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兄と妹は身体を共有して異世界生活を謳歌することにしました。  作者: ノヴァ
第1章~異世界へやって来たけど何をしよう~
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仲間が増えました

「『は?』」

 ちょっと待て。俺らが持っているこれは、先日謎の少女に襲撃された際の戦利品。その謎の少女が目の前のそれだと言うのか。

 確かに暗がりでよく見えなかったが、あの時の少女とこの少女は似てなくもない。だが、明らかに性格が違う。あの少女は高飛車で高圧的だったが、こっちは穏やかで大人しい。まるで180度正反対だ。

「本当です! それは先日私が貴女を襲撃した際に切り落とされたやつです! あの時慌ててて回収するのを忘れて……」

 どうやら目の前の少女はあの時の少女御本人のようだ。あの場には俺らと少女しかいなかったし、仮に気配を消していたとしても嘘を付いてまでこれを欲しがる理由が見当たらない。

「なるほど……。でもこれを返して欲しいんだったら、まずやらないといけないことがあるよな?」

「先日は突然襲撃してすみませんでした」

 こちらが開口して5秒で少女は土下座していた。理解と行動が早くて助かる。

「でも、何でお前あの時と性格が丸っきり違うんだ? それに何故俺を襲った?」

「えっと、それを着けてないと心を強く持てなくて……。襲ったのは食料奪いたくて……」

 取り合えず、謎は全て解けた。

 少女は先日、俺らが食料を持っているものだと思い襲撃した。だが返り討ちに遇い、ビキニアーマーの上を失った事で自尊心を欠落。そして今日、この草原でビッグバイパーに食われた。で、俺らに助けられた。

 ということになる。

「そうだったのか。まぁ、済んだ事だし許す。これも返すよ」

「あ、ありがとうございますっ!!」

 俺が投げ渡したビキニアーマーを受け取ると、少女は眼にも止まらぬ早さでそれを身につけた。

「……ふぅ。やっと本調子に戻ったわ。ありがとう」

「「『(性格変わりすぎ)』」」

 俺らとミーニャは心の中で突っ込んだ。

「そういや、まだ名前教えあってなかったな。俺はミライ──ミライ・ニノミヤ」

「私はミーニャ・ヴァルシャート。ミーニャって呼んでくださイ!」

「あんたらみたいなのに自分の名前教えるなんて虫酸が走るけど……。恩人だし仕方ないわね。『サラ・ニヴルヘイム』よ」

 少女改めサラは、それだけ言うと背中を向けて歩き出した。

「おい、どこ行くんだよ」

「私が何処に行こうと勝手でしょ? あんたらにどうこうされる謂れはない」

「それがあるんだよなー」

 ニタリと笑うと、俺はサラの眼前に顔を近づける。もちろん、不敵な笑みで何を考えているか悟られないように。

「何だかんだでお前が俺を襲った事実は残っている。所謂コソドロ? それを俺が町にいる兵士や警察に伝えたらどうなるかなー?」

「なっ……あんた……っ!!」

「当然、お前はお尋ね者になる。こっちは顔も完璧に覚えたから手配書にお前の顔と実名が載るのは間違いない。こりゃ捕まるのは時間の問題だな」

「くっ……! でも、その名前が偽名だったらどうするの? 私は本来の名前で貫き通すわよ?」

 揚げ足を取ったかのような表情でこちらを睨み付けるサラ。確かに、普通ならここで策を出し尽くして終わりだろう。

 決して他人に屈しようとしないその思い、悪くない。


 だが悪い。その思い、砕かせて貰う。


「残念だが、俺はお前が偽名を名乗ったなんてこれっぽっちも思っちゃいない」

「強気ね、何処にそんな根拠があるの?」

「根拠? そんなの、お前が一番大事にしている物にあるじゃないか」

「私が一番大事にして────あ」

 その瞬間、サラの表情が硬直する。その視線は、自身の胸部──ビキニアーマーに注がれていた。

 これで決まりだ。

「実は、お前の名前最初から知ってたんだわ。昨日の夜、寝る前にそれを見た時に裏に名前彫ってあったんだよ──『サラ・ニヴルヘイム』ってな」

「で、でもっ!!」

「なんだ? それが自分の名前じゃないんなら、さっさと返して貰おうか。お前の名前ではない名が彫ってあるなら、それはお前の物じゃない。それを自分の物だと言い張って持っていこうってんなら、それは窃盗ということになるな。窃盗が犯罪っていうのは猿でも分かる」

「ぐっ……!!」

「まぁ、返してもらっても俺は襲撃の件を兵士や警察に伝えるがな」

「そ、そんな……それじゃ……」


「お前は詰んだんだよ」


 俺から放たれた最後の言葉を受け、サラはその場に崩れ落ちた。

「うっ……。お、お願い……私に出来ることならなんだってするから……それだけは……!」

「ほぅ? 今、『何でもする』って言ったな? なら俺のパーティーに入れ。スマホ持ってるから、ギルドに入ってないとは言わせないぞ」

「はあっ!? 何で私があんた何かのパーティーに入らないといけないのよっ!!」

「なら兵士にチクるぞ?」

「ぐぬぬ……っ!! 分かったわよっ! 好きにしなさいっ!!」

 半分自暴自棄になりながらも、サラは自身のスマホをこちらに向ける。

「じゃあ──契約完了(コントラクティッド)

 スマホをパーティー登録画面にすると、サラのそれと向かい合わせる。


 ■■■■■■■■■■■■■■■■■


 《サラ・ニヴルヘイムがパーティー登録されました!》


 ■■■■■■■■■■■■■■■■■


「それじゃあ、これからよろしくな」

「うっ……。言っとくけど、これは無理矢理パーティーにならされただけで、あんた何かのパーティーに入ったって全然嬉しくも何ともないんだからねっ!!」

 おお、まさか現実で典型的なツンデレを見られるとは。神様ありがとう。

「それはそうと、あんたら宿暮らしでしょ? 家に来る?」

「え、いいんですカ!?」

「こう見えても私、名家のお嬢様なのよ。家も結構大きいから住む人間が2~3人増えたところでどうってことないわ」

「名家のお嬢様がコソドロねぇ……」

『ねぇ?』

「そのネタ引きずるのは止めなさいよ!」

 

 こうして、俺ら兄妹は二人の仲間を手に入れた。

 外人系猫耳少女、ミーニャ。

 ツンデレお嬢様系少女、サラ。

 この二人となら、毎日仲良くやれそうだ。

『なぁ、美羽。この世界で冒険者やるのってどう思う?』

『面白いに決まってるじゃん。ウサギ狩りの筈がデカイ蛇に追いかけられて死にそうな目にあったりしたけど──それ以上に楽しいことがたくさんある!』

『ああ、俺もだ。じゃあ、この世界で何をするかっていう疑問は解決だな』

『うん!』


 俺達兄妹は、異世界で冒険者やって人生謳歌することにした。






 ~To be Continued ~



 これにて第一章は終了です。

 二人の仲間を手に入れた未来と美羽。二人はこの先、冒険者としてどう生きていくのか。

 この二人の成長を見守って行きましょう。



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