第40話 体育祭②
体育祭も佳境に入ってきた。
縦割りでの赤・白・青の戦い。今は赤組がリードしている。
……しているんだけど。
「「「3組に負けんなー!」」」 「「「6組をぶちのめせー!」」」
我らが7組は、そっちはどうでも良いらしい。学年別、クラス対抗の優勝に全力を注いでいた。……ちなみに三年七組は赤組に属していて、そっちも地味に勝っているんだけど。
「色別対抗リレーで体力消耗しないようにねっ!」「分かってる、流して走る!!」
――『色別対抗リレー、勝者は赤組です』
「お前本気で走ってないか!? 速すぎるだろ!!」「どうでも良い競技で怪我したらどうする!」「クラス対抗リレーのことを考えろ!!」
競技中の応援も手抜きで……正直、ひどいと思った。
やがてクラス対抗の男子400m走が始まり、クラスメイトのボルテージが一気に跳ね上がる。
勝った負けたを繰り返しての最終組。僅差で1位を維持する我らが7組は野球部の田中。対抗するは……現在2位の3組。走者はミカの彼氏、ピータンであった。
「田中ー!負けたら坊主だぞー!」
既に坊主の田中に温かい声援が全力で飛ぶ。もちろんクラス優勝を目指すミカも。
「田中ー! 頑張れー!!」
順当に行けば田中が間違いなく勝つだろうけど……「任せとけ!」と答える田中の背後で、ピータンが指と首をポキポキ鳴らしながら……苛立ちを抑えるように睨んでいた。
ピストルの音とともに田中が先頭を取る。その背後にはピッタリと張り付くようにピータン。応援の傍ら、ミカがポンポンを振りながら耳打ちしてくる。
「ピータン速くない!? なんで!?」
「分かんない!」
たぶん愛と嫉妬とか、そういう感情だと思うけど……複雑な立場のミカを思うと何とも言えなかった。
残り半周。ミカは渾身の力を振り絞って声を張り上げる。
「田中--ッ!! 頑張れーーーーーッ!!!!」
そこにはもちろん三山先生の野太い声なども重なるのだけど――。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
田中の背後を走るピータンが喉を裂くような唸り声を上げて田中を抜きに掛かる。私たちはクラス一丸となり、さらに応援のボリュームを上げていくも……どうしようもなく、ピータンは速かった。
その差はどんどん開いていき、ピータンは大差でゴールする。3組の歓喜の声と、7組の落胆の声が同時に湧き起こった。
田中は悔しそうに天を仰ぎ、勝利したピータンは――顔面から地面へ倒れ込んだ。
「ピータン!?」
ミカが咄嗟に駆け出す。ミカはピータンの無事を確認して少し泣いたあと……悔しそうに田中の頭を叩いていた。
今ので3組が逆転。クラス対抗の決着は、最後のリレーに持ち越された。




