妹 脳内に立つ
「オー! ミライ、私のはこんなんでしタ!」
ミーニャに見せ付けられたスマホを覗き込むと、こちらと同じパラメータ画面だった。
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ミーニャ・ヴァルシャート
・冒険者ランクG
・MP 20/20(補整無し)
固有スキル
☆猫人の酔気
・酒類を一定量以上摂取すると身体能力が3倍増。制限時間10分を過ぎると悪酔い状態となって戦闘不能になる。
取得スキル
☆夜目
・暗闇での視覚感度が高くなる。
☆アイテム感知Lv5
・落ちているアイテムを見つけやすくなる。レベルを上げるとレアなアイテムも見つけられる。
☆
☆
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地味にワーキャットらしいスキルを持っているが、どうしても固有スキルに物申したい。
酒を飲んで身体能力アップなんて暴れている酔っ払いに等しい。暴れた後は悪酔いするらしいから尚更だ。特に後者は妹で実証済み。
『なーに愛する妹を使い捨ての駒みたいに言ってくれてるのかなー?』
あ、起きた。
『よ。おはよ、美羽』
『「おはよ」じゃないでしょ!? 私が寝てる間になに話進めてるのよ!』
『いや、お前も昨日冒険者なりたい言っただろ?』
『そりゃ、確かに言ったけど……。要するに私無しで事を進めないでって言ってるの!』
つまり、妹は兄妹力を合わせてあらゆる物事を解決したいらしい。
確かにラグナノヴァに来る以前も、俺達兄妹は様々な事を二人で成し遂げた。
晩飯のメニュー、家計の遣り繰り、校内テストの勉強、バイト先の仕事、ゲーム攻略、家の掃除、その他etc…….。
何をするにも一緒だった。
そうやって培ってきた兄妹の絆を壊してほしく無いのだろう。俺もそう思う。
『あー、ごめんな。確かに美羽とは一緒になって事を進めるべきだった』
『でしょ? なら──』
『でもお前寝てたじゃん』
『──あ』
そこで妹の言葉が止まった。恐らく図星を突かれ脳内で夥しい汗をかきながら硬直しているのだろう。
実際、俺も最初は美羽を起こそうと思った。
しかし、妹が出来てからの16年間で身体に染み付けた情報の一片がそれを留めさせたのだ。
妹は無理矢理起こされるとぶちギレるということを。
特に、天使のような寝顔をしている時に叩き起こした時は地獄でしかない。
5年前に1回、その状態で起こした事があった。
結果、0フレームの右ストレート、ジャブ、左右フック、左右アッパー、左右ボディーブローを一瞬で叩き込まれ、朝っぱらから病院に搬送された。
その2年前は後頭部に踵落としを食らわされ、2~3日生死の境をさ迷う羽目に。
そして今回も寝顔がそれだったため、起こすことを止めたのだった。
『むー。私ももう16なんだから、叩き起こされただけでぶちギレたりしないからどんどん起こしてよ』
『仮に俺がそれを実践して無事でいられる保証はあるのか?』
『安心して。私がお兄ちゃんに叩き起こされてぶちギレる事は────あんまりないっ!!』
『うん、やっぱお前無闇に叩き起こさないようにするわ』




