表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生と禁断の恋、始めません。  作者: 五月雨恋
高校3年1学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/50

第33話 1冬は部活を辞めるらしい①

 4月も終わりに差し掛かったころ。

 私はいつものように進路指導室での自習を終えて、昇降口を出る。

 グラウンドではサッカー部が練習をしていて――


「おう(ひいらぎ)! 帰るのか??」


 昇降口を出た所では野球部の田中(ハゲ)が元気に半袖半ズボンでスクワットをしていた。……この時期、微妙に肌寒くない?


「……何で田中だけ半ズボンなの?」

「ユニパン忘れた!」


 そう言って田中は、隣の部員のユニフォームパンツを引っ張る。


「元気余ってるだけかと思ってた」

「余ってるから、そのうち上は脱ぐぜッ!」


 「俺達も脱ぐぞ!」と便乗してくる野球部連中が妙に面白かったので、とりあえず動画を撮っておいた。全員笑顔で上半身裸なのがツボである。あとでミカに送ってやろ。

 

 半裸の変態筋トレ集団に別れを告げ、今日は雑貨屋でシャーペンでも買おうかなと歩いていると。


「あれ、葉月(はづき)じゃん」


 校門に差し掛かったあたりで声をかけられた。この時間に、なぜここに?


「……部活じゃないの?」

「いや、さっき辞めてきた」

「え、なんで?」


 そこに居たのは――ミカ曰く『学校一のイケメン』、その他大勢からは『クズ』と名高い男。一年の冬に付き合っていた元カレ、リョースケの姿だった。

 ……ここにミカが居たら、「1冬じゃん」って言ってそう。指を立てて口パクする姿が、なんとなく浮かんだ。


 リョースケは「色々あったんだよ」とヘラヘラ笑いながら歩き出す。


「え、帰るの?」

「うん。一緒に帰ろうぜ」

()だ」

「えぇ……。せっかくだし俺の話を聞いてよ」

「あんまり興味ないしなぁ……」


 ただ、部活を辞めた理由だけはちょっと気になるので、仕方なく隣を歩いてやる。途中、リョースケが昔みたいに手を伸ばしてきたので……私は反射的に足で蹴った。手を繋ぎたいなら握手券持ってきてくださーい。

 

 * * *

 

「何組だっけ?」

「3組。7組が良かったなー。葉月(はづき)いるし」

「いや、ウチのクラス文系だから。無理でしょ」


 ミカは喜びそうだけど。『イケメンで足の速いリョースケ加入! 目の保養と体育祭優勝、どっちも頂きだーっ!』とか言いそう。


「そうなんだけどさ。せめてピータンとは別のクラスが良かったわ」


 ピータンとはミカの彼氏である。


「あれ?仲良いんじゃなかった??」

「普通に無視される。ミカのせいだよ。アイツが俺の事イケメンとか言うから」

「あー……」


 ピータンは、だいぶ嫉妬深い男なのであった。


「じゃあクラスに友達いないんだ?」

「いるわっ! 俺、けっこう人気者な方だと思うぞ?」

「そうかなぁ……」


 噂聞いてる限りだと、アンチの方が多いんじゃない? ……む、これもある意味人気者なのだろうか??

 ふと見上げたリョースケの横顔は相変わらず飄々としていて、ぶん殴りたいという男子の気持ちと、引っ叩きたいという女子の気持ちが何となく分かった。

 


「まぁ、それは良いとして。なんでサッカー部辞めたの?」

葉月(はづき)と一緒に帰りたいから」

「……今からでもサッカー部戻れば? 私の帰宅を邪魔しないでくれる?」

「ボール追うより、女追う方が楽しいんだもん」


 肩をすくめて笑うその姿は、昔と全く変わらない。そして、リョースケはため息を一つつく。たぶん、ここからが本音。


「成績が悪かったから、親父に部活辞めろって言われたんだよ」

「……でも、あと少しで引退でしょ?」

「サッカーは一応冬まであるけどな」


 そういえば、昔聞いたかも?


「……で。俺の親、医者じゃん? お前も医者になれって言うわけよ」

「じゃあ医学部受けるんだ?」

「いや、俺の頭じゃ絶対無理。だから歯科大目指す感じかなぁ」


 リョースケ曰く、歯医者になる医者の息子はバカらしい。……全国の歯医者さんを敵に回してない?


「でも正直、歯科大どころかそこそこの大学すら行ける気がしないんだよ」

「ふーん」


 歯医者さんに、歯を抜かれればいいのに。


「そういえば葉月(はづき)、学年1位なんだろ? 俺の代わりに医者になって養ってくれ」

「1位じゃないし、文系だから無理」


 誰に聞いたんだろ。……ミカかな。


「えぇ……じゃあさ」

「んー?」


 話を聞きながら上着のポケットに手を突っ込むと、飴が入っていた。これ、誰に貰ったんだっけ?


「俺と、ヨリ戻そうぜ」

「…………は?」


 ちなみにその飴は、青リンゴ味だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ