第19話 三山先生目撃談
今は絶賛・冬休み期間である。
ちょこちょこミカたちと遊びに出かけつつ、基本的には家でぬくぬくと過ごしていた。
……のだが。
クラスのグループLIMEが、連日のように鳴り響く。
『三山先生がスーパーにいた』
『先生と駅で会ったからジュース奢ってもらった!』
いろんなところで三山先生が目撃されていた。
目撃どころか――
『三山先生チームとフットサル対決した!』
『なんで!?』
『先生が友達とコート来てたから試合してもらった!』
……みたいな報告まで流れてくる。
クラス全員に共有される、三山先生との隠し撮りやツーショット。
ミカはまた腕組んで写っているし。……ていうかそれ、私も昨日行ったショッピングモールじゃん。
――と気づいた瞬間、ハッとしてしまった。
まさか私は、三山先生に会いたいのか?
毎日のように進路指導室へ通ったせいで、日課みたいになってるだけ……だよね?
うーん、とコタツの中で頭を悩ませること数十分。
私はモソモソと楽園から這い出し、先生の目撃情報が多いというスーパーへ向かうことにした。
* * *
「なんでぇ?!」
「いや、なんでだろう?」
スーパーに着いて早々、ミカに出会った。
「今日は当たりの日かも!葉月に会えたし!」
「一昨日も会ったけどね」
二人それぞれカゴを手に、並んで歩き出す。
「てか、なんでわざわざこっちのスーパーまで来たの?」
「気分転換かなぁ。あと、魚が新鮮だってママが言ってたし、パパの晩酌用にお刺身でも買って帰ろうかなって」
「美人で優しい娘を持って、パパさんは幸せ者だねぇ」
「刺身代はパパのお財布から出てるけどね」
他愛もない話をしながら店内を見て回ったが、あのヒョロっとした癖毛男子に会うことはなかった。
「そういえば、三山先生もこの辺なんだっけ?」
「うん。夕方とか閉店間際によく見るよー。ほとんど毎日自炊だって。凄いよね?」
「見た目的にしてそうだから、意外ではないけど」
「たしかに!」
そうして店内をもう一周したあと。
私は刺身の盛り合わせと、三山先生がいつも買っているというヨーグルトを――
ミカにそそのかされて買い物カゴへ入れた。
* * *
その日の夜。晩酌中のパパの向かいで私はヨーグルトを食べつつ考えた。
あとほんの数日で冬休みは終わる。
そうすれば嫌でも三山先生に会う事になる。
……なんだけど。クラスのグループLIMEの三山目撃の話題で溢れてる。
というか私だけ会ってなくない? なんで皆会ってんの? あっちこっちで歩きすぎじゃない?
「教師って冬休みは暇なのかな……?」
「三が日過ぎたら学校行ってるんじゃないか?公務員なんだし」
ふいに漏れた私の言葉に、お刺身をビールで流し込んだパパが反応した。
「え、休みじゃないの?」
「休もうと思えば休めるけど、基本的には出てきてると思うぞ?」
学校に行けば会えるのかな?
パパはその後、有休や教員の勤務体系の話を分かりやすく解説してくれたけど、右から左にしっかりと聞き流してしまった。




