表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生と禁断の恋、始めません。  作者: 五月雨恋
高校3年1学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/50

第42話 情報の授業

 黒板の横。体育祭のクラス優勝トロフィーは、ミカの指示で作られた立派な台に飾られていた。

 金色に輝くトロフィーのつや肌には、窓の外の雨が映っている。


 ――そう、今日も降っている。


 チャイムと同時に現れた三山(みやま)先生の髪の毛は今日も、うねうねが増して爆発していた。クラス中から笑い声が起きるけど、梅雨入り初日の大爆笑よりはマシになったと思う。


「おはようございます」


 三山(みやま)先生は、いつも通り出席をとりはじめた。本人曰く、気にしたところで手が付けられないらしいけど――朝のHRの後、窓の外を睨む視線には怒りがにじみ出ていた。


 * * *


 四時間目は情報の授業だった。黒板には短く、物事を調べるときの要点が箇条書きされている。

 検索ワードを変えてみる、複数のページを見比べる、出てきた情報を鵜呑みにしない。


「最初に出たやつを信じては……いけま、せん。検索結果の上から三つだけ読んで終わり……みたいなのは 、やめま、しょう」

 

 情報科の片出(かたで)先生は、いつも通り語尾を溜めつつ、ゆっくりと話す。聞いていると眠くなることで有名だ。

 

「そう言われても、縦動画で良いって言われたら買っちゃうよねぇ……」


 と呟いていた。……分かる。


「同じ内容でも……言い方を変えると出てくるものが変わり、ます。例えば――」


 その後も続く先生の言葉を聞きながら、私は手元にあるマウスのホイールを人差し指でコロコロと回していた。


「では、検索の練習をしてみま、しょう。最近気になっているものを、自由に……調べてくだ、さい」


 気になっているものかぁ。私は『みやま……』と途中まで打ち込んでからバックスペースキーで文字を消す。適当にも程が過ぎた。んー、何かあったかなぁ。検索バーをぼんやり見つめていると隣のミカが吹き出した。


「葉月見てッ!! 若い時の三山(みやま)先生!!」


 そう言ってゲラゲラ笑いながら見せてきたのは、三山(みやま)先生のSNSだった。公開されてるのはプロフィール写真だけ。大学時代に作ったまま放置されたっぽいそれには、シャボン玉を吹く先生の横顔が写っていた。


「若いっていうか……ちょっと幼い?」


 金髪交じりの茶髪に、服装の感じが……うん、時代を感じる。覗き込むようにクラスメイトが集まり、そこからは各自の席に戻って――三山(みやま)先生こと『三山晶』探しが始まった。


「テニスサークルで鍋食ってる三山(みやま)先生見つけた!」「これ、三山(みやま)先生だよね? 教職員人事異動の三山(みやま)(あきら)!」


 全力でネットの海を捜索される『三山(みやま)(あきら)』。一番盛り上がったのは、田中が見つけた記事だった。


三山(みやま)(あきら)って書いてある! バスケでインターハイ行ってるかも!」


 それは、妙に詳しく書かれた誰かの個人ブログだった。


「メンバー表に名前あるけど、三山(みやま)先生どれ?」

「癖毛いなくない? 梅雨以外ってどんな髪型してたっけ??」


 掲載されたチームの集合写真を、食い入るように見つめるみんなの隙間から、私も覗き込む。中学時代バスケ部だった私としても、とても興味深い。


「これじゃない?」


 画像を見るとすぐに分かった。髪型は坊主だけど、メガネゴーグルをかけてて面影がある。私は先生を指さす。


「え? これ?? なんか違うんじゃない?」

「この田中みたいなやつ?」


 写真をパソコンに保存して、さらに拡大して。


「「「坊主の三山(みやま)先生だー!!」」」


 と皆で意味もなくハイタッチした。でも……。

 末尾に書かれていた「三山(みやま)(あきら)、負傷交代」の文字を見た瞬間、教室の空気が止まった。その後も調べたけど、メンバー表からは『三山晶』の名前だけが消えていた。


「……触れねぇ方が良いのかもな」


 田中の言葉に、皆頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ