それぞれの夜明け
翌朝、僕はいきなり布団を剥ぎ取られることで目を覚ました。
「翔兄ちゃん、おっはよう!」
はぁ、何か最近はこのノリに馴れてきた自分が怖い。しかし、何故、静は僕に甘
えるんだ。この時代の僕は? 肝心なことを聞き忘れていた。
「なあ、静、この時代の僕は?」
「お兄ちゃんなら、ここにいるじゃない!」
「こ・の・時代の、僕は?」
「この時代のお兄ちゃんはね……」
話を聞くと、この時代の僕は、魔王となることを恐れ、何年か前にカプセル状の
冬眠装置に自ら入ったそうだ。それをデスブライター達にとられた。目的はわか
らないけど、私はもう生きてはいないんじゃないかって、思ってる。と、しんみ
りと話してくれた。
「そんなことより、ご飯と、今日、お兄ちゃんがすべきことを説明するから、下
のミーティングルームに来てね!」
今日の飯は……。なにこれ? 昔、ゲームの攻略本に乗っていた、レーション
って奴かな? と、僕が笑顔で静に聞くと、静は、
「そうよ、お兄ちゃん」
と、純粋な笑顔で返された。僕は片膝を地面につけて、こう、思った。勝てない
、……こいつには勝てない。静は、固形のレーションを口にしながら、白板で、
説明し始めた。
「今日は、まず、神聖石と邪影石の手がかりを得る為、情報収集をして欲しいの
。それと、怜さんの情報も。そうね、まず、手始めに怜さんの情報を天使界で調
べるのが、手っ取り早いかもね」
翔が、静に起こされたのと、同時刻。光の中に、影が三つある。俺はこっそり
、その様子を見ていた。
「報告は以上です、マイセン様」
「わかった。怜、ご苦労。若い魔王様の新しい力か、これは……。神聖石の欠片
を持っている可能性が高いな」
怜は片膝をついて、かしこまって聞く。(ハッ、どうやら、洗脳されちまってるよ
うだな。ふごーかっく、零点、ってところか。)
「どういうことですか? マイセン様」
威厳のある武装した男性のかわりに軽い調子の女性が答えた。
「ああ、神聖石には力があるんだよ。それが例え、欠片だとしても、強大な力が
ね。その力がアタイ達にもマジックウエポンをもたらしたのさ」
「なるほど」
マイセンは手を振り、
「怜、次なる指令は、若い魔王様を確保し、神聖石の欠片のありかを聞き出せ!
」
怜は眉ねをひねり、
「は? しかし、俺では……」
マイセンはにんまり、と笑うと、
「心配するな、お前にも、マジックウエポンを授けてやる」
いずなは、
「ははっ、貴重な物なんだ、無くしたりしないこったね」
そうして、怜はマジックウエポンを受けとった。
「身に余る幸せ」
マイセンはところで、と、
「隠れてないで、出てこい。相変わらず、気配を消す
のがうまい奴め」
ちっ、気づいてやがったか。俺は三人の前に姿を現した。
「バーサーカーの晴美、か。アタイとどっちが強いのかなあ」
いずなは臨戦体勢だ。見ればわかる。下唇を舐めてるからな。
「よせ、味方だ。それにいくらいずなでも……。そうだな、怜一人では心細い。
お前も行けっ、晴美よ」
怜の奴はかしこまり、
「ハッ」
すっかり、キャラ変わったなあ、怜よ。演技でもない限り、今のお前の評価は最
低ラインだぜ?
「ハッ、俺様は俺様の好きなように動く。……だが、若い魔王の新しい力、とい
うのを見てみても、いいかもな」
俺様とこいつ(怜)は似てる。だが、俺様と同じ道を歩ませる訳にはいかない。こ
いつは、光側の人間だ。しっかし、この光の世界、皮肉よな、悪の組織の根城に
してはよぉ。いや、違う……か。これが真に表しているのは、影の方……か。よ
し、いっちょ、詩でも。
影も動きだす。光がまた、動くように。そして、俺様は……さしずめちょっか
いを出す観察者ってところか。ん? これ、詩になってないな。ま、今日は楽し
ませてもらうとしようかな。
翔が静に起こされたのと、同時刻。
「うーん、何かがおかしい。この時代にいた変幻使いとはレベルが違うっていう
か」
ベリルさんは考えこんでしまった。秋久さんが、
「この様子、もしや、秘霊石の力を手に入れてないのでは?」
「あ」
と、リンさん。私は、
「え……何か、問題が?」
グランドマスター達はため息をはいた。ベリルさんが
、
「今日から、秘霊石の洞窟に行くからね!」
うぉー、と燃えていて、リンさんは、そこからかい、とまたしてもため息をはき
、秋久さんはやれやれ、と、首をふっていた。
「え? え?」
私、何かした? 私は戸惑っていたが、ベリルさんが、大丈夫、僕がついて行く
から、と言ってくれたが、直後に二人の、余計不安だっていう声が飛んできた。
……結局、四人で行くことになった。仲いいなあ、この三人。……私も、まざっ
てたのかな?
うーん、主人公をしぼれないって、とことんアマチュアだなあ、
と感じる今日このごろであります。




