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転生令嬢と黒猫の秘密の計画 〜冷遇されているので偽装結婚から一発逆転狙います!〜  作者: 鳴神楓


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10/14

10.初演

 エリーゼプロデュースによる新作舞台『シンデレラ〜不遇な少女の大逆転〜』の初日。

 ボールドウィン男爵家が所有する王都の大劇場は、開演前から異様な熱気に包まれていた。

 男爵の商会で出している新聞で、初演の日までに情報を小出しにしていたおかげで、上演前からすでに話題になっているのだ。


「エリーゼ様!

 当日券を求めるお客様で、劇場の外に長蛇の列ができております!」

「まあ……! それは嬉しい悲鳴ね」


 楽屋裏で最終チェックをしていた私は、劇団員の報告に破顔した。


 前世の『シンデレラ』をベースに、この世界の貴族社会に合わせたスカッと展開を盛り込んだ脚本。

 役者たちの素晴らしい演技に加え、『衣装が一瞬で変わる早替えの仕掛け』や『ドレスを引き立てる照明演出』も完璧だ。


「ハハハ!

 観客の反応を見たか、エリーゼ嬢!

 第一幕が終わったばかりだが、すでに場内は大歓声だぞ!」


 廊下の向こうから、ヘンリー様が興奮冷めやらぬ様子で歩いてきた。


「大成功ですね、ヘンリー様。

 ……ですが、これはまだ始まりに過ぎませんわ。

 評判を聞きつけた貴族や市民たちが、明日からはもっと押し寄せるはずです」

「ああ、間違いない!

 お前の演出アイデアとストーリー構成は本物だ!

 今日を境に、我が商会と劇場の価値は跳ね上がるぞ!」


 ヘンリー様と力強く握手を交わす。


 実家で「何の価値もない人形」と蔑まれ、物置小屋に押し込められていた私が、自分の知識と行動で自分の価値を証明してみせたのだ。

 胸の奥から、達成感が湧き上がってくる。


────────


 その夜。

 大ヒットの祝勝会を終え、自室のベッドで余韻に浸っていると、バルコニーの窓がコツコツと叩かれた。


「ルカ!」


 窓を開けると、月光を浴びた小さな黒猫がすばやく室内へ滑り込んできた。

 パッと光が弾け、次の瞬間には人間のルカの姿に戻る。


「エリーゼ!

 劇、大ヒットなんだってね!

 魔術師団の先輩たちも『チケットが全然手に入らない』って大騒ぎしてたよ!」

「ふふ、ありがとう。

 噂がそんなところまで届いているなんて光栄だわ。

 ルカの方はどう?

 毎日大変そうだけど……」

「うん!

 今日はね、魔力で小さな炎をいくつも同時に生み出す訓練をしたんだ。

 ……見てて!」


 ルカが掌をかざすと、彼の周囲に青白く美しい魔力の火花がいくつも浮かび上がった。

 以前の彼は、ひとつ火を生み出すことにも苦労していたはずだ。

 それが今や、軽々と複数の火花をコントロールしている。


「すごいわ、ルカ……!

 王立魔術師団の見習いになってまだ間もないのに、こんなに成長するなんて!」

「えへへ……。

 団長さんにも『伸び代が恐ろしい』って驚かれちゃった。

 もっと強くなって、いつか魔術師としてすごい功績をあげるからね」


 照れくさそうに頭をかくルカの瞳には、以前のようなおどおどした影は微塵もなかった。

 私たちは互いの健闘を称え合い、深夜までこれからの夢を語り合った。


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