していた。
すると窓に足をかけたヘンリーくん。
「危ないよヘンリーくん!?」
「ヘンリー!!」
「アーサーくん…………僕はね………………いつもきっと勇気がないと思われてると思う………でもさ……………僕ああやって助けを求めてる誰かのためなら…………………」
「やばいぞ!!ヘンリー!!お前失敗して落ちたら…………………。」
「大丈夫…………………僕はマジェストなんだ………………困ってる人達を救うためなら……………………。」
窓からダッと蹴り出し飛び出したヘンリーくん。
「カイトラビット!!!」
手を伸ばしたヘンリーくんの手をカイトラビットが空中から握った。
「よし!!カイトラビット!!いっけえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
そしてヘンリーくんはモンスターの元へ降りていったんだ。
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