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私と先生が付き合ったら退職になるので、禁断の恋は始めません。~清楚ギャルJKと眼鏡教師のラブコメ~  作者: 五月雨恋
高校3年3学期

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第65話 共通テスト

 冬休みに遊ぶ暇はなかった。

 晩御飯の時に年末の歌番組を横目に見て、模擬テストのアラームが鳴った時には年が明けていた。

 日にちをずらして皆で行った初詣は人もまばらで、屋台がほとんど出ていない。

 唯一出ていた屋台の、冷めたベビーカステラをつまみながら、ミカと二人……悲しみに暮れた。


 学校が始まってからはいつも通り。予備校のない日は進路指導室に顔を出す。

 勉強の合間にはコーヒーとお菓子を摘まみながら二次試験対策について三山先生に相談して――。

 目先の共通テストと、その後の私学受験もあって、最後には余裕が無くなって言われるがまま勉強を進める。

 最近、先生に告白されてない気もしたけど――そんな違和感も、暗記科目に塗りつぶされていった。


 

「葉月、いよいよだねぇ……」

「うん。まぁ頑張った分だけ、何とかなるでしょ」


 コンちゃん(ミカのパパ)の大きな車に乗せてもらって着いた試験会場の大学。

 共通テストが――始まった。


 * * *


「……ねえ葉月。運だけで点取れる可能性もあるよね? 四択多いし、四分の一は正解する訳じゃん?」

「いや、さすがに厳しいと思う」

「ミカなんて、今日の科目は全部勘だからね。何点取れるか楽しみじゃない?」

「数学は四択少ないし、絶望的じゃん……」

 

 共通テストの二日間が終わった。ケラケラと笑うミカと大学構内を歩いていると、出口付近にいたのはリョースケ(高1冬の元カレ)だった。


「なあ葉月。共通テストって四択多いし、ワンチャン良い点取れる可能性もあるよな?」

「……医学部、受けるんだよね?」

「一応な。それより来年、どれだけ伸ばせるかの方が楽しみだ」


 ミカと同じ事を言うリョースケの目は、すでに未来に向いていた。


 その後も構内で話していると、高校の同級生はもちろん、久しぶりに会う中学の同級生や、先輩なんかも集まってくる。……あと中学時代の元カレとか。


「ミカ的にはやっぱ、1冬が一番イケメンかな。葉月の元カレコンテスト優勝はリョースケでっ!」

「よっしゃー!」


 早くも受験戦争に負けそうなリョースケが、勝利の雄たけびを上げたところで解散した。

 夜の空気が、静かに冷えていく。


 

 翌日。


「見て葉月。凄ない?」

「凄い。一点突破とは聞いてたけど、凄いと思う」


 ミカに見せられた自己採点結果は、倫政だけが綺麗に突出していた。

 他は……。


「数学も勘……なんだっけ?」

「うん、一問も解いてない。……ヤバない?」

「ヤバい」


 地味に良い点数を取ってて……その運の強さに、少し引いた。


「葉月はどうだった? 手ごたえありそうな顔はしてたけど?」

「まあ、それなりかな」


 正直、想定以上に良かった。


「お姉ちゃん、誰にも言わんしちょっとだけ、ミカおじさんに、見せてみぃ?」


 ぐへへ、と笑いながらミカが寄ってくる。……まぁ、ミカなら良いか。


「はい」

「……えっ?」


 ミカは結果をじっくりと見て……そのまま、厳かな仕草で返してくる。自分の結果をまた見返して、私の顔を見る。

 

「葉月も……勘?」

「いやいや、そんなわけないじゃん」

「正解したとこ、全部分かってるって事?」

「そりゃまぁ……一部はちょっと怪しいけど」

「ひえぇ……」

 

 努力はちゃんと数字になって現れるらしい。あとは――。


「ていうか葉月、そんだけ結果良かったならもっと喜べば良いんじゃない?」

「いや、それはちょっと……気が緩みそうで怖いかも」

「ミカだったら、嬉しすぎて全校に号外バラまくねっ!」

「それだったらSNSの方が良くない?」

「おっ……? 葉月、一緒にダンスしちゃう? 最後に結果どーん! って!!」

「いや、しないし」


 ミカはひとしきり大騒ぎして、最後にポツリと零す。


「いーっぱい頑張った葉月の努力が実って、本当に良かったなぁ……」

「……まだ受験、終わってないからね?」


 合格通知はまだ一つも無いのに……気が緩みそうだった。

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